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花の百名山82

时间: 2020-06-26    进入日语论坛
核心提示:浜石岳  ヤマユリ(ユリ科) |浜石岳《はまいしだけ》には、由比から登って|薩《さつた》峠まで歩きたくて三月のはじめにい
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浜石岳  ヤマユリ(ユリ科)   
 
 |浜石岳《はまいしだけ》には、由比から登って|薩《さつた》峠まで歩きたくて三月のはじめにいった。
幕末の公武合体説の犠牲となって、はるばると京から江戸に下られる和宮の行列は、「サッタ」の音を忌んで、山深い木曾路の中仙道筋をえらんだという。東名高速道路を走って、「薩」としるされたトンネルをくぐる時、いつも眼をあげて、この上が峠だなと思い、東海道筋の険路で有名だった難所もすいすいと通過できる時勢のありがたさを思う。古代の峠道は浜石岳からの稜線が、駿河湾になだれこむ最後の盛上りの薩山の中腹、百メートルほどのところにつくられていたという。
薩山は二四五メートル。西麓は興津の町で、風光明媚で知られた三保松原を控えて、そのあたりの海は清見潟とよばれ、月の名所になっている。鎌倉時代に西行法師が、ここから眺める富士の美しさに歌づくりも忘れたという伝説を残し、阿仏尼が『|十六夜《いざよい》日記』に、
きよみかた年ふる岩にこと問はむ
浪のぬれ衣いくかさねきつ
と歌ったところである。
静岡の雙葉学園の父の会の大坂昇四郎さんに道案内をたのむと、二回にわたって、実地をしらべてくださった。大坂さんとは、一緒に焼津の高草山に登った。山腹にハンカイソウが咲き、オオバギボウシの大群落もあって、低くても、静岡の山には花が多いと思った。
由比駅の前で、東京からのバスを捨て、タクシーをつかって町の北西を浜石岳の「青少年センター」にむかって舗装道路を進む。高度が増すにつれて、うしろに富士山、愛鷹山がせり上ってくる。このあたりはミカンの産地だが、もう収穫が終ったらしくて、緑いっぱいの葉ばかり。青少年センターへの分岐点まで三十分。カヤトの狭い山道に入って、歩き一時間で頂上に着いた。
風の強い日であったが、その眺めの雄大さに息をのむ。富士は愛鷹をしたがえて華麗な全容をあらわし、その東に箱根、天城とつづいて、大瀬岬も|戸田《へた》のあたりも見える。北には南アルプスのまだ雪で被われた山々。西に奥三河の山々。そして南は一面の青海原である。窪田空穂は、興津の竜華寺に高山樗牛の墓をたずねて、
青海にわが身浮かべて遙かなる
天に一つの日を見たりけり
と歌ったが、お寺の小高い丘の上にたっただけで、これだけの思いになれたのである。標高七〇七メートルの浜石岳の頂きに立てば、海は、富士や天城をふくむすべての山地を呑みつくして、なお余るほどのゆたかさにみえる。
一面のススキ原に風をよけて昼食をとり、峠まで七キロの道を下る。これが迷路で、大坂さんが二度こられたというのは、一度は実地の歩き。二度目は道案内のカードを岐れみちにつけるため。源氏物語にちなんで、桐壺、帚木、空蝉、夕顔、若紫と、手習、夢浮橋に至る五十何枚かのカードを絵入りで墨で書いて、道ばたの木に草に結びつけておいて下さり、なお、当日も先頭を歩かれた。私たちの同勢は六十人を越えて女ばかり。途中、右に左に下りる道がある。頂上から薩山のあたりまではカヤトと杉林の連続で、標識もおぼろ気である。山麓のひとたちは、ミカン畑の手入れに追われて、杉林の下枝は伸び放題。昼猶暗いと言う言葉通りに、真昼間なのに闇夜のような暗さのところも数カ所あり、それなりのおもしろさがあって、こんなところに「ほたる」や「薄雲」の章のカードが下っていたりすると、まさにぴったりの感じであった。暗闇を抜けると、まっさおな海が近々と迫るところに「初音」の章のカードがさがっている。
浜石岳は、日本列島を東と西の二つにわけた糸魚川から静岡市に至る、大断層地帯の東側の部分を占めているという。尾根道の東側の鋭い斜面が断層の活動による変動のあとを示し、かつては海底に沈んだ名残りのせいか、山道には礫が多かった。まだ木の芽草の芽も冬の姿であったが、ヤマユリの花がらが林の下草の中に多く、静岡県の山では一番目につく花である。火山灰地を好むというこの花は、一万年前に噴火したという富士の火山灰の降りそそいだあたりに香りも高く咲き満ちたのであろう。薩峠への下り道のミカン畑を通る時、農家の主婦らしいひとに声をかけられ、よくここまで歩いて来たとほめられ、大笊一ぱいのミカンをふるまわれた。この日の山歩きでは一つの花にもあわなかったが、ミカン山の主婦の親切さが、ヤマユリの香りのように胸にうれしくひろがった。
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