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きれいなお城の怖い話32

时间: 2020-06-30    进入日语论坛
核心提示:敵兵の処刑に興奮けれど、一種の「領地狂い」である祖父の暴挙は、これではおわりませんでした。こんどは花嫁カトリーヌの母ベア
(单词翻译:双击或拖选)
敵兵の処刑に興奮

けれど、一種の「領地狂い」である祖父の暴挙は、これではおわりませんでした。こんどは花嫁カトリーヌの母ベアトリスが、夫に先立たれて新しい夫を迎えようとしていると聞きつけ、そんなことになってはジルがもらい受ける領地が少なくなってしまうと考えた祖父は、彼女の領地であるティフォージュの守備隊長をそそのかして、ベアトリスを誘拐させ、地下牢《ちかろう》にほうりこんでしまったのです。
そして何日間も食べ物を与えず、城の権利を放棄するようおどしつけますが、ベアトリスはがんと首をたてに振りません。いら立った祖父は彼女を皮袋のなかに縫い込んでロワール河畔にはこび、言うとおりにしないと溺《おぼ》れ死なせてやるぞと脅して、本当に彼女をいれた皮袋をしばらくのあいだ河の水に浸《つ》けこんだといいます。恐怖と寒さにガタガタふるえ、窒息寸前になって、さすがのベアトリスも祖父の言うとおりにすると誓いました。時を移さず、祖父はティフォージュ占領をただちに実行したといいます。つくづく腹黒く残忍な男だったようです。
この一四二七年から二九年にかけては、まだ二十そこそこのジルにとって、もっとも楽しい時代でした。彼は若くたくましく美貌《びぼう》で、莫大な財産を持っていました。ときのフランス国王シャルル七世につかえる軍人として、彼はイギリス軍をむかえうつ各地の戦場で、思いっきり自分の殺戮《さつりく》趣味を満足させました。
どの戦いでも彼は軍の先頭をきって、敵陣のただ中に突進するのでした。獲物を追いかける野獣のように、彼はこれときめた敵を逃したことはありませんでした。一旦狙《いつたんねら》いをつけるとどこまでもどこまでも追いつめ、槍《やり》で突き刺し、オノを打ち降ろし、剣で一刀のもとに切り捨てるのでした。殺されて死んでいく敵兵の苦悶《くもん》の叫びが、そのからだからほとばしる血が、彼をなんともいえず酔わせました。彼ほど勇敢で恐れを知らぬ戦士はいませんでした。それを人は忠義心ととり違えましたが、ただ彼はからだの奥のあやしい血の騒ぎに従っただけなのです。
裏切った兵士を絞首刑にしたり、友人が捕えられた仕返しに敵の捕虜をみせしめとして拷問にかけたり……。拷問や処刑には、いつも率先して立ち会いました。生贄《いけにえ》が鞭打《むちう》たれてのたうち、剣で切り裂かれて血の海のなかで悶《もだ》えるのを見て、彼はからだの奥から突きあげるような喜びを感じました。生贄の苦しみが長びくほど、彼の官能は燃えあがるのでした。
幼いころ読んだスエトニウスの『十二皇帝列伝』のなかで、ネロやカラカラなど歴代のローマ皇帝が、あわれな生贄を相手に血みどろの拷問や強姦《ごうかん》をくりひろげ、残虐きわまりない処刑を行うシーンが、そのとき彼の記憶に蘇《よみがえ》るのでした。自分も彼らと同じことをやってみたい。あんなふうに生贄を手あたりしだいに犯し、むさぼり、苛《さいな》み、この手を彼らのドロドロした血や内臓のなかに浸してみたい……。その欲望で、彼の心も肉体も膨《ふく》らみあがるのでした。
 彼が有名な「聖処女」ジャンヌ・ダルクの片腕として、戦場で武勲をあげていくのはそんな頃でした。イギリスとの戦いでつぎつぎと勝利をおさめた彼は、二十五歳の若さでフランス元帥に任命されるのです。そしてこのときから、彼はジャンヌ・ダルクの忠実な腹心として、彼女のそばにつねに付き添い、その身を守るのです。彼のジャンヌへの尊敬は、ほとんど崇拝に近いものだったといいます。それだけに彼女がイギリス軍に捕えられ、処刑されたときのショックは大きく、まるで生きていくための支柱を奪われたような思いだったことでしょう。
当時、ジルはフランス最大の財産家のひとりでした。年収は現金だけで二百五十万フランをこえ、資産は四百五十万フランで、その他に美術品、書籍、家具、綴織《つづれおり》などが十万フランもありました。これらは現代の貨幣価値にすると、何十倍にもなることでしょう。その上、ジルはブルターニュやポワトーやアンジューにいくつも城や砦《とりで》や村を持っていました。これらの富で、ジルはどんなものでも欲しさえすれば手に入ると思い込むようになりました。現実の世界には、どんなものにもおのずから限界があることが、彼には見えなくなっていたのです。
しかし、ジャンヌ・ダルクがイギリス軍に捕えられて処刑され、シャルル国王の軍が一時的に解散してから、ジルは一種の失業者になっていました。これまで彼を駆りたてていた残虐な殺戮や拷問の狂ったような世界から急に解き放たれて、彼は胸にポッカリ穴があいたような、うつろな思いにとらわれていました。
ジルはありあまる富と栄誉と、エネルギーを持っていました。しかし、どんな富もエネルギーも、それを費やす目的がなければむなしいだけです。これまでは、戦場での武勲をたてることが、彼の生きていることの証《あかし》でした。が、これからは、何が彼の情熱の捌《は》け口になるのでしょう。いったい彼は何を求め、何に対して、自分のありあまるエネルギーを向けていけばいいのでしょう?
庶民たちは日々の仕事や雑役や貧困があります。また神への信仰に安らぎを求める人もおり、何かを生み出すことに情熱を燃やす、いわゆる芸術家たちもいます。けれど、そんなすべを持たないジルは、いったい何をしたらいいのでしょう?
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