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花の百名山68

时间: 2020-06-26    进入日语论坛
核心提示:槍ヶ岳  トウヤクリンドウ(リンドウ科) 槍ヶ岳にはじめて登った時、眼の前にそびえたつ岩峰の高さ、鋭さにびっくりした。二
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槍ヶ岳  トウヤクリンドウ(リンドウ科)   
 
 槍ヶ岳にはじめて登った時、眼の前にそびえたつ岩峰の高さ、鋭さにびっくりした。二十年前の夏である。
槍は娘の頃からのあこがれであった。せめてその麓を洗う梓川のほとりまでゆきたくて、私は槍ヶ岳を中心にした五万分の一の地図の四枚を寒冷紗に張り、一夏かかって、七百メートルの地点から上を、二、三百メートル毎に茶いろの絵の具で塗り重ねていった。千三百メートルの高度の線を拾いあげると、梓川の長い谷が上高地まで辿り着く。島々から北西にわけ入る谷は、同じく千三百メートルで|留《いわなどめ》まで。その頃、上高地に入るのは|徳本《とくごう》峠越えが普通らしかったから、千六百メートルから千八百、二千とつめてゆき、上高地の谷からも同じようにつめると、徳本峠の二千メートルが地図の上に浮び上って来て、自分がその地点に立ち、眼の前にそそりたつ穂高の峰々を仰ぐような心おどりを覚えた。そこから槍は見えるのであろうか。どんな緑に山々のいろが深く重ね合されているのであろう。
山は好きでないという夫と結婚した時、子供が生まれたら、いまに一緒に槍に登ろうと自分に誓い、ようやく中学生の娘をつれて実現したというわけである。
松本からはバスで梓川の深い谷を進んで上高地に。焼岳、大正池、岳沢、明神岳、西穂高、それらの眺めは、くりかえしくりかえし地図をひろげては想像の上に描かれていた姿なので、はじめて出あったような気がしなかったが、白々とした花崗岩の河原にはさまれて空の青さをうつしながら、急速度で流れ走る梓川の水のいろと、両岸を埋めるカラマツ、シラカバ、ミヤマズミ、オオバヤナギ、ケショウヤナギなどの緑の濃淡のいろばかりは、絵葉書などをはるかに越えて美しかった。
かつては神河内とよばれたという。バスなどの入らない昔はどんなに|幽邃《ゆうすい》なところであったろうか、大正四年(一九一五年)の焼岳の噴火で、大正池ができる前は、もっと森も深かったのであろうと思い、とても文政十一年(一八二八年)の|播隆《ばんりゆう》上人槍開山まではさかのぼれなくても、せめて明治十一年(一八七八年)、イギリス人ウイリアム・ガーランドの槍登山の頃にこの上高地に足をふみいれることができたらと、遠くはるかな日々の姿を、眼の前にいったり来たりするロングスカートにハイヒール、旅館の浴衣に下駄履きの観光客を見ながら、想像の上に思いしのんだ。
その夜の宿は、徳沢園。ほとんど平坦な梓川沿いの道は、山ぎわに針葉樹林、河原にはズミやヤナギの緑が茂りあって、河童橋から六キロ、あの、地図の上で二千八百メートル以上の高度に浮び上った穂高連峰の麓を歩いているのだと胸がはずんだ。
あくる日は早朝に出発、横尾から一俣へとだんだん川幅が狭く、道も登りになったが、イワカガミやシロバナノエンレイソウやマイヅルソウなどの見馴れた花たちの外、サンカヨウや、ツバメオモトなど、はじめて見る花もあって、やっぱり槍に来てよかったと思い、赤沢の岩小屋のかたわらを過ぎたときは、ここで、大島亮吉の「涸沢の岩小屋のある夜のこと」にならって、一夜明かして見たいものだと、ごそごそもぐりこんで岩に頭をぶつけて娘に叱られ、いつか流れが巨岩の底の水音だけになり、暗い針葉樹林帯を抜けるとナナカマドやミネカエデの群落の点在する槍沢の急斜面が行手に幅広くあらわれた。これがいわゆる氷河のつくった谷というのだろうか。右に左に急峻な岩山が連なり、その裾はゆるやかな曲線を描いて、両側から巨石がごろごろしている沢の底を支えている。
徳沢からここまで七時間近くかかって、千二百メートルの高度を上って来たのだが、頭上はるかにそそりたつ岩山にかこまれたとき、娘時代の夢を果すよろこびに身内が熱くなった。
その頃まで、私は山が好きと言っても、浅間山や赤城山や大菩薩や奥多摩の千メートル級の山々を歩いていた位で、こんなに高い岩山に来たことはなかった。そしてこの一ときの感動のために、娘時代の一夏の地図塗りがあり、結婚して数度の引越しをくりかえしながら、その地図を大事にしまっていて、時々ひろげてたのしんでいた自分があったことを思い、大げさなようだけれど、生きていてよかったとも思った。槍の肩の小屋まで最後の急坂を三時間、岩の間の高山植物の一つ一つに「まあきれい」「まあすてき」と挨拶しながらゆっくりと登った。チシマギキョウ、ウサギギク、キバナノコマノツメなどもはじめてであったのだが、これもはじめてのトウヤクリンドウはいろが白いリンドウなので、殊に珍らしく思われた。
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