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花の百名山107

时间: 2020-06-28    进入日语论坛
核心提示:羅臼岳《らうすだけ》   ジムカデ・チシマツガザクラ シコタン。その名が花の名につけられたのを知ったのは、利尻山の頂きの
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羅臼岳《らうすだけ》
   ジムカデ・チシマツガザクラ
 
 シコタン。その名が花の名につけられたのを知ったのは、利尻山の頂きの石祠の前に、腰を下ろしてやっと登れたと一息ついて足許を見た時、すぐかたわらの岩かげにエメラルドグリーンも美しいシコタンハコベを見た時である。ハコベはウシハコベ、ミヤマハコベ、サワハコベと同じナデシコ科でいろいろあり、高山植物となっては、クモマミミナグサやミヤマミミナグサ、カトウハコベ、タカネツメクサと平地のハコベよりずっと花も大きく、葉の形も繊細なのがたくさんあるけれど、シコタンソウの葉の色、花の形の典雅さにはどれも及ばないと思った。その名のシコタンは、北方領土の色丹である。ソビエトが、おのが占有を主張して還らざる島である。そこに咲いているのはシコタンハコベのほかにシコタンギキョウ、シコタンキンポウゲ、シコタンシャジン、シコタンタンポポのほかにシコタンソウがあるという。
羅臼岳は一六六一メートル。知床半島の根元、斜里岳の北にあって、同じカムチャツカにはじまる千島火山帯に属し、硫黄岳、サマッカリヌプリと北につづく。このあたりはヒグマの天国とかで、知床の自然はヒグマによって守られているというひともいる。
私が、岩尾別から登ったその日の二、三日前も、中腹の極楽平で、ヒグマに出あったひとがいると管理小屋のひとが言った。たった一人、真っ赤な短いパンツに足はサンダル履きの元気のいい娘さんが下りて来た。東京だという。東京はどちら、と聞くと日野市とのこと。いつか利尻山に登った時もジーンズのスカートにサンダル履きの娘さんが、これまた一人で登って来て、頂上直下の岩礫地で挨拶したが、こちらは京都からとのこと。利尻はヒグマの心配がないけれど、羅臼にたった一人で短パン姿というのは、ただただびっくりさせられた。
極楽平から銀冷水へと沢沿いの道は、ヒグマのことを考えなければ歩きよいハイキングコース向きで利尻よりはずっと楽である。そして花の種類も多い。エゾトリカブトの濃い紫。クルマユリの朱赤。ツバメオモトの純白。黄のエゾオトギリ。流れの近くにはオオバミゾホオズキも、元気を出して、元気を出してとはげましてくれる。
ヒグマに出あったら、うしろを見せては駄目。木によじ登っても駄目、じっと相手の眼を見てつったっていること。芦別岳で一人の高校生が七時間もそうしていて、ヒグマの方が去っていったと聞いたことがある。もともとは、ヒグマの棲家に人間が勝手に入りこんでゆくのだから、当方の心にお庭に踏みこんで失礼というような気持ちがあれば、ヒグマにも通じるのではないだろうか。何とかヒグマとのうまい交流法、意思の疎通法はないかと考えさせられるのは、この山の花があまりにも素敵で、大勢のひとに見てもらいたいからである。羅臼平へ上がってゆく道は、沢がだんだん縮まって、両方の谷の岸壁の花たちが見わたせる。リンネソウ、タカネトウウチソウ、ミネズオウ、エゾコザクラ、エゾカワラナデシコ、エゾキンバイソウ、ジムカデ、チシマギキョウ。それらがひとかたまりずつ群生していて、まるで天然の高山植物園の中をゆくようである。標高差四五〇メートルほどを羅臼平まで二時間。その一歩手前の岩場で、これははじめてのチシマクモマグサ、シコタンソウの小さな群生に出あった。
そして羅臼平は一面の、これもはじめてのチシマツガザクラがびっしりと生え、その根元にコケモモがいっぱい生えて、もう赤い実をつけていた。ヒグマの大好物である。横切りながら、ヒグマに出あわないかと気をつけながら、右手の羅臼本峰に向かった。頂上からは叫べば声が届くかと思うばかりの近さに、還らざる|国後《くなしり》島が浮かんでいる。
同行の『北の山の栄光と悲劇』の著者の滝本幸夫さんが言った。
「あの富士山と同じような形が、成層火山のチャチャヌプリ。戦前の日本の岳人のあこがれでした」
足許の岩場にも、点々としてシコタンソウが咲き、私は花に言った。
「お前も早くふるさとに帰りたいでしょう」
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