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花の百名山44

时间: 2020-06-26    进入日语论坛
核心提示:十勝岳  イワブクロ(ゴマノハグサ科) 富良野岳にいく二、三年前に、十勝岳に登った。昭和新山にはじめていったとき、その山
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十勝岳  イワブクロ(ゴマノハグサ科)  
 
 富良野岳にいく二、三年前に、十勝岳に登った。
昭和新山にはじめていったとき、その山肌の真新らしさに見とれて、その美しさに心とられて、時間が許すならば、いつまでもこの山を見上げ、眺めていたいと立ち去り難い思いであった。
新らしい火山は、大地の生命のしるしをあざやかに刻みつけているようで、その前に立つ度に、大地の鼓動が、自分の全身に伝わってくるような思いになる。
十勝岳にあこがれたのは、この三重式の成層火山が昭和三十七年(一九六二年)に大爆発して死者五名を出し、山林や耕作地に大きな被害を与えているということ。一九二五年には死者百四十四名の惨事をも引きおこしている。
北海道の火山は、知床の硫黄山が一九三六年、雌阿寒岳が一九六四年、樽前山が一九五五年、北海道駒ヶ岳が一九四二年を最新の記録とし、|有珠《うす》岳はまだ、一九四五年の昭和新山を最後にその後の活動を見せていない時であったが、私は、十勝と、雌阿寒の二つには必ず登ろうと思っていた。火を噴き岩石を流しつづけたばかりの山で、大地の生きているしるしをまざまざと眺め入りたかった。
上川盆地は、南に夕張山地と石狩山地が|鬱然《うつぜん》とそびえたち、その間をわけて流れる石狩川にうるおう肥沃な平野である。
松浦武四郎は、早くからこの地の将来性に着目し、北海道開発の|鍬《くわ》は、石狩川をさかのぼるところからはじめられた。
私の近親にも明治の末から大正にかけて、十勝山麓の開拓に志したものがあり、早くから、狩勝峠の緑の樹海のすばらしさや、上川の野に咲くヒオウギアヤメの美しさを教えられて、子供ごころに、いつかいってみたいという思いをそそられていた。
いま、富良野周辺は一面の田園で、眼路のはるかまで、ヒオウギアヤメの紫がつづいた風景などはとても望むこともできないが、十勝岳の裾にある白金温泉に入ろうとして、富良野から走らせる車は、町を抜け、白樺林のつづく中をゆき、その緑の若葉と樹肌の白のさわやかさが、都塵に疲れた眼を一遍にすがすがしく洗いきよめてくれた。
白金温泉は標高六百五十メートルのところにあり、周囲は一面の熔岩台地になっていて、背の低いアカマツやトドマツが生えている。
大正十四年(一九二五年)十二月から十五年五月にかけての大爆発では、おびただしい泥流が二つの村を埋めつくし、死者百四十四、負傷者二百を数える大災害をおこした。最近でも昭和三十七年六月に、死者五名負傷者十一名の惨事をおこしている。
沃野が一瞬にして地獄と化すのだから怖い。私の近親は大正七、八年頃、十勝を去って函館の近くに移っていたが、しかし、私は耳に聞き馴れた十勝という地に起った惨状に胸が痛んで、母と共に慰問袋をつくったことを覚えている。
一泊しての翌朝早く宿を出た。その日の夕方までに勇駒別に入って、次の日は大雪を歩く予定である。
九百二、三十メートルの望岳台の上、千百メートルのあたりまでジープでゆき、ガラガラの火山礫の間を登る。まことにゆけどもゆけども、礫ばかり。
爆発の日は、これらがことごとく火の塊となって、山腹を流れ走ったのだと思うと慄然とした。
それにしても歩きにくい道で、一歩歩いて半歩もどるのは、浅間山も三原山も同じだが、大噴火が新らしい時期にあったせいか、礫が大きくて調子をとるのがむずかしい。新噴火口からは強い硫黄の匂いがして噴煙が湧き上り、風になびきゆらいでいる。
こんなのろい足では今、新しく噴火現象が起ったら、たちまち熔岩流の中に焼き亡ぼされてしまうと思いながら、眼の下にひろがる礫の海を、吐息と共に眺めわたしていておどろいた。たった一人の男のひとが登ってくる。だんだん追いつき、私のかたわらをすぎてゆく。どんどん登って新噴火口の噴煙を八ミリでとっている。大分年輩のひとである。
ようやく追いついてうかがった。知床の羅臼から、雌阿寒、雄阿寒と登って、ここまで来られたとのこと。六十の還暦から山登りをはじめて、いまは七十歳とのことであった。
「羅臼にはヒグマがいませんでしたか」
とつまらない質問をすると、にこっとわらって首を振った。来年は羅臼にいかなければと思った。
十勝岳にはまことに花が少い。花のない山は私には苦手である。ただ乾いた石だけを見つめて歩く。わずかに望岳台の周辺にウラジロタデとイワブクロを見るばかり。イワブクロは、三段山の登山口あたりにいっぱいあったが、近くの吹上温泉の客らしいのが、三三五五、おそれげもなく、手に持ちきれないほどに持っていたのにはびっくりしてしまった。イワブクロもウルップソウも、その分布は樺太やカムチャツカに及んでいる。何千万年の昔は地つづきで、何千万年も生きつづけて来たものを。
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