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きれいなお城の怖い話24

时间: 2020-06-30    进入日语论坛
核心提示:野獣のような父のもとで一五八四年、七歳のときに母を失ったベアトリーチェは、少女時代をサンタ・クローチェ僧院の寄宿学校でお
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野獣のような父のもとで

一五八四年、七歳のときに母を失ったベアトリーチェは、少女時代をサンタ・クローチェ僧院の寄宿学校でおくりました。ここで資産家の娘たちが年頃になるまで、基礎的な学習や裁縫や行儀作法などを習うのです。
ベアトリーチェは八年間を、このバラ園で埋まった美しい寄宿学校で過ごしました。草原のピクニック、戸外の散歩、先生たちとのお喋《しやべ》りなど、つい目と鼻の先で父が野獣のような生活を送っていることを知ってか知らないでか、ベアトリーチェの少女時代は、無垢《むく》な清らかさに満ちていました。
けれどそんな少女時代も、一五九二年に十五歳で寄宿学校を出て、父のもとに引きとられると一変します。何かというとガミガミどなりちらし、棒を手に追いまわす父。夜は夜で街の女や馬小屋の少年をひっぱりこみ、邸中《やしきじゆう》聞こえるほどの乱痴気騒ぎを繰りひろげる父。
「このときわたしの苦悩ははじまったのです」と、のちにベアトリーチェは言っています。ベアトリーチェは美しい娘でした。黒いしなやかな黒髪、えくぼのある愛らしい顔だち、生き生きした黒いひとみ、ほっそりした華奢《きやしや》なからだつき……。
殴る蹴《け》るの暴力を父から受けるうちに、しだいにベアトリーチェは自分のなかに閉じこもるようになり、何時間も自室のベッドに横たわったり、テヴェレ河に面した窓から、ぼんやり外を眺めていることが多くなりました。
寄宿学校での清らかで楽しい日々と、目の前の野蛮そのものの現実……。あまりに大きすぎるその落差を、いったいどうして埋めたらいいのか、わずか十五歳の少女には、見当もつかなかったのです。
 ベアトリーチェと義母ルクレツィアにとって、夜寝るまえの数時間ほど、辛《つら》いものはありませんでした。夕食後、父のフランチェスコは暖炉のまえに座って脚を温めます。そのあいだルクレツィアとベアトリーチェは、そばで父のあらゆる下品な儀式に参列しなければなりません。
フランチェスコは大声でののしったり、げっぷをしたり、ありとあらゆる下品な仕種《しぐさ》をみせつけます。あげくは穴あき椅子《いす》を持ってこさせ、二人の女たちの見ているまえで、平気で排尿や排便をはじめます。さらには、ただでさえ悪寒《おかん》をもよおしている二人に、無理やり自分の尻《しり》をふかせたりまでするのです。
しばらくしてフランチェスコはかいせん[#「かいせん」に傍点]に悩まされるようになり、今度はベアトリーチェは義母とともに、ベッドに横たわる父の下半身をおおっている赤い吹き出物に、薬をぬりこみ、麻布でこすってやらねばならなくなりました。ベアトリーチェにこすられているうち、フランチェスコはしだいに興奮してきます。興奮が押さえられなくなると、手あたりしだいに侍女をベッドに引っぱりこんだり、妻ルクレツィアを犯したりして、乱痴気騒ぎを繰りひろげるのです。そんな情景を、ベアトリーチェは顔をそむけながらも見ないわけにはいきませんでした。
けれど暴力沙汰だけなら、まだぎりぎりのところで耐えることもできます。ところがある日、うちひしがれたベアトリーチェを襲ったのは、さらに絶望的な事件でした。一五九三年三月十三日の夕方、部屋でベアトリーチェがベッドに横たわっていると、突然父が現れたのです。
びっくりして、急いで毛布でからだをおおいましたが、父のほうはおかまいなしにどんどん入ってきて、ベッドの端にすわりこみます。そして驚いたことに、とつぜんベアトリーチェの毛布をはぎとり、襲いかかろうとしたのです。
ベアトリーチェは叫び声をあげて、ベッドから転がりおちました。脅《おび》えきってあとずさる彼女を、父は執拗《しつよう》に壁まで追いつめます。そしてベアトリーチェが叫び声をあげるのもかまわず、襲いかかって身につけた肌着を乱暴にはぎとりました。そしてそのあとは……。
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