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花の百名山33

时间: 2020-06-26    进入日语论坛
核心提示:安達太良山  ツリガネツツジ(ツツジ科) 東北線に乗って、白河を越し、二本松のあたりを走るとき、左側の車窓いっぱいにひろ
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安達太良山  ツリガネツツジ(ツツジ科)  
 
 東北線に乗って、白河を越し、二本松のあたりを走るとき、左側の車窓いっぱいにひろがる根張りゆたかな山、それが、高村智恵子の心の眼に、いつもはっきりと灼きつけられていた|安達太良《あだたら》山と知ったのは、いつの頃からであったろうか。
智恵子は東京に空が無いといふ/ほんとの空が見たいといふ/私は驚いて空を見る/桜若葉の間に在るのは/切つても切れないむかしなじみのきれいな空だ/どんよりけむる地平のぼかしは/うすもも色の朝のしめりだ/智恵子は遠くを見ながら言ふ/阿多多羅山の山の上に/毎日出てゐる青い空が智恵子のほんとの空だといふ/あどけない空の話である。(高村光太郎詩集より)
明治十九年、阿武隈川のほとり、二本松市の酒造家の娘として生まれた智恵子は、上京して日本女子大を卒業し、画を学んでパリ帰りの彫刻家高村光太郎と結婚する。二人は純粋に美を求めて生きようとし、智恵子は実家の没落にであって、繊細な神経を痛めてゆく。
病む智恵子の眼は、ほんとうの空の青さにあこがれる。それはふるさとの、安達太良の上の空にだけあるという。
高村光太郎の住んだのは、本郷台地であったから、智恵子が共に眺めた空は、いまの荒川区や足立区の上にひろがっていたのであろう。
二人が暮した明治から大正の頃は、まだ一面の田園であったから、現在のように、工場の煙でよごれることはなかった。それでも智恵子は、純粋に真実の空の青さがほしいと、遠い東北の空に眼差しを投げたのである。安達太良の麓にある岳温泉から下って、二本松という町にいった時、智恵子の生家の前を通った。軒が深く、格子戸をはめた二階の窓のまん中に、新酒のできたことを知らせる杉玉の看板がかかっていた。
智恵子はこの山裾の町よりは東京に住みたいと上京し、東京にあれば、ここよりは安達太良の見えるふるさとの方がよかったと嘆き、二つに引きさかれた心を、遂に狂気の境におとしてゆくのだが、実際に安達太良の山に一歩でも足を入れたことがあったのだろうか。せめて|岳湯《だけのゆ》のそばまでも。
早池峰の帰り、花巻の大沢温泉に泊り、近くにある高村光太郎の戦後の住居のあとをたずねた。
都育ちのひとが、ここに暮して、それが死の原因になったという肺炎を起したのも無理ないと思われるような、|粗壁《あらかべ》の、いかにも風通しのよさそうな家で、家というよりは、納屋に近かった。しかし家の前にはミズバショウやノハナショウブ、カキツバタを植えた田圃があり、ウワミズザクラの大木もあって、光太郎が野の花、山の花を愛したのがわかるような気がした。光太郎は亡き妻をしのんで、安達太良に登ろうと、一歩でも岳湯への道をたどったことがあったろうか。
安達太良は千七百メートル、遠くは利尻・礼文、羊蹄山、岩手山、栗駒山、蔵王、磐梯山、赤城山、那須岳などと、系列を一つにする火山帯に属する活火山で、一九〇〇年(明治三十三年)を最後として沈黙をまもっているけれど、硫気孔も多く、いつまた同じ山系の秋田駒のように爆発するかわからない。
大沢から岳まで南下して来て、岳温泉に一泊したあくる朝は、ざんざん降りの雨であった。
しかし、せっかくここまで来ての思いは深く、宿を出て途中までリフトを利用することにした。
勢至平を経て、籠山から安達太良の頂上に着いた頃は、雨と風で、何の眺望もなかったが、途中のツツジ科の植物の豊富さには十分に満足した。
だらだら登りに潅木の林をゆくと、右に左に、アズマシャクナゲの白、ベニドウダンやサラサドウダンの紅。ウラジロヨウラクの赤紫が、枝もたわわにと言いたいほど咲きさかっていて、那須でも苗場山でも、奥日光でも、これらの花はいっぱい見たけれど、こんなに通り過ぎる木々のすべてが、花盛りというような眺めにであったことがなかった。
特にウラジロヨウラクは、貴人や仏者の飾りにつかったヨウラク(瓔珞)の名にふさわしく、ふっくらとした筒状の花の先がわずかに狭まって、心にくいばかりの優雅さである。この花には武田久吉さんの本によればツリガネツツジの別名がある。本によっては親と子ほどに似ているが、別のものとしているのもあるけれど、高村智恵子がもしこの山に入って、この花を見たら、どちらをとるであろうか。ヨウラクの名の貴族的なひびきか。ツリガネの名こそ、今にもりんりんと音をたてて鳴り出しそうな花の形にふさわしいと言うだろうか。馬の背の長い道を、雨に降られ、風に吹かれて来て、山上温泉のあるくろがね小屋にとびこみながら思った。
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