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花の百名山174

时间: 2020-06-28    进入日语论坛
核心提示:早月尾根《はやつきおね》   ベニバナイチゴ 四十九歳の時の六月半ば、立山の雄山の上から北の空へと眼を放つと、|大汝《お
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早月尾根《はやつきおね》
   ベニバナイチゴ
 
 四十九歳の時の六月半ば、立山の雄山の上から北の空へと眼を放つと、|大汝《おおなむち》山、真砂岳、別山、前剣などの険しくきびしい岩稜の彼方に、剣の鋭い穂先を並べたような頂きが見え、ここからは健脚のひとで五時間半と、同行の志鷹光次郎さんが言い、よければいつか案内しますよと言ってくれた。足のろの私なら八時間、一ノ越に泊まって、朝五時に出れば、よくて午後の三時にはつけると思った。からだが宙吊りになるような怖い岩場があるそうですねと言うとわらって、大したことはありません。
志鷹さんがなくなってからも、雷鳥沢から登って剣沢の小屋に泊まってと何度も考えたが、一番やさしそうなのが、早月尾根からの道らしいと聞いて、七十八歳の秋の九月に、馬場島から歩いて標高差一五〇〇メートルの伝蔵小屋に一泊、頂きまでの五〇〇メートルを歩く予定をたてた。昭文社の地図のコースタイムは、伝蔵小屋まで六時間、頂上まで三時間三十分である。
その前日に松本で講演。頂上へいって下りたあくる日に富山で講演の予定であった。
利尻山の標高差一七〇〇メートルを十二時間で登って下りたのは、七十代にさしかかったときである。この時は早月尾根を十一時間、翌日は雨が降って来たので、頂上まであと三〇〇メートルの二七〇〇メートルのところで引き返して午後二時に馬場島についた。小屋から標高差二〇〇メートルを登り、下まで一七〇〇メートルを下るのに、七時間である。この時の肉体的状況は松本で好物の馬刺しを三人前食べ、早月尾根の登りにベニバナイチゴのまだ青い実を二十ケ食べて、小屋に着いておなかをこわしてまた絶食。ポカリスエット五本だけで登って下った。
一緒に登ってくれた伝蔵さんは、翌年の九月病死され、あの登りの時も病気を体内にもっておられたのだと思い、暗然とした。
早月尾根には花が多かった。下から上まで高度に合わせての植生の変化がおもしろかったが、私にはベニバナイチゴの咲き残りの赤い花だけが目立った。
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