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花の百名山53

时间: 2020-06-26    进入日语论坛
核心提示:金峰山  シャクナゲ(ツツジ科) |金峰《きんぷ》山には、秩父事件の舞台となった南佐久の高原を、脚下に一目で見渡したくて
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金峰山  シャクナゲ(ツツジ科)  
 
 |金峰《きんぷ》山には、秩父事件の舞台となった南佐久の高原を、脚下に一目で見渡したくて登った。
明治十七年、関東平野の西を屏風のように連なりわたる秩父山地の荒川の谷々に、資本家を助け、農民の窮乏を見捨てようとする時の権力に対抗して、一万の民兵が|蹶起《けつき》した。明治新政府の方針に不満を抱く自由党員も加わり、多数の銃火器を持って、その意気は高く、勢いも激しく、耐えに耐えた困窮の底から打ちあげられた|狼火《のろし》は、稲妻のように早く走って村々に飛び火し、焔となって燃えさかったのである。秩父は知々夫とよばれた古代から、関東の先住民族が住んで|知々夫《ちちぶの》|国 造《くにのみやつこ》の勢力下にあり、平安の初期以降は桓武平氏の子孫が荒川水域を開墾して荘園を拓き、家の子郎党を擁して武力を養い、坂東武士発祥のもととなったところである。
保元平治の乱に活躍し、頼朝が鎌倉に幕府をひらいたとき、いち早くその傘下に馳せ参じたのも、秩父を根拠とする坂東武士たちであった。加えて、武田家滅亡のあとの家臣たちもこの山地深く住みつき、その気風は誇り高く、豪壮、勇武をもって知られている。
私は両親とも古くからの江戸の土着の民である。子供の時から、秩父という地名には言い知れぬ親しみを抱いていた。荒川の水に親しんで育ったせいかもしれない。関西のひとたちが、「大和し美わし」と呼んで奈良や飛鳥のあたりを心のふるさととするとき、関東のひとたちには「秩父し美わし」と、その山なみの、その水のゆたかさ、緑の深さをなつかしがるものが多いのではないだろうか。
明治政府が多く薩摩や長州のひとたちを中心にして成立し、江戸を東京と改めたとき、関東びとの心には自分たちの庭を他国の土足でふみにじられる思いがあったのではないだろうか。私たちは子供の頃に、秩父に反官反権力の大騒動が起ったことを聞かされ、それを語る大人たちの口調に、秩父事件によせるなみなみならぬ畏敬の念を感じた。
軍隊も出動し、多勢に無勢で、やがて十石峠から南佐久平の千曲川沿いに|潰走《かいそう》したひとたちは、ことごとく捕えられて苛酷な懲罰にさらされた。西に八ヶ岳連峰が、南に甲武信、国師、金峰の連山が、眼の下にひろがる惨劇を見まもっていたはずである。
金峰二五九五メートル。国師二五九二メートル。その間の大ダルミ峠二千四百メートルに峰越林道が通じたと知らされたとき、私はいつもの山仲間との山旅に息子をつれて、その二つの山の頂きに立ちたいと思った。六月の晴れた朝早く、車で新宿を出て中央高速で甲府に。道を北にとって、牧平、塩平を経て焼山峠を抜ける。大ダルミ峠までの林道は、傾斜もゆるやかな山腹を縫い、ところどころに開拓農家が連なっていて、乳牛が放牧され、北海道のような|広濶《こうかつ》な眺めであった。
午後二時頃に着いて、夕食までに左の道を登って国師と奥千丈に。かつて、学生時代に亡兄がその友人たちと入った時は、天幕をかついで、栃本から幾日もかかって国師に辿り着いたことを聞かされたので、あまりにも、らくらくと、この秩父最奥の山径を歩いていることが申訳ない気がした。
しかし一面の栂や樅の原生林には、さすがに深山の趣きがあり、露出した花崗岩の間を埋めて這松やシャクナゲが密生している。まだ固い|蕾《つぼみ》で盛りの頃がしのばれた。西側の大きな斜面に、岩石と這松の配置が、自然の庭園のようになっているところがあり、皆々よろこんでその間を歩いて、紫紺に暮れる夕富士を見た。翌朝は五時に出発。道を左にとって、朝日岳、鉄山をまきながら金峰に。
栂の原生林の中を、眼の悪い息子は元気一ぱいに先頭を切り、私は昨夜飲んだ睡眠薬のせいか、息もたえだえに一番|殿《しんがり》をつとめ、汗を流すほどにようやく薬の気が抜けたらしくて元気になった。金峰の頂きに白々とかがやく五丈岩は、真下で見上げると、ピラミッドさながらの雄大さで、雲一つない晴天に、富士山を真向いに対いあう南側の眺望は絶佳とより言いようがない。しかし、眼を北側に転じて、千曲川の谷が野辺山の原にむかってゆるく傾いてゆくあたりは、一望の緑の濃淡の山の姿、谷のひだのことごとくが、かつての日の|痛哭《つうこく》の記憶をひそめて、しずまりかえっているように見える。
黒森へと向かう下りの道は、露出した花崗岩が累々と重なりあい、息子にとっては最大の難関となった。手をひきながらひたすらに先を急いで下りつづけ、敗残の兵はこうもあったろうかと思う。開花しはじめたシャクナゲの大群落が人の背丈を越す大木ばかりである。花のことごとくが深い紅いろで、鮮血の塊のような気がした。
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