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花の百名山186

时间: 2020-06-28    进入日语论坛
核心提示:冷水山《ひやみずやま》   イワナンテン |果無《はてなし》山脈は、奈良県と和歌山県の東西の県境となり、北に上湯川が、南
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冷水山《ひやみずやま》
   イワナンテン
 
 |果無《はてなし》山脈は、奈良県と和歌山県の東西の県境となり、北に上湯川が、南に東の川、広見川が流れ、上湯川は平谷で十津川に注ぎ、平谷の対岸に玉置山の一〇七六メートルがある。老杉茂りあう中に、立派な神社があり、熊野三山の奥社と言われていて、裏の頂上にシャクナゲの群落がある。『太平記』に奈良から熊野三山を目指した大塔宮が、熊野は北条方と知って十津川に向かわれた時越えられた三十余里、一二〇キロの、人里とてなく、山に伏し、岩に枕して、深い谷、切りたつ崖の路をゆかれたというのは、私がつい最近、田辺から新宮山岳会の玉岡憲明さんの車で果無にむかった路ではなかったろうか。富田川のながれをさかのぼり、滝尻王子で熊野道を右に、左の|賽《さい》の目林道に入ると、右に左に、堆積岩の層の褶曲したかたちの急崖が、今にも崩れそうな危うさで迫ってくる。深い水のいろをたたえた渓流が谷底に白く泡だって流れている。急崖にはイワナンテンがいっぱいある。安堵山の一一八四メートルと冷水山の鞍部について、安堵という山名は大塔宮がここまでくれば大丈夫と安心されたからという。実際に十津川村にゆくためには、最高峰の冷水山より東にブナノ平の一一二一メートルを下って、果無越の道をとおるのだが、とにかくあとは稜線伝いなので、宮も安心されたのであろう。じつはあとで玉置山には玉置庄司という北条方の豪族のいることを知るのだが。
さて、その名にあこがれて私の歩いた尾根道は、葉の落ちつくしたシャラの木やリョウブの原生林で、初冬の陽に映えて、その樹肌のくすんだ朱赤が美しく、ところどころにブナの大木があって、その実がいっぱい落ちていた。コウヤボウキもミヤマアキノキリンソウも花がらとなり、冷水山の手前の一二三五メートルのピークあたりから残雪が多くなった。キツネの足あとが点々とついて、十津川村の方に下りている。大塔宮の頃はツキノワグマも、もしかしてオオカミもいたのではなかったか。冷水山頂からの眺めは熊野路の重なりあった山々が、一幅の日本画のように雲に浮かんで素晴らしかった。
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