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花の百名山32

时间: 2020-06-26    进入日语论坛
核心提示:栗駒山  ヒナザクラ(サクラソウ科) ヒナザクラにはじめて出あったのは岩手県の|栗駒《くりこま》山である。その後は鳥海山
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栗駒山  ヒナザクラ(サクラソウ科)  
 
 ヒナザクラにはじめて出あったのは岩手県の|栗駒《くりこま》山である。その後は鳥海山でたくさん見たけれど、ハクサンコザクラやエゾコザクラに似てもっと小さく、いろは純白というこの花を、栗駒山の須川温泉から昭和湖へゆく途中の湿原の中に見出したとき、しばらくそのそばを立ち去れなかった。
その朝、私はひどく疲れていた。その前日、|一関《いちのせき》で午前と午後に用があり、そのまた前日、北海道の大千軒岳に登り、深夜の連絡船で青森にわたって一関についたのである。できれば須川温泉で半日でも休みたいところであった。道のかたわらに蒸し風呂の小屋があり、ござ一枚持った女のひとたちが上ってゆく。あのござの上に寝て湯気に蒸されるのであろう。しかし団体行動にはそのような自由は許されない。疲れは山へ登っているうちにとれるというのが、いつも私の実行して来たことであった。
しかしこの日、私は精神的に疲れていて、それは肉体の疲れよりもはるかに深く大きかった。青函連絡船の船室で、一つの事件があった。大千軒で疲れた私はできればグリーンの船室をとりたかった。車掌にたのむと、かつぎやの女のひとたち専用の部屋にいれられてしまった。大きなリュックをしょって、|経木《きようぎ》の帽子をかぶって、八百屋の店先で見かけた北海道カボチャを二個手かごに入れて提げている。土地のひとであるかつぎやさんたちは、四時間の連絡船の中で眠ることなど期待していないらしく、七、八人がしゃべり通しにしゃべっているので恐れをなし、もう一度車掌のところへいってグリーンの船室をたのむと、「おばさん、ずい分かせいだんだね」とからかわれてしまった。別にそれが精神の疲れになったのではない。グリーンの船室には若い一組の男女がいて、何か組合の問題についてさかんに討議している。労働者の権利とか管理とか、しめあげとかいうせりふが頻繁にかわされ、男より女の方が大声である。三十分だまって聞いていて、一時近くなったとき、私はたまりかねてさえぎった。
——もうねて下さいませんか。
男はすぐにだまったが、女はまだ一人、燃え残りの薪のようにしゃべっている。水筒の水が残っていたので、頭からかけて火を消してあげたくなった。女はそれから十分間も一人で発言をつづけた。その十分間が更に大きな疲れをよんだ。水をかけるべきか我慢すべきか——。
山小屋でもよくこんな思いをさせられることがある。消灯の八時がすぎてもまだしゃべっている。九時になる、我慢しようか、いや、どなろうか。小屋のひとはなぜやめさせないのか、ほかのひとたちはなぜだまっているのか。それとも自分は人一倍狭量なのであろうか。
そんな夜のあくる日の登山の足は重い。しかし栗駒山のヒナザクラを見た時、あまりにも小さいのに感動したのであった。
——自然はこんなにもつつましい。
ヒナザクラの花のいろの白さも気に入った。サクラと言えば薄紅か、サクラソウの類の濃い赤か、いずれにしても華麗ないろときまっているのに、こんなに白いのもあったのか。白とは自分を相手次第のいろに染める素直さそのものに見えた。これも他者へのはじらいや自分の傲りをいましめる心があればこそであろう。ムシトリスミレ、ミネズオウ、ガンコウラン、ツガザクラ、キンコウカ、モウセンゴケ、タテヤマリンドウ。すべて小さいものが、小さくてなお、よく見ればそれぞれの美しさに咲いているのが、自分とくらべて何か恥ずかしい。私はなぜすぐ人を責めるのか。
湿原から露岩のごろごろしている草地へ。複式コニーデ型の火山であるという栗駒山は、地形が複雑で、眺めの変化が多い。花も谷間から湿原、草地、山腹の急傾斜、湖畔と、それぞれの場所に、それぞれの種類が群落をつくっている。あまり荒らされてないということなのであろう。湿原にはミズバショウがさかんであった。ショウジョウバカマも花柄がのびきって、咲き残りの花をつけていた。
昨夜は夜行バスでろくろくねていないはずなのに、仲間たちはどんどん先に登って、いつかラストになった私の前後に、一関カトリック教会の小野神父、|千厩《せんまや》カトリック教会の高橋神父がゆっくりと歩いておられた。昨夜の話を聞いてもらいたくなった。しかしやっぱり恥ずかしかった。頂上から北に、明日登る早池峰、来年のよていの鳥海山をはるかに眺めた。山は皆だまっている。やっぱりあの女のひととは喧嘩しないで来てよかったと一人思っていた。
 
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