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きれいなお城の怖い話14

时间: 2020-06-30    进入日语论坛
核心提示:異常な性癖鞭で女をうつことで快感をおぼえるという性癖。これはのちにクラフト・エービングが彼の名にちなんで「サディズム」と
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異常な性癖

鞭で女をうつことで快感をおぼえるという性癖。これはのちにクラフト・エービングが彼の名にちなんで「サディズム」と命名した性的倒錯にほかなりません。それまで曖昧《あいまい》な疑惑につつまれていた彼の異常な性癖が、このスキャンダルではじめて明るみに出てしまったのです。
とはいえ、彼のサディズムはどちらかというと初歩的なもの。ジル・ド・レやエリザベート・バートリのようにつぎつぎと罪もない者たちを虐殺したわけでもなく、せいぜい女を鞭うったり縛ったりして、女が恐れおののく表情や涙や哀願、叫び声、血のにじんだ尻を見ているだけで十分だったのです。さしずめ現代なら、巷《ちまた》のS・Mバーとやらで、当事者の了解の上でやられているS・M行為とおなじこと。ただしそれが了解済みでなく、誘拐などの手段で女を調達せねばならなかったところに、サドの弱みがあったのですが。
教育もなく、貧乏にやつれた女乞食は、サドがこれまで相手にしてきた女優や貴族の女たちとはぜんぜん違っていました。男にちやほやされたこともなく、男をたらしこむ手管も身につけておらず、火遊びなんてしゃれた経験もない。
そんなところが、かえってサドには新鮮におもえたのでしょう。うぶで信じやすい女をいじめることで、サドの与える拷問はなお効果的になります。相手がうける精神的苦痛が重ければ重いほど、それが彼の快楽を増すのです。つまり了解済みのS・Mゲームでは物足りないというわけ。
まあ、それにしても残虐な殺人を犯したジル・ド・レたちとは違って、ごくおとなしい「サディスト」だったのですね、サドさんは。実際の行為より、イメージの助けを借りて欲望を満足させるタイプです。のちに牢に幽閉されてからは、つぎつぎ完成する作品のなかに、思いっきり自分の倒錯的欲望を発散させたとも言えるでしょう。
モントルイユ夫人は必死でスキャンダルのもみ消しにかかりました。女乞食があの虐待を受けたおかげで半身不随になって、生計がたてられなくなったと、千エキュの慰謝料を要求してきたので、モントルイユ夫人の使いがたずねてみると、女乞食はベッドに起き上がって近所のかみさんたちと井戸端会議に余念のない様子。
たいした怪我《けが》でもないようでしたが、一日もはやく噂をもみ消すことだけを考えているモントルイユ夫人は、いっさいの要求をのむことを承知しました。
十一月十六日、七カ月の拘留のあとやっとサドは解放されました。モントルイユ夫人も今度こそサドも充分反省し、もう二度と自分たちを悲しませるようなことはないだろうと考えたのです。翌年六月には次男も誕生して、サドもよき夫として妻のそばで子供の世話をしたり、庭の手入れをしてくつろいでいました。今でいう家庭サービスというところ。義母も妻も今度こそ彼が改心してくれたと、ほっとしたものでした。
 けれどもその安心も束の間、またもやサドは性こりもなく、家庭に一騒動起こし始めるのです。その原因は、ほかならぬ妻ルネの妹、アンヌでした。
いつからかアンヌは南仏のラ・コストの城で、義兄一家とともに住むようになりました。何が原因かは分かりません。そろそろ年頃の彼女を、母が姉のもとで花嫁修業でもさせようと思ったのでしょうか? それならあまりに不向きな手本を選んだものでした。姉のルネより五、六歳下で、修道院で育ったという彼女について、くわしいことは分かりません。いったいいつ、彼女が義兄のサドと愛しあうようになったかということも。
けれど多分、決定的な関係ができたのは、これからお話しする「マルセイユ事件」のあとだろうと思われます。
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