返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

花の百名山187

时间: 2020-06-28    进入日语论坛
核心提示:伊吹山《いぶきさん》   イブキジャコウソウ 伊吹山の一三七七メートルは、関ケ原の真上に、巨大なケモノのようにうずくまっ
(单词翻译:双击或拖选)
伊吹山《いぶきさん》
   イブキジャコウソウ
 
 伊吹山の一三七七メートルは、関ケ原の真上に、巨大なケモノのようにうずくまっている。伊吹山に眺めいった視線を左に放てば、琵琶湖の水面が光り、比良山地から比叡の山々が屏風のように連なっている。十五歳の関西への修学旅行の時から、東海道線で仰ぐべきは富士山と伊吹山ときめていた。ヤマトタケルノミコトという悲劇の皇子がここで、多分まつろわぬ民と思うひとたちに敗れて、三重の|能褒野《のぼの》まで来て、からだが三重に曲って歩けなくなり、哀切な歌を歌って亡くなる。
|倭《やまと》は 国のまほろば たたなづく 青垣
山|隠《ごも》れる倭しうるはし
命の |全《また》けむ人は |畳薦《たたみこも》 |平群《へぐり》の山の
|熊白檮《くまかし》が葉を |髻華《うず》に挿せ その子
伊勢から大和までは、九州より東国よりずっと近いのに、山々の間を抜けていけば、三日もあればゆけるのに力尽きて倒れ、御陵から白鳥の姿になって天駆けていった皇子。『古事記』の中にこんなロマンティックな死を迎えたひとはいない。しかし民俗学者の谷川健一氏は、ミコトの東征というのは、鉱山さがしの旅で、鉱毒を含んだ水を飲んで水俣病になってなくなられたのだとその著の『青銅の神の足跡』に書かれ、私もその説に賛成している。ミコト伝説を持つ東国の山々は、じつに必ずといっていいほど、その近くに鉱山のあとがある。私は自分で登った両神山、上州|武尊《ほたか》、黒川鶏冠山、|八溝《やみぞ》山、足柄山、武甲山、武州御嶽でそれをたしかめたから。そして今、伊吹山といえば私にはイブキジャコウソウのふるさととなった。はじめて出あったのはどこの山であったか。北アルプス。浅間の高峰山。シソ科の野生の花の中で一番の華麗さである。香りもよい。
もう二十年近い昔になったが、丈余の雪の中に、ようやくバス一台分だけ道を開けた五月の伊吹山の頂上に立って、ヤマトタケルの石像に敬意を表し、足許の石炭岩の中にウミユリの化石をさがし、頂きの花は、咲き初めたイブキジャコウソウがじゅうたんのようにいっぱいなのをよろこんだのである。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%