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きれいなお城の怖い話12

时间: 2020-06-30    进入日语论坛
核心提示:良識への挑戦これまでサドは父の言いなりに軍人になり、政略結婚をし、貴族社会の枠のなかで生きるのに、何の疑問ももっていませ
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良識への挑戦

これまでサドは父の言いなりに軍人になり、政略結婚をし、貴族社会の枠のなかで生きるのに、何の疑問ももっていませんでした。そんな彼に、今度の事件は目の覚めるような思いでした。はじめて彼は、自分が今まで父の与えてくれた世俗的な富や名誉に何の関心も抱いてこなかったことに気づきます。では自分にとって生きる意味とは? 自分が我を忘れてしまえるような歓喜の瞬間というのは、どこにあるのか?
彼にははじめて分かったのです。彼が自分の夢を思うぞんぶん解き放つことのできる場所はただ一つ、娼婦たちのいる悪所にほかならないこと。そこだけがあらゆる制約を越えて彼が思いきり羽をのばし、自分の夢と空想を羽ばたかすことのできる場所なのだということが……。
こうして彼は一人のリベルタンとして生きることを決意します。リベルタンとは道徳的束縛や種族保存の自然法則にそむき、ひたすら性的快楽のみを目的とし、肉欲を知的に洗練させることにのみ生きがいを感じる男たちのことです。この退屈でつまらない現実を忘れ、密室での甘美なエロティシズムの世界に思うぞんぶん酔いしれること……。
けれどそんな彼に、現実は容赦なく糾弾の刃をむけてきます。今やサドは要注意人物になったのです。警察は事件後、彼の監視をいっそう厳しくし、司法警察官は、彼の行動を逐一調べあげては、次々と上司に報告するのでした。
しかしサドの乱行はおさまるどころか、激しくなっていくばかりでした。数人のパトロンから金をまきあげている怪しげな女優に入れあげたり、もとオペラ座の踊り子で今は賭博場《とばくじよう》を開いている半|玄人《くろうと》女のボーヴォワザンをかこったり……。
一七六五年にサドは、そのボーヴォワザンを連れてプロヴァンスのラ・コスト城におもむき、彼女を妻と称しては、貴族たちを招いて淫《みだ》らな宴《うたげ》をもよおして、たちまちスキャンダルになりました。この事件はリベルタンとして生きることを決意していたサドの、最初の良識への挑戦でした。自分にむけられる人々の好奇と軽蔑《けいべつ》の視線をふりはらうため、彼はわざとスキャンダラスな行為をかさねるのです。その後アルクイユ事件からマルセイユ事件まで加速度的に高まるスキャンダルのなかには、彼の世間にたいするある種の居直りが感じられます。
六七年、六十五歳で父サド伯爵が死に、同年八月ルネ夫人が長男を出産しましたが、子供が生まれてもサドの放蕩《ほうとう》は止《や》みはしませんでした。貞淑な妻のそばより、妾宅《しようたく》や怪しげな商売女のもとで過ごすほうが多かったのです。彼の放蕩はしだいにイライラしたテンポのから騒ぎに変わり、夜昼となく部屋に女を連れこんでは責めさいなんだり鞭《むち》うったりが続きます。下男は町に出かけては商売女を手当りしだい主人のために連れてくるのでした。
が、金で買える快楽に、しだいに彼は飽きてきました。ふくらむばかりの想像力を満たすため、彼はこれまでと少し違った、ある実験をすることを決意したのです。それを行うことで、再び牢《ろう》にほうりこまれる危険もあえて冒して。これが有名なアルクイユ事件です。
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