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きれいなお城の怖い話15

时间: 2020-06-30    进入日语论坛
核心提示:マルセイユ事件の顛末《てんまつ》 マルセイユ事件はラ・コストの城にすむようになったサドが、とつぜん世間を大きく騒がせた事
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マルセイユ事件の顛末《てんまつ》

 マルセイユ事件はラ・コストの城にすむようになったサドが、とつぜん世間を大きく騒がせた事件です。七二年六月半ば、サドは下男のラトゥールを連れて近くのマルセイユにやってきました。下男は、街で見かけた若い娼婦に近づいて、自分の主人が遊び相手を探しているんだが、いい娘はいないかね、と話しかけました。「あたしの知りあいでよかったら、何人か集められるわよ」との返事に、とんとん拍子にまとまり、翌日、娼婦仲間の家に、朝十時に集まることにあいなりました。
その時間に、つぎつぎと娘たちは集まってきました。マリエット、マリアンヌ、マリアネット、ローズなど、みな若い盛りのピチピチした娘ばかり。さてそこにやってきたサドは、灰色の燕尾服《えんびふく》に絹のチョッキ、羽飾りつきの帽子、金の握りのついたステッキという、あいかわらずキザな出立ち。これから何が始まるのかしらと、娘たちは興味しんしん。この分じゃ、いい金儲《かねもう》けになりそうだわ、とひそかに胸算用していました。
部屋に入ると、サドはまずマリアンヌと下男だけをなかに入れて鍵《かぎ》をかけました。二人を裸にしてベッドに横たわらせ、いきなり娘を鞭で打ちはじめると、もう一方の手で下男のあそこを愛撫《あいぶ》しはじめます。そのあいだ、まるで自分が召使のように下男を「侯爵さま」と呼んでかしずき、逆に自分を「ラ・フルール(花のこと)」と呼ばせるしまつ。次にはういきょうの匂《にお》いのするボンボンをポケットからとりだして、マリアンヌにすすめます。実はこれはカンタリスの入ったいわゆる催淫薬《さいいんやく》なのですが、サドは「なんでもない、オナラの出る薬だよ」と口から出まかせを言います。娘がためらいながら二、三つぶ口に運ぶと、今度はサドは娘をいきなり押したおして、後ろから責めはじめます。
つぎにサドはマリアンヌに鞭を渡して、これで打ってくれとたのみます。ちょっとびっくりしましたが、彼女が言われたとおり、サドの尻を力まかせに打ちはじめると、「もっと、もっと!」としだいにサドは興奮してきたようす。やがて急に呼吸があらくなって、そのまま、オルガスムに達してしまいました。
次に呼ばれたのはマリエット。サドは彼女を裸にするとベッドの足下にひざまずかせ、鞭で打ちはじめます。娘のあげる甘美な悲鳴をおもいっきり楽しんだら、今度は彼女に自分を打ってくれと頼みます。打たれているあいだ、受けた鞭の数を壁にナイフで刻みつけました。八五九という数字があとに残っていたといいます。つぎには彼女をベッドに倒して犯しながら、一方で下男に自分を後ろから犯してくれと命じます。
つぎにローズが呼ばれ、やはり裸にされてベッドに横たえられます。サドの命令で、今度は下男が、彼女に襲いかかります。ひとしきり二人がくんずほぐれつやるのを見物してから、つぎにサドはさっきのように娘を鞭うちながら、一方の手で下男を愛撫。鞭うちが終わると、今度は下男に娘を後ろから犯させて見物します。
最後に呼ばれたのは、マリアネット。が、彼女はベッドにころがる血まみれの鞭を見て、キャッと叫んで逃げ出そうとします。それをサドが後ろから捕えて無理やり部屋に引き入れます。つぎにさっき出ていったマリアンヌをまた呼び入れて寝台におしたおします。そしてマリアネットに「よく見てろよ」と命じると、マリアンヌをひとしきり鞭でうってから、後ろから犯します。すると今度は下男が彼を後ろから攻めはじめ、三人の男女のからみ合いにとあいなります。あまりのことにマリアネットは、部屋のすみでじっと両手で目をふさいでいたとか。といってもこわいもの見たさが人情というもの。ふさいだ両手の指のあいだから、チラチラ見ていたのでしょうネ。
この事件の異常さはいやおうなく人々の好奇心をそそり、マルセイユからパリまで、口から口に、しだいに噂はふくれあがっていきました。「サドが舞踏会をひらいて、客たちにカンタリス入りのチョコレート・ボンボンをふるまった。これを食べた客たちはみな激しい色情的興奮にかられ、あらゆる淫乱行為におちいり、舞踏会はローマの饗宴《きようえん》に一変した。この淫乱のため、その後多くの人が死んだり体の不調に陥った」というものや、「サドが若い娼婦を集めてらんちき騒ぎをし、果ては彼女たちの数人を毒殺してしまった」というもの……。こうして毒殺者、生体解剖家という汚名が、はなばなしく語りつがれることになるのです。
事件から三日後、ボンボンを食べさせられたマリアンヌが胃に燃えるような痛みをおぼえ、黒い血のまじった液体を何度も吐いたことを訴え出たので、マルセイユ地方裁判所がうごきだしました。彼女の吐瀉物《としやぶつ》は分析され、他の娘たちもつぎつぎ呼びだされて訊問《じんもん》をうけました。
サドと下男に逮捕状が出され、ラ・コストの城が家宅捜索をうけました。九月三日にはマルセイユの裁判所で欠席裁判が開かれ、十一日には判決がくだされました。「毒殺未遂と鶏姦《けいかん》の罪で有罪とみとめられたサドと下男ラトゥールは、首に縄をかけられ、教会堂の前にひざまずき、一キロの蝋燭《ろうそく》を手に、神と国王と法律に謝罪した後、サン・ルイ広場の処刑台で、サドは断首刑、ラトゥールは絞首刑に処せられ、死体は火中に投ぜられ、焼けのこった灰は風に散らされる」……。これがサドら二人にくだされた判決でした。それにしても、媚薬《びやく》を飲ませただけで、毒殺未遂とはね……?
もっとも、本人はとっくに身をかくしていたので、翌日には二人の代わりに彼らの肖像が、町の広場で火刑にされることになりました。
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