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花の百名山176

时间: 2020-06-28    进入日语论坛
核心提示:太郎兵衛平《たろべえだいら》   ミズバショウ 太郎兵衛平は、北アルプスとよばれる飛騨山脈の一番奥とも言いたい場所にある
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太郎兵衛平《たろべえだいら》
   ミズバショウ
 
 太郎兵衛平は、北アルプスとよばれる飛騨山脈の一番奥とも言いたい場所にある。
富山から美女平の九七〇メートルでケーブルを下りてブナ坂、弘法平、松尾坂、天狗平の二三〇〇メートルから室堂の二四〇〇メートルまで、標高差一四〇〇メートルを二五キロ、東京から夜行列車で来て、朝から夕方まで歩き通して雷鳥荘に一泊したのは四十九歳の頃である。水のたまった左膝に懐炉を結びつけながら、途中で新しい山靴の馴染まないのをガイドの佐伯民一さんの地下足袋にかえてもらって、思えばよく歩いたものだと今は思う。そこから雄山の二九九二メートルを往復して、一ノ越から龍王の二八七二メートル、鬼の二七五〇メートルと急な雪渓をわたり、ザラ峠の二三四八メートルまで急降下して、雨が降り出した中を、五色ケ原荘まで一八キロ。次の日は雨で小屋に休んだが、焚いているイロリの中の薪の煙に部屋の中じゅうがむせかえるばかりで、息苦しさに外に出た。六月半ばというのに積雪一メートル、立山山麓の|芦峅寺《あしくらじ》の長老、志鷹光次郎さんが、スコップを持ち出して雪を掘っていた。聞けばアザミの葉を味噌汁の実にして食べさせてあげたい。元気が出るからという。雪の下のアザミの新芽の緑が眼に冴えざえと鮮やかであった。雪の下でも春の芽を出すのですかと聞けば、この雪は一ケ月前の吹きだまり。この高原も五月には雪がとけて草が芽ぶくのだと教えてくれた。小屋に入ると、リーダーの近藤信行さんはじめ三木慶介さん、故尾崎賢治さんなどが、澄江さんは薬師を越したら、太郎兵衛平から有峰に下ろした方がいいのではないかと話しあっていた。あまりにも足がのろい。薬師から太郎兵衛平、北ノ俣岳、黒部五郎、三俣蓮華、西鎌尾根、槍ケ岳、上高地までというその山旅はまだほんの序の口に入ったばかり。あと三〇〇〇メートル級の山は五つ。歩程は八〇キロ近く残っている。太郎兵衛平から有峰までは一〇キロ。その山旅は『婦人公論』に、五十歳を前にした女の山旅ということで私が頼まれたもので、有峰に下りてしまえば、私にとっては敗北的な結果の報告になる。
たしかに私の足はのろかった。左膝が、登るときはよいが、下るときは猛烈な痛さで、片足でピョンピョンと跳んでゆかなければならぬほどであった。出発する時に医者にいって、注射針でたまった茶色の水を抜いてもらって来ていたのである。でも私は、四つん這いになっても終わりまで歩くと言い、それを助けてくれたのが、志鷹光次郎さんであった。おだやかな声音で「大丈夫です。ゆけますよ」といってくれ、私はむくんだ膝に、懐炉をズボン上から結びつけ、槍沢などは、遺骸を運ぶような|橇《そり》に結びつけられ、梓川の谷はリヤカーにのせられ、タイヤがパンクして横尾から歩いてころんで全身を打ち、夜の十一時に西糸屋に辿りついたのである。
その日から二十五年たち、七十四歳になった私は、あの長い山旅の一ケ月あと、左膝の上の大腿骨を骨折し、二度の手術で三センチ短くなった片足のまま、有峰から太郎兵衛平に登った。光次郎さんはもうなくなって、息子の忠一さんが一緒であった。夏の陽射しは強く、一〇〇〇メートル近い高度差にあえぎながら、ともすれば休みたくなる私を、お父さんと同じやさしい声音で、忠一さんははげましてくれ、もっと風通しのよい、涼しいところがあるからと導かれたところの右側のシラビソの樹林帯の中に思いもかけぬミズバショウの五、六本が大きな葉をひろげていた。その力強さ。その緑の|逞《たくま》しさ。ミズバショウはたくさんあるからよいというものではないことを知らされた。ミズバショウの咲くところにほとんど咲くリュウキンカは見当たらなかった。
太郎兵衛平は薬師岳と黒部五郎岳の中間にあり、池塘のまわりにはムシトリスミレ、チングルマ、シナノキンバイが咲き、黒部の清流に注ぐ薬師沢を前にした北アルプスの楽園である。私はもし生きていて九十歳になったらこの小屋に滞在して、山々を見て黒部川の瀬音を聞いて、一ケ月くらいのんびりとすごしたいと思っている。
水芭蕉沼湿原に変りつつ
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