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花の百名山06

时间: 2020-06-26    进入日语论坛
核心提示:武甲山  セツブンソウ(キンポウゲ科) 東京から見える山で、忘れられない一つに|武甲《ぶこう》山がある。武蔵野の西をさえ
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武甲山  セツブンソウ(キンポウゲ科)  
 
 東京から見える山で、忘れられない一つに|武甲《ぶこう》山がある。武蔵野の西をさえぎる秩父や奥多摩の山々の連なりが、北に波打って荒川の谷になだれおちるところに、ぽつんと独立して端正な三角形を見せる。関東平野に生まれ育ったものにとって、秩父という山国は、母なるふるさとの地のようなひびきを持っているのではないだろうか。
子供の頃のよそゆきの着物は秩父銘仙であり、秩父でできた銘仙は、特別に他の土地のものより丈夫で強いと言われていた。東京都の北を流れる荒川は、その名の示すように水量豊かではあったが、よく荒々しい洪水のもととなった。たまたま私の生まれ育った町が荒川に近かったせいもあって、荒川への関心の深さが、その水源を占める秩父という土地への憧憬となったのかもしれない。
戸田橋のあたり、まだ荒川の両岸は、一面の|葦《あし》原と柳や|榛《はん》の木の疎林がつづいていて、毎年のような洪水が残していった豊沃な土壌に、レンゲよりももっと美しいサクラソウが一ぱい咲き出す頃、よく終点の赤羽駅で電車を下りて、台地を下って河岸の原までサクラソウを見にいった。河岸に立つと、満々と水をたたえた荒川の川上は、紺いろの山々が幾重なりとなく連なりわたっていて、武甲山は一きわ目立つ姿であった。その山すそに秩父という町があり、三十四カ所の観音があって、江戸のひとたちの尊崇をあつめ、|菅笠《すげがさ》姿の巡礼が中仙道を熊谷までいって、荒川をわたって秩父に入っていったのだとは、これも子供の頃に老齢の祖父に聞かされた話である。家から荒川にかかる戸田橋までは四キロの距離であった。
何よりも秩父が江戸のひとの心をとらえたのは、その重なりあう山々の谷あいが、勇武をもって鳴る武蔵武士の発祥の地とされていたからであろう。中央に志を得なかった|皇別《こうべつ》の貴族たちは、はるばると都を下って、一望の原野の関東にその勢力を定着させ、秩父の山地に入って秩父平氏の一党をつくり、鎌倉幕府が創建されると、その重要な家臣団を形成したのである。
武甲山は「鎧武者の怒り立つ体なり」と言われ、いかにも武士の地にふさわしい男性的な山容をたたえられたが、全山が石灰岩であるために、チチブイワザクラとか、チチブドウダンとか、ミヤマスカシユリのような珍らしい花を見出すことができたのである。
しかし全山が石灰岩であることと、秩父という町の中にそびえたっているという条件から、この山の悲劇が生まれ、今や山の北面は大きく削りとられて山容が一変してしまった。
武甲山はもう登ってもたのしくない山と聞かされながら、なお、一度はその山路を辿ってみたいというあこがれの火を絶やさなかったのは、幼い日からの思いの深さであったろうか。
四月の半ば、小川町までゆく用が出来、一泊してあくる日、秩父市にいった。市庁舎の立派なこと、道路の舗装のゆきとどいていることに感心したら、連れの秩父市のひとが、武甲山のおかげですと言う。セメント採取で、市の財政がうるおっているということか。
町の南東を横瀬川沿いの道から、支流の生川の谷に入り、ここもまた採掘場となっている山腹をまいて、妻坂峠への分岐点で車を捨てた。意外にも山路にかかると、杉の古木が林立して深山の趣があたりに満ち、北側の無残な山容からは想像もできぬ山のしずけさが保たれていた。
さすがは武甲山だ。くさっても鯛だと、しきりに感心しながら杉の新芽の匂いを吸いつつ、ひたすらに急坂を登る。木立ちが密生しているせいか、ようやく雪がとけたばかり、窪んだところにはまだいっぱい残った雪が落葉に埋もれていて、一三三六メートル位の山とは思えぬ荒々しい印象である。
武甲山は三峰山と並んで、長く修験の道場とされていたせいか、道も整備されぬ姿なのであろうか。
登っても登っても、何の展望もない、うっそうと木深い林の中を稲妻形に切って進んでゆくばかり。いささか吐息溜息の連続で、何の変哲もない眺めに倦みはじめた頃、雪どけの小さな窪地 の湿ったところに、白く小さいセツブンソウを見つけた。これも石灰岩を好んで咲く花である。べったりと山肌を植林で被われても、そのわずかな地表に自分なりのいのちをきざむ。三センチばかりのかわいい茎に、切れこみの深い葉をつけ、小さいながらに整った形で春を告げているのが健気であった。帰途は浦山口に向かって、今にも両側からくずれおちそうな、がらがら道の谷を下り、木の根につかまり、雪どけの|泥濘《でいねい》にまみれ、武甲山は遠くにありて仰ぐものと思ったりした。
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