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花の百名山184

时间: 2020-06-28    进入日语论坛
核心提示:大杉谷《おおすぎだに》   イワチドリ・ササユリ 大杉谷へと心をそそられた私の好きな歌がある。娘時代に六、七年ほど、慶応
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大杉谷《おおすぎだに》
   イワチドリ・ササユリ
 
 大杉谷へと心をそそられた私の好きな歌がある。娘時代に六、七年ほど、慶応義塾大学の十四番教室で、『源氏物語』の講義をうかがった折口信夫氏のもので、氏は釈迢空という名の歌人であった。
|葛《くず》の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり
「海やまのあひだ」にあり、壱岐の島へゆくと、ここが、この歌がつくられた場所という、一つの丘がある。しかし、この歌は大杉谷を下られてのものではないかと、折口氏を師とする故山本健吉氏が書かれたのを読んで以来、自分の足で確かめたかった。
大杉谷は、奈良県と三重県の境の大台ケ原の日出ケ岳一六九五メートルから、北東に三重県の宮川ダムのほとりの八〇〇メートルぐらいのところまで、渓流沿いに下る。昔はひどい難所だったらしいが、今はよく整備されたという。
東京から名張に出て、|橿原《かしはら》から津風呂ダムのほとりを過ぎて、一六九号線の|伯母《おば》峰峠から大台ケ原ドライブウエイで、準平原のひろい台地上にたてられた宿の前に着いたのは十年前の夏である。谷を下るのは翌朝なので、その日はハリモミやイチイやトウヒなどが茂りあう原生林を散歩したり、ここが修験道の山であることを示す|大蛇《だいじやぐら》の岩壁の上にたって「のぞき」をやってみたりした。
じつは山の集まりのひとたちが前年の夏に下っていて、その旅には私もいったのだけれど、体調が悪く、とても二〇キロ以上の山道を下る自信がなかった。私は歩く気がしない時は簡単にまた今度とあきらめてしまう。そして今度はバスに乗っているうちから雨であったけれど、何が降ってもゆくと勇みたっていた。さて朝の六時に出発。前年に来た時に、日出ケ岳のツクシシャクナゲは満開だったが、この年は咲かず、シャクナゲ平までの四〇〇メートルの急な下りは、両側全部シャクナゲなのに花は少なくて、シロヤシオの花が咲き残っていた。堂倉滝を過ぎ、午前十時に光滝の前で休んでいると、登ってくる高校生と先生の五、六人がいて、昨夜は桃ノ木小屋に泊まり、出発して三時間という。その速い足どりを見送りながら、はっと気づいた。折口先生は中学生の教え子をつれての旅であったから、あの速さで下から来られ、大台ケ原上でキャンプして歩いて伯母谷に出られたのではないか。そして柿本人麻呂の歌に出てくる|莵田野《うたの》に出られたのではないか。
あのあたりはクズが茂っている。莵田野の「森野薬草園」では、昔から葛粉を生産しているなどと思いながら、桃ノ木小屋まで、次々と現れて谷をどよもす滝の轟音に導かれるようにして、小さな起伏をくりかえす急崖沿いの道には、まずツツジ科の花々が美しかった。サラサドウダン、アカヤシオ、アケボノツツジ、モチツツジなど。ササユリが香り、サワギクが群れ、崖にはイワナンテン、イワギボウシ。そして、崖の下の湿った土にはじめて見たイナモリソウのうす紅。藤原岳で見たヤマトグサもあった。小屋まであと一時間というとき、まっ黒なヘビが横切ってぎょっとした。しかしそれはまだ序の口で、私は生まれてはじめてサンショウウオの子供らしいのが、崖の下の水たまりからヨタヨタと道を横切って、渓流にずるずると入ってゆくのを見た。四本脚で一五センチの長さ。いろは黒褐色。さいごに悲鳴をあげたのがヒル。崖のイワチドリに近よってみていたら、山靴と靴下の間が五センチほど、足が出ていて何か異物がいる感じ。見ると三センチほどのうす紅のヒル。あっと、つまんで捨てながら山靴を中心に、二十匹ほど、首をそりかえらした形のヒルが、ぬれた道を這って私におしよせる体勢をとっているのを見た。ぞっとした。
桃ノ木小屋についてその話をすると、仲間が急に足をかき出した。あくる日も雨。宮川ダムのそばでバスに乗るとき、靴下やズボンをよく見てと二十人あまりの仲間に言い、皆、外に出てしらべたら、牛乳瓶に八分目ほどのヒルが集まり、大杉谷はやっぱり秘境ねと、一同溜息をついたのである。そしてクズはどこにも見当たらなかった。
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