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花の百名山74

时间: 2020-06-26    进入日语论坛
核心提示:火打山  ハクサンコザクラ(サクラソウ科) 娘時代の夏のスケジュールは、学校が休みになると、すぐ房州の海で泳ぎ、土用波の
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火打山  ハクサンコザクラ(サクラソウ科)   
 
 娘時代の夏のスケジュールは、学校が休みになると、すぐ房州の海で泳ぎ、土用波のたつ頃、軽井沢の知人の別荘に移る。
夏休みに読みあげる予定のたくさんの本などをかかえこんでくるのだが、何か、からだを動かしていないと、どうしようもない退屈におそわれる年頃には、軽井沢の落葉林の中には一週間と住めない気がした。浅間にも幾度か登った。それでも軽井沢はしずかすぎた。
そして私や弟や従弟たち、毎年海で泳ぐ仲間は、海から奥信濃の野尻湖に直行するようになった。列車が右に志賀高原をのぞんで善光寺平にさしかかると、車窓を吹き通す風の中に水の匂いがたちこめてくる。千曲川も犀川を加えて、そのあたりから幅がひろくなるのだが、はじめて、当時は柏原とよんだ、今の黒姫駅に下りて、野尻湖に辿り着き、そのゆたかにも青い水のいろが、眼いっぱいにたたえられた時のよろこび。
芙蓉湖ともよばれて、岬の多い湖岸線の複雑さに、妙高や黒姫が山かげを映して端麗な湖は、柏原の俳人小林一茶の句の中にもよみこまれている。
しづかさや湖水の底の雲のみね
ある夏のこと、私たちは朝の五時から歩き出して、湖の西の黒姫山に登った。一茶の「おらが春」に「おのれ住める郷は、おく信濃黒姫山のだらだら下りの小隅ならば、雪は夏きへて、霜は秋降る物から、橘のからたちとなるのみならで、万木千草、上々国よりうつし植るに、ことごとに変じ(ぜ)さるはなかりけり。
九輪草四五りん草で仕|廻《まひ》けり」
とある。
中野の城主の姫が大蛇に誘われてこの山中深く身をかくしたという伝説のある山は、富士火山帯に属する成層火山型のゆるやかな裾野を持っているが、私が、仲間よりも早く、一番先に、熊笹の藪こぎの道をひた登りに先を急いだのは、野尻湖にもあきて、もっとひろい海が見たかったからである。
一面の笹に被われた黒姫の頂きに立って、先ずさがしたのは北西の空につづいているはずの日本海であった。しかし、一向に海は見えず、妙高や黒姫と同じく富士火山帯に属する高い山が幾つかの山々の彼方にそびえたっていた。火打山二四六二メートル。そしてその山のあたりはもう信濃ではなくて、越後なのであった。
火打山に登ったのは、数年前の秋である。前夜、東京から来て、笹ヶ峰牧場で一泊。十月の半ば、軽井沢から沓掛、追分とすぎる街道沿いはまだ紅葉しはじめたばかりであったが、千三百メートルのこのあたりは緑を残す芝生に、白樺の黄、カエデの真紅が競いあって、眼を見張るばかりの華麗さである。
翌朝は弥八山の東の裾をぬって高谷池に。
十月のはじめから霜が下りているとかで、タケシマランやサンカヨウが黄褐色に枯れている。笹のかげのシラネアオイの葉だけは、まだあざやかな緑を残し、花の頃にまた来てみたいと思った。
十二曲り、富士見平と、急坂をあえぎあえぎ登って、ダケカンバの黄と針葉樹の緑の交錯がみごとな黒沢山を右に見ながら、ようやく平坦になった草原の道を三角屋根のヒュッテに着いた。
改築されたばかりという新らしい二階建てで、話し好きのおもしろい番人が、このあたりはクマの遊び場だから、一人で歩かない方がいいなどとわらいながらおどかし、登山口からの距離を思えば、黒姫より妙高より、この山の奥深いことがわかった。
あくる朝、小屋のすぐ前に、浅い|田圃《たんぼ》のように水をたたえている高谷池まで、咲き残りの花でもないかと見にいくと、枯れた草の上にうっすらと雪が積もっていた。夜半には月が出ていたのに、海に近くて気象が変り易いのであろう。
一茶は奥信濃の柏原では秋に霜が降ると言ったが、更にそこから千七、八百メートルも高いところでは秋に雪が降るのである。かつての火山活動の名残りらしく、火打山の主峰を正面にした一帯の低湿地はところどころに巨岩が横たわって、ツガザクラやイワカガミの霜焼けした葉がびっしりとついている。池のまわりをだらだら上りに、主峰へと向かう斜面にも、ハクサンコザクラの、花の形そのままに立ち枯れている姿がいっぱいあった。
一茶は奥信濃の寒冷な気候では、九輪草の花もとぼしいと嘆いたが、同じサクラソウ属でも寒冷地を好むハクサンコザクラは、秋の半ばに雪を迎える土地柄ゆえに、平地よりも夏をあでやかに、薄紅に咲きさかるのである。
海は頂上の草地にたつと、佐渡から能登半島まで見えた。健脚であったらしい一茶が、ここまで登って来て、句を作らなかったことが惜しまれた。下りみちで、前をゆく何人かが道ばたの笹の中をのぞいている。雷鳥の子供がいたという。子供がいるならば、親もいるにちがいない。いっしょにさがしてみたが出て来なかった。夏の登山客には馴れていても、こんな寒い日に来るひとには馴れず、姿をかくしてしまったらしい。
そんなに花が好きなら、ミヤマキンバイやミヤマタンポポやウサギギクが黄に、ハクサンチドリやオヤマリンドウが紫に咲きさかる七月の末に、是非登ってくるようにとすすめた番人の人なつこいおじさんは、そのあくる年なくなったと聞いた。
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