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花の百名山52

时间: 2020-06-26    进入日语论坛
核心提示:葦毛湿原  シラタマホシクサ(ホシクサ科) 沼や池は、出口を持たない溜り水だから、嫌いだと言ったひとがある。しかし、海こ
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葦毛湿原  シラタマホシクサ(ホシクサ科)  
 
 沼や池は、出口を持たない溜り水だから、嫌いだと言ったひとがある。
しかし、海こそ、出口のない溜り水であって、私の知っている限りの沼や池は、ほとんどが出口を持っている。
それらは低地に溜った水なので、水位が上って溢れれば低きについて出口を求め、又、つくってゆく。
沼や池や湿地の水は大きな波こそ立てないが、より低い地があれば、一刻一瞬のひまなくなだれこみ、流れ落ちようとする。私にはその緊張への予感が大きな魅力である。
東海道本線に沿う豊橋と浜松の間にある|葦毛《いもう》湿原の名は、「野草友の会」の中島睦玄氏からシラタマホシクサという禾本科植物のタネをもらってはじめて知った。
シラタマの名を示すように、白く小さく、玉のような花をつける。ワタスゲに似て、もっとか細く、はかなげな花で、ワタスゲが多年生で寒いところに生えるのに、シラタマホシクサは一年生で、あたたかいところに生え、静岡県や愛知県、三重県の太平洋沿いの湿地に多いという。
てのひらにのせると、わずかな風の気配にも飛び散ってゆきそうな、白く小さい種子は、すぐにミズゴケの中にまいてみたけれど、一本の芽もでて来なかった。
そして、夏のはじめの一日、豊橋の奥の、|三ヶ日《みつかび》という町に用ができて、途中、葦毛湿原を訪れることができた。
豊橋からタクシーで三ヶ日にゆくのには、弓張山系の|多米《ため》峠を越える。その麓に近く湿原がある。運転手に言っても知らず、とにかく浜松にむかっての県道を走り、三十分ほどいったところで聞くとわかった。豊橋市の町外れの、農家が点在する中の細い道を曲りくねって、北から東に連なる丘陵の山麓にむかってゆき、葦毛湿原入口という立札のところに車を待たして木道にとりつく。
尾瀬に匹敵するというようなキャッチフレーズがつかわれているらしいが、その景観も地形も広さも、尾瀬とは異質であって、くらべて語るべきではないように思える。
葦毛湿原を北から東にかこむ丘陵は、三百メートル前後ではないだろうか。赤石山脈の南のはじを占めて、弓張山系と名づけられるこれらの丘は古くから秩父古生層といわれてきた地層で、この頃では、中生層といわれるチャートである。丘陵が平地に移行するあたりに幾つもの湧水があり、丘の麓に扇状地ができたが、下の岩石が水を通さないために、水は地表にたまり、あるいは地表を流れつづける湿原になった。
地味もやせ、強酸性とあっては耕作にも稲つくりにも適さなかったことであろう。
そして、低いところにモウセンゴケやヌマガヤやシラタマホシクサの群落が、やや高いところにイヌツゲやノイバラやモチツツジなどの低木が、丘の斜面にかけてコナラ、ミズナラ、ハンノキなどの林が発達したもののようである。頂きにむかって、山腹にはマツやスギやヒノキの植林がしげっている。
木道は湿原の中を縦横に走り、周囲の林の中にもよく踏まれた道がある。すべてを歩きつくして三時間とはかからないようであった。
しかしその小ささにかかわらず、私は、この一劃の眺めに感動した。幾つもの大きな都会がすぐ間近にあるというのにこの閑寂さ。見渡す限りが緑一色で、人家の屋根も電信柱もない。尾瀬は深山の奥だが、すぐ近くを東海道が走り、新幹線が走っての、この原始の姿には、先ず大きなおどろきが湧く。大自然の摂理のみごとさに感動するという点では、まさに尾瀬に匹敵するものである。
標高七十五メートルから六十メートルへと、ゆるやかに傾斜する湿原では、初秋が花期のシラタマホシクサは六月はじめのこの日、まだようよう若みどりいろに生長しはじめたばかりで、共生するというサギソウもミカズキグサも見えず、草地にはモウセンゴケの朱赤ばかり目立った。
山腹よりの潅木地帯に、何か純白の花が、雪のようにかがやいている。近づいて見ると、蕾をいっぱいつけたモチツツジの群落にカザグルマが這い登って、びっしりと満開の花をつけているのであった。
黄金の一重の菊状の花が咲くハンカイソウも蕾がふくらんでいる。いつか焼津の高草山麓でもこの花を見たので、東海道筋に多いのであろう。湿原の外縁を一周しながら、ふと、かたわらの林の奥に、白い穂状の花のあるのに気づいて、倒木の間をぬっていって見ると、ミカワバイケイソウであった。北アルプスあたりのより穂が長く、背が高くて、全体にほっそりしている。
寒冷期から暖期になったとき、高山に帰りおくれた種族であると東海財団発行の案内書にしるされている。林の出口に、そうそうと音をたてながら走る急流があって、そのほとりにいろもあざやかな紫のノハナショウブの群落があった。
小鳥の外、何の動きも眼に見えない湿原全体の水は、つねに移動していてやまないことが、この流れでわかった。
一九七九年の夏、スイスの帰りにオーストリアのハルシュタットの奥の、ゴザーウ湖へいった。前、中、奥と標高差四百メートルほどの間に点在する湖を一つずつ訪ねて歩いたのだが、湖畔の林の中に、ミカワバイケイソウとそっくりのコバイケイソウが何本も咲いていた。
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