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花の百名山110

时间: 2020-06-28    进入日语论坛
核心提示:アポイ|岳《だけ》   ミヤマハンショウヅル・アポイゼキショウ・アポイマンテマ アポイ岳は、魚のカレイに似た北海道の、南
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アポイ|岳《だけ》
   ミヤマハンショウヅル・アポイゼキショウ・アポイマンテマ
 
 アポイ岳は、魚のカレイに似た北海道の、南の突端に近く、様似から襟裳岬へ向かう途中の、日高山脈の南のはじっこに八一〇・六メートルの頂きを持つ。太平洋の汐風を東から西からと受け、主体はかんらん岩だが、高山植物の宝庫として八百種に近い植物が生え、昭和十四年に天然記念物、二十七年に特別天然記念物とされている。一億五千年も前から日高造山運動の一環となり、霧の発生の多いところなので、古い時代からの植生が保たれているのだという。アポイキンバイ、アポイタチツボスミレ、アポイアズマギク、アポイクワガタ、アポイゼキショウ、アポイヤマブキショウマ、アポイマンテマ、アポイアザミ、と、特別にアポイの名のつく花があり、北海道の高山植物にはエゾの何々というのが多い中で、そのエゾの何々よりも微妙な変化があるのであろう。
大分前の八月、様似の町で講演したあと一泊して、あくる日は風がないままに雨の中を出発。マムシを養殖しているのだという|藁葺《わらぶき》屋根の小屋を右手に見て登山口に到着。マムシが逃げ出すことはないのですかと案内の教育委員会のひとに聞くと、「ない、大丈夫です」。ま、一匹二匹逃げ出しても、この冷たい雨の中ではやっぱり大丈夫だろうと監視小屋まで四キロ、ミズナラやダケカンバやシナノキの林の道をゆるい登りにかかる。ノリウツギの白い花が咲き、針葉樹帯に入ると、エゾマツ、トドマツの林の中に、エゾノシロバナシモツケやツルシキミ、コヨウラクツツジを見る。監視小屋は標高五〇〇メートルのところにあり、ここまではアポイ何々というのには出あわなかったが、ヒダカトリカブト、エゾノサワアザミ、ヒオウギアヤメと紫色の花が多く、ことに南面の山腹のダケカンバにかかったミヤマハンショウヅルの紫が濃く美しく、丹沢や秩父で見たのよりも花片が大きいようであった。
私の兄は北海道大学医学部の出身で、スズランの頃は、よく送ってくれたが、私が紫の花の好きなのを知って、札幌から近い手稲山や定山渓でとって来たという、ミヤマオダマキや、クロバナハンショウヅルを送って来てくれたことがある。軽井沢の一〇〇〇メートルあたりの高原のオダマキは、ヤマオダマキで黄褐色であり、ツル植物の花では、ツルニンジンやバアソブぐらい。北海道では、低い山でも平地でもこんなに素敵なツル植物の花が咲くのだと羨ましかった。ハンショウは半鐘の形をしているからという。
二時間半ほどして、ハイマツ帯の中を馬の背の地形に出ると、岩礫地帯となって、アポイゼキショウの白い花の群落が、岩の間を埋めていた。平地に咲くセキショウは、地味な黄褐色の花穂をあげるだけだが、礼文へいったとき、紅の濃淡の小さな花をつけたチシマゼキショウを見た。アポイゼキショウはその花が白く清楚である。オゼソウに似てもっと華やかである。岩の間には、葉が細く小さく、花の大きいアポイアズマギクも、花穂のぼってりと重いアポイヤマブキショウマもあった。一番多いのはエゾコウゾリナで、浅間高原でよく見かけるのよりはずっと背も小さい。そして、キク科の野生の花としてはかなりたくましい感じのコウゾリナだが、寒冷地ではこんなしおらしい姿になるのかとおもしろかった。
日高山地の造山運動は、一億五千年前から一千五百万年前に及んでいる。日本列島が、大陸から分離したのは、二百三十万年前と言われているから、アポイ岳を南端とする日高山地は、大陸につづいている時代からの花があるのであった。私がさがしているのはキタダケソウに似ていると言われるヒダカソウであったが、岩礫地帯からもっと巨岩の重なりあった頂上近くまでいっても見つからず、雨よけに立っていた巨岩の下に、礼文で見た白いマンテマの、赤いのを見た。アポイマンテマである。ヒダカソウと同じ仲間の花にはインスブルックの雪渓で出あった。ピレネーやアルプスにかけてあるという。また、カナディアンロッキーの山麓地帯で、黄のハンショウヅルの咲いているのを知った。カナダではカタクリも黄に咲く。岩石の内容によるのであろうか。
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