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花の百名山108

时间: 2020-06-28    进入日语论坛
核心提示:斜里岳《しやりだけ》   エゾゼンテイカ ユリ科の中で、一番たくましく力強い感じのするヤブカンゾウは、ホトトギスもヤマユ
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斜里岳《しやりだけ》
   エゾゼンテイカ
 
 ユリ科の中で、一番たくましく力強い感じのするヤブカンゾウは、ホトトギスもヤマユリもオニユリも消えた、汚い東京の町中に、わずかに残って、電車の線路のわきの土手などに咲く。『万葉集』の中の「わすれぐさ」はヤブカンゾウの別名と聞いて、私はこの汚い東京の町を忘れずにいてくれる花を「ワスレズグサ」とも呼びたいと思った。
同じ仲間のニッコウキスゲもたくましい。毎年の七月には、よく生前の平野長英さんから、尾瀬だよりが来た。「ニッコウキスゲ」の満開を見に来て下さいと。しかし私は、花よりも、人の方が多そうな夏の尾瀬は避けて、北海道の山々を歩いた。ここでは、ヤブカンゾウのように八重咲きではないが、一重のエゾゼンテイカに方々で出あった。ニセコ、余市岳、夕張岳、大千軒岳、白雲山。エゾキスゲというのにも出あった。本州でも、ゼンテイカとかニッコウキスゲとか区別して言うのだけれど、私にはあまりそのちがいがよくわからない。わかるのは、浅間高原や榛名山頂の湿原にあるユウスゲが、キスゲやゼンテイカより、花びらも細く、色もうす黄で、いかにもはかなげなのが好ましいというだけ。キスゲやゼンテイカは、エゾと名のつく方は、さらに花の色も濃くたくましい。
斜里岳のエゾゼンテイカをことによく覚えているのは、ゆるやかな登りから沢に入り、|急湍《きゆうたん》、急崖が多くあらわれて沢の水が滝となり、滝の中を、鉄分の多い岩で靴がすべらないというままに濡れながら横切り、道はガレ場の急坂となって、フウフウ言いながら鞍部に辿りついた時、ぱっと左の山腹に、この花の三、四輪を見て元気づけられたからである。
斜里岳は一五四五メートル。これも富士に似た成層火山で、知床の入り口に端整な姿でそびえているが、タカネナデシコ、エゾグンナイフウロ、ヨツバシオガマと花の種類も多く、頂上からのオホーツク海の眺めも素敵である。なお、ヨーロッパアルプス十数回のトレッキングの旅で、このエゾゼンテイカには一度も出あわなかった。
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