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女の長風呂74

时间: 2020-06-25    进入日语论坛
核心提示:圧 力 計聞くところによると、男は数人集まると、それぞれの持ち物を誇りあうそうである。カモカのおっちゃんにたしかめてみる
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圧 力 計

聞くところによると、男は数人集まると、それぞれの持ち物を誇りあうそうである。カモカのおっちゃんにたしかめてみると、
「いや、この年では、中学生みたいに口に出して自慢はしまへんが、しかし裸になる場では、ツイ無意識に見くらべて、誇りに思《おも》たり、コンプレックスを感じたり、することはありますな」
ということであった。
「女は、そんなことありませんか?」
「それは女かて、バスト見くらべたり、ヒップの形をあげつらったり、するかもしれません」
「いや、そんな、外から見える形のもんやなしに、女の機能の自慢です」
これは、外からはわからない。
わからないから、競うわけにはいかない。
「いや、当節では、その部分専用の圧力計もできてますからな」
などというが、そんなものを計って自画自讃していられますか、バカ。握力計や肺活量測定ではあるまいし。そういうものなら、
「あなた、いくらだった?」
「あら、奥さまより私の方が、肺活量大きいのね」
などといえるが、あっちの圧力を口に出して自慢するのはナゼカはばかられる。
それにふしぎなことに、男はリッパな持ち物の持ち主は敬意を払われるかも知れない。本人の自慢に見合うような、尊敬の念を捧げられるかもしれない。しかし女の方は、あっちの圧力がかなりのもので、高性能を請合われても、女同士ではうらやましがられない。
却って、軽侮の対象になりそうな気がする。
「へえ、あの人、圧力が○○ですって」
「まあ、いやだ」
ということになりそうな気がする。そうして、何とはしらず、
「××夫人は(或は××嬢は)インランである」
というような、風評が立ちそうな気がする。高性能だから淫乱というわけでもないのに、女は最短距離をイコールでむすぶのが好きだから、高性能だと、男が喜ぶであろう、男を喜ばせるのは好《す》き者であろう、好き者は淫乱であろう、という方程式ができ上ってしまいそうな気がする。
だから、現代の十代や二十代はじめの若い女はともかく、一応、いい年増の奥さんやハイ・ミスは、圧力度が高く、高性能であるとわかると、おのが身をはじて、
「誰にもいわないで下さい」
と口止めするかもしれない。そこが、男と女とちがう。
男では、外形も機能も貧弱そうな人間は、劣等感にさいなまれるらしい。
しかし、女は、もし、美しいプロポーションに恵まれ、バスト、ウエスト、ヒップの数字が絵にかいたようだったりすると、外には見えない、内側にひっこんだ性能なんか、問題にしないところがある。
圧力計を持ち出されて計られた結果、今まで検査した内では最低でした、と告げられても、
「ア、ソウ」
と恬然《てんぜん》として意に介しないものである。
もし神サマがいて、あっちの部分が最高の性能を誇る醜女と、性能は最低だが絶世の美女と、どちらを望むかと女たちにきかれれば、女はたいがい、美女の方をとるであろう。
あっちの圧力なんぞ、知ったこっちゃない、というにちがいない。
第一、あっちは、毎度、人に見せて自慢できるものではない。
しかし顔や体、外貌は、人目にさらされるものである。
人にも自慢し、自分も鏡を見るたびにうぬぼれ、みずからほれぼれし、人の目に浮かぶ讃嘆の念を見てとってふかい満足を味わうことができる。
極端にいえば、女は小野小町のように、あっちの部分が、圧力計で計れないほど欠陥があっても、美人なら充分、オツリがきて折れてまがる、と信じているふしがある。
「しかし鑑賞用ならそれでよろしいが、もっと深く、人生をたのしもうとするときは、つまらんわけですなあ」
とカモカのおっちゃんは憮然としていう。
「小野小町では、われひと共に、索莫とするのとちゃいますか? 小町までいかんでも、どうも具合が思わしくない、圧力が足らんというとき、女はどう思うんですかなあ」
「それは向うがわるい、つまり全ては男の責任やと思うのとちがいますか?」
と私はいった。
「まかりまちがっても、こっちに欠陥があって、そのせいで、つまらないとは思わない。みな、男のせい、男のやりかたがわるいと思いますよ」
「しかし、そのせいで男が離れたらどう思いますかね」
「こんな美人の、どこが気に入らんのやろ、と思いますね」
おっちゃんはげんなりし、
「女はトクですなあ。男は外形で見えるから、いくらはずかしくても、卑下しても、それから、目をそむけるわけにはいかん、不出来なわが持ち物をじっと見て、その劣等感に堪え、それとたたかわねばならん」
「大げさな」
「いや、そこが大事ですぞ。女はどうかというに、不出来なモチモノは、内側ふかく隠匿《いんとく》されて、自分の目で見ることはできん。だからして女は身のほどかえりみず厚かましく図々しくのぼせあがり、優越感にひたり、えらそうに練り歩く」
「しかし……」
「時には圧力計でわがモチモノの至らなさを知り、身をつつしめばよいのだ。外ばっかり飾りたて、どうでもええとこばっかり化粧してぬりたてるより、訓練の一つもして、あっちの圧力でも高める努力をすればええやないか。とかく、女のすることはマトはずれも甚だしい、女が自慢するいうたら、顔や体や亭主の地位や、息子の大学合格とちがいまっせ。あそこの圧力計の目盛りだけやぞ、この、すかたん——ましてや、少々の三文小説、雑文が書けるぐらい、何やちゅうねん、おせいさんも女なら、圧力自慢で勝負せい、ちゅうねん」
私、はじてうつむく。
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