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花の百名山134

时间: 2020-06-28    进入日语论坛
核心提示:伊豆《いず》ケ|岳《だけ》   アズマイチゲ まだ、今の西武池袋線が、武蔵野鉄道とよばれていた頃、いつも春や秋には飯能か
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伊豆《いず》ケ|岳《だけ》
   アズマイチゲ
 
 まだ、今の西武池袋線が、武蔵野鉄道とよばれていた頃、いつも春や秋には飯能から、正丸峠、伊豆ケ岳、|子《ね》ノ権現へのコースが東京市民(その頃は都民ではなかった)の健康と行楽によい山歩きと書いて宣伝するビラが、駅の構内に貼られていた。
有名なところは、人間が多くていやという気持ちが子供時代から強かった私は、あまり宣伝されていない奥多摩の山々などに惹かれて、戸倉三山、高水三山、武州御岳、大岳などをよく歩き、戦後になって、正丸峠を通過するのは、秩父の山々を歩くときだけで、伊豆ケ岳に登るなどとはほとんど考えなかった。そういう私に、伊豆ケ岳は花の山と教えてくれたのは、今は故人となった野庄司氏で、八十歳を越えてなお、定期券を求めて、月に二十日は正丸峠から、伊豆ケ岳方面を歩いて、山の花のスケッチをするとうかがい、びっくりしたり感心したりした。その千枚にもなる野の花山の花の絵もすぐれていて、ほとんどが伊豆ケ岳中心と聞いては、どうしても登らなければと、つい最近の三月半ば、正丸峠の六五〇メートルから伊豆ケ岳の八五一メートルに登り、|天目指《あまめざす》峠の四八〇メートルまで一二キロ近くを歩いて来た。
山麓にヤマトタケルが猪狩りをした記念のモミの木の二代目があって、ミコトはここを通って、両神山にいったのかもしれないと思ったり、この展望のよい尾根道が、早春の花々でいっぱいなのに感激した。カワラナデシコ、ヤマルリソウ、コウゾリナ、キンミズヒキ、キケマンなどは、まだ若い芽や葉を見せているだけだったけれど、ミツバツチグリ、アオイスミレ、タチツボスミレ、キランソウは黄に紫の濃淡にと咲きさかり、クヌギ林の去年の落ち葉の下から、アズマイチゲが白い花片の裏をうすい紫に染めていっぱい咲いていた。下山して来ての道ばたの川のほとりにもいっぱい咲いていて、だれもとるひとがないらしいことがうれしかった。
人蔘は明日蒔けばよし帰らむよ
|東一華《あづまいちげ》も花を閉ざしぬ
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