返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

きれいなお城の怖い話06

时间: 2020-06-30    进入日语论坛
核心提示:豪華な宴《うたげ》の果てに けれどしだいに、生贄の娘を手にいれるのは、難しくなってきました。農夫らは城に連れていかれた娘
(单词翻译:双击或拖选)
豪華な宴《うたげ》の果てに
 
 けれどしだいに、生贄の娘を手にいれるのは、難しくなってきました。農夫らは城に連れていかれた娘たちがいったいどうなったか不審に思うようになったのです。バートリ伯夫人が十幾つも城を持っているということは分かるが、短期間に集められ城に上がっていった何百人という娘たちはいったいどうなってしまったのか。あれから娘からの便りもなく、親が会いにいっても見えすいた言い訳をするだけで、会わせてもらえない。いったい娘たちは、どこに行ってしまったのか?
しだいに農夫は娘を手放すのをいやがるようになったので、もっと遠い地域まで手を伸ばさなければならなくなりました。パン屋の女房、洗濯女などあらゆる階層の女たちが、多額の礼金にそそのかされ、この「狩」にかりだされました。娘を待っているのがどんな運命なのか、みな薄々分かっていても、気にかける者はいませんでした。ときには彼女たちの誰かが、金ほしさに自分の娘を差し出すことさえあったと言います。
そんな娘たちを集めて、ある日豪華な宴がひらかれました。農夫の娘たちは垢《あか》だらけの体をこすられ、髪をとかし、香油を擦り込まれ、きれいに着飾らされました。したくが終わって大広間に導かれた彼女たちは、思わずハッと息をのんだのです。
燭台《しよくだい》に火がともされ、銀食器やグラスがならぶ大きいテーブル、豪奢《ごうしや》な錦《にしき》のタペストリー、繊細な彫物のあるビロードの椅子《いす》と、何もかも初めて見るものばかり。ただの召使の自分が何でこんなところに招かれたのかしらと不審に思いながらも、娘たちはぎこちなく席につき、不安げに互いにヒソヒソ話をかわしました。
そこにいよいよ女主人エリザベートが、ゆいあげた髪に真珠をかざり、豪奢な紫のビロードのドレス姿であらわれました。ポカンと口をあけて娘たちが見まもるなかで、彼女はすっくと座の中央に立ち、会食者たちをゆっくり眺めわたします。
そして、饗宴《きようえん》ははじまりました。香辛料のきいた焼肉、鶏の臓物、アマンドのパテ、蜜入りケーキ、最上の葡萄酒《ぶどうしゆ》……。豪華なごちそうが次々と運ばれるなかで、気づまりに黙りこくりながら、娘たちは必死にナイフとフォークをあやつり、時おり互いに物問いたげに目を見かわすだけで、エリザベートをまともに見る勇気はありませんでした。
ドアのそばでドルコは女主人の命令を待っていました。やがて彼女が合図を受けて後ろ手にドアを開くと、ヨーとフィツコが手にナイフをもって入ってきて、テーブルのうえの蝋燭《ろうそく》のしんを切りはじめました。何かの遊びかしらと思って、娘たちは黙って見ていました。その作業も終わると、布の触れ合う音やひそひそ話もしずまり、部屋はしいんとした静寂と闇《やみ》につつまれました。
そのとき、部屋のどこかで獣じみた叫びがあがりました。娘たちがうろたえて立ち上がったりヒソヒソ囁《ささや》きかわしたりする声で、にわかに部屋はざわめき立ちました。「動いてはいけない! そのまま席にいるのだ!」そう叱《しか》りつけながらヨーとフィツコは手早く闇のなかで、娘たちの首をはねていきました。彼らが部屋のなかを黙々と歩きまわり、闇のなかで娘の首を手探りでさがしては間違って相手の手にふれ、くすっと笑いをもらすのが聞こえ、つづいて身も凍るような叫びがあがります。
ついにすべてが終わったとき、部屋はまた、果てしない静寂につつまれました。やがて燭台に火がともされ、血まみれの首や華やかなドレスをつけた首のない胴体が床にころがっているなかで、エリザベートは突然猛烈な食欲でその夜の御馳走《ごちそう》をたいらげたのです。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%