ユキツバキ
日倉山は新潟県の東蒲原郡三川村にある。新潟市の北の阿賀野川と、白鳥の飛来する瓢湖に近い|五頭《ごず》山連峰が源流となる中ノ沢川、新谷川が村内を流れている。村の南にある日本平山の一〇八一メートルは、スキーの名所として名高く山頂に一等三角点がある。日倉山の八四四メートルは、三川村から日本平山にと登る尾根の途中のピークなので、山名辞典にものっていないが、花の多い山である。列車は磐越西線の三川駅か|五十島《いかしま》駅か|東下条《ひがしげじよう》駅下車。古代から交通の要衝として知られ、平等寺という寺には、新潟県で二番目に古い永正年間(一五〇四〜一五二〇)の薬師堂があり、国宝の薬師仏をおさめている。戸隠山の鬼女を退治したという「紅葉狩」の主人公の|平 《たいらの》|維茂《これもち》の墓もある。
日倉山は故猪俣信市氏主宰の新潟ゴミ会議が中心になって、登山道を整備した山である。まだ伐採したばかりの木の根竹の根で歩きにくく、勾配が急なせいもあって、私は上り下りに九時間もつかって恥ずかしかったが、ゆけどもゆけどもユキツバキの群落なのにまずおどろかされた。木の枝ぶりもしなやかで花はおわっていたが、ヤブツバキより花びらのひらき方も大きく、ずっと華やかな感じで咲いているのは五頭山で見た。高度をますにつれ、タムシバやオオカメノキやコブシが白々と花を残し、アカヤシオもレンゲツツジもミツバツツジも咲いていて花の林の中をゆくようであった。そして下草にアズマイチゲがオオバユキザサがヤマエンゴサクが。実になったカタクリも多く、頂上近い雪渓の雪のとけた草地には、オオバキスミレもイワウチワもイワカガミもあった。
日倉山は守門岳と似ていて、登山口から稜線に出るまでは稲妻形の急坂がつづくけれど、あとは一本道で急坂をひた登りに登り、その道の両側が花いっぱいというかたちをとり、花に迎えられ、花に見送られて疲労感が少ない。北にまだ雪をいただく|飯豊《いいで》山が見えて、この眺めもすばらしかった。
雪椿山の湯いまだ板囲ひ
日倉山は故猪俣信市氏主宰の新潟ゴミ会議が中心になって、登山道を整備した山である。まだ伐採したばかりの木の根竹の根で歩きにくく、勾配が急なせいもあって、私は上り下りに九時間もつかって恥ずかしかったが、ゆけどもゆけどもユキツバキの群落なのにまずおどろかされた。木の枝ぶりもしなやかで花はおわっていたが、ヤブツバキより花びらのひらき方も大きく、ずっと華やかな感じで咲いているのは五頭山で見た。高度をますにつれ、タムシバやオオカメノキやコブシが白々と花を残し、アカヤシオもレンゲツツジもミツバツツジも咲いていて花の林の中をゆくようであった。そして下草にアズマイチゲがオオバユキザサがヤマエンゴサクが。実になったカタクリも多く、頂上近い雪渓の雪のとけた草地には、オオバキスミレもイワウチワもイワカガミもあった。
日倉山は守門岳と似ていて、登山口から稜線に出るまでは稲妻形の急坂がつづくけれど、あとは一本道で急坂をひた登りに登り、その道の両側が花いっぱいというかたちをとり、花に迎えられ、花に見送られて疲労感が少ない。北にまだ雪をいただく|飯豊《いいで》山が見えて、この眺めもすばらしかった。
雪椿山の湯いまだ板囲ひ