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花の百名山64

时间: 2020-06-26    进入日语论坛
核心提示:霧ノ塔  トキソウ(ラン科) 霧ノ塔は、苗場の神楽ヶ峰から左折して、小松原湿原にゆく途中の一九九四メートルのピークである
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霧ノ塔  トキソウ(ラン科)   
 
 霧ノ塔は、苗場の神楽ヶ峰から左折して、小松原湿原にゆく途中の一九九四メートルのピークである。和田小屋の背後に連なる高石山、雁ヶ峰など、千五、六百メートルの稜線から三百メートル高くそびえ、日蔭山にむかって下ってゆく道は、霧ノ塔を越えて二百メートル下り、更に日蔭山を百メートルほど登ることになる。起伏の多い地形に霧の発生が多いのか、コメツガやシラビソの密林がうっそうとつづいて倒木がやたらに前途をさえぎる。雪もいっぱい残っていて道はぬかるみ、笹藪も大きく茂って、『北越雪譜』時代とさして変らないようであった。ギンリョウソウの青白い花があちらの木かげ、こちらの石のきわに、かたまって暗く沈んだ顔を見せている。腐生植物と言われるこの多肉質の花は、ユウレイタケの別名を持っているが、墓場の湿った土の上などにもよく見うけられる。そして私は、山路でこの花にであうたびに、その下に鳥か獣か人間の死骸が埋まっていることを想像するのである。
小松原湿原を越えて『北越雪譜』にしるされた秋山郷の、逆巻温泉に出る十六キロ近い道が、私たちのその日の行程であったが、中津川の深い渓谷にかこまれた秋山郷は、ここも平家の落人の住みついたところとされ、今もなお残された秘境の一つと言われている。
会津若松の落人たちは、北に米沢を目ざして、飯豊の山中深く逃れていったものが多いという。この神楽ヶ峰から秋山郷までの道は、どんなひとたちが踏みかためていったものか、人目をおそれて関所を通らず、山あいの谷かげをえらんでひたすら先を急ぎ、水場もなく、木の実もない山道に飢えて倒れて死んだものも多かったのではないだろうか。こんなにギンリョウソウの大量に発生している道ははじめてであった。
霧ノ塔の下りは、登り下りを激しくくりかえし、殊に日蔭山との鞍部にむかっての最後の下りは、背丈を越す大笹藪の急斜面で、歩くこともできず、笹の葉や枝に足をとられて滑りに滑ってしまう。
苗場の頂きよりは五百メートルも下って、周囲を山にかこまれた小松原湿原にはどんな花が咲いていることか。地図で見ると、広大な湿原は等高線で二百メートルの差の傾斜を持っている。高いところと低いところとでは、又、ちがった花が見られるかもしれないと、霧ノ塔をうしろに、日蔭山の三つのピークをこえていった。
霧ノ塔は、あまりに霧が多いせいか、ギンリョウソウの外には、ツバメオモトやミツバオウレンなどの、日かげを好む花が少し見つかる位であったが、その名は日蔭でも、南面する山の斜面にはクルマユリやミヤマシシウドやニッコウキスゲやクガイソウやシモツケソウなどがいろどりも鮮やかで、苗場への登山道よりもお花畑をのぞいては、はるかにこの道の方が花をたのしむことができた。
しかし別名を三の山ともいう日蔭山は、やはり最後の三つ目のピークをこえた頃になって、コメツガやシラビソの密林がつづき、倒木も多く、道そのものが湿原状態となり、笹藪がぎっちりと道の両側を埋めているところは、足の踏み場にも難渋し、ふと、こんなところで、熊にあったらどうしようと、北海道の山中をゆくような心細さに浸された。
正午十二時。|忽然《こつぜん》と林の木の間越しに明るい草地が見えて、待望の湿原があらわれた。美しい。一面のイグサやカヤの類が、緑のじゅうたんを敷きつめたように生い茂り、周囲をシラビソの森がかこんでいる。幾つかの池塘もしずまりかえっていて、そのまわりは朱赤に盛り上るようなモウセンゴケである。緑のじゅうたんは真紅や淡紅の模様でつづられ、真紅は田代山と同じサワラン。淡紅はトキソウ。植物図鑑ではお馴染みで、はじめての見参であった。
サギソウは千葉は茂原の田圃で野生種を見て以来、栽培されたものには何度も出あったが、トキソウは、小さな百合にも似たこの花を、植木鉢に入れられたのさえ見たことがなかった。
トキという鳥も写真以外に知らないが、トキという言葉は、子供の時からよく聞いていた。薄紅に少し黄味がかった明るさのあるものをトキいろとよび、そのいろのリボンがカチューシャまきにつくられたのを結んでもらったことがある。
松井須磨子が、舞台の上で、『復活』の女主人公カチューシャに扮して、頭に飾ったリボンの形である。トキいろは復活の心をあらわすにふさわしい希望のよろこびに映える色であった。
木道もない草原であったから、トキソウをふみつけないように、気をつけてピョンピョンはねながら歩くと、おのずからトキソウに出あえたよろこびにおどりまわる姿になっていた。ここの湿原のおもしろさは、連続湿原ともよびたいように、二、三十メートルの高度差をもって、幾つかの湿原がつづくこと。熔岩流の波のひだのように下へ下へとゆく境を、シラビソの原生林が区切っている。
下山して逆巻までの家々が、『雪譜』の頃と、戸数もほとんど同じなのを知った。
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