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きれいなお城の怖い話34

时间: 2020-06-30    进入日语论坛
核心提示:闇《やみ》の世界へこうして現実社会での特権的地位を失った彼は、あとはひたすら闇の世界、神秘の世界に助けを求めるほかはあり
(单词翻译:双击或拖选)
闇《やみ》の世界へ

こうして現実社会での特権的地位を失った彼は、あとはひたすら闇の世界、神秘の世界に助けを求めるほかはありませんでした。このときから、彼の錬金術や降魔術《ごうまじゆつ》への没頭がはじまったのです。このころ彼が異端の罪で牢につながれていた騎士から錬金術の本を借りて夢中になり、騎士を獄中にたずねて色々話をしたのが発端といいます。彼はティフォージュ城に実験室をつくり、錬金術師たちの力を借りてそこに悪魔を呼びだし、悪魔と契約を結んで、卑金属を黄金にかえる秘法を教えてもらおうと考えました。
つぎつぎと錬金術師らが招かれて、その実験室で仕事をしました。ジル自身も実験に参加して、彼らとともに黄金を生み出そうと躍起になりました。こうしてつぎつぎといかさま師が現れては去っていったのですが、いぜんどんなに実験を重ねても、黄金も悪魔も現れませんでした。
そんな三九年、一人の男が登場するのです。フランソワ・プレラーティ、狡猾《こうかつ》で美貌でいきいきとして……、いわゆる悪漢小説のヒーローになるような、魅力的な男でした。イタリア人の司祭でしたが、二十前から降魔術と錬金術をおさめ、しばしば師匠のフィレンツェの奇蹟家《きせきか》フォンタネルとともに、悪魔を呼び出せるようにまでなったのだといいます。ジルに仕えていた一司祭がフィレンツェで彼に会って、自分の主人が神秘学の専門家を召し抱えたがっていることを話しました。それに説得されたプレラーティがさっそくティフォージュに到着すると、すぐにジルはいそいそと実験室に案内し、こうしてふたりは一年半のあいだ、共同で実験を行うことになりました。ジルは一目みるなり、この美貌で博学な若き天才に、すっかりほれ込んでしまったといいます。
プレラーティは彼に、悪魔はいつも二十五歳ぐらいの美青年の姿で現れるのだと説明しました。このバロンという名の悪魔に聞けば必ず莫大な富と不朽の生命を与える『賢者の石』のありかを教えてくれる、そうすればジルのもとめる錬金術の秘法がかならず彼のものになると。
そこである晩、ふたりはティフォージュの実験室にこもり、剣の先で床に大きい輪と魔法の字を書き、つぎには素焼のつぼのなかに炭火をおこし、香と没薬《もつやく》とロカイ草の種子とをつぼのなかで焼きました。立ち上る煙のなかで、「父と子と聖霊と聖母マリアの名にかけて、おおバロンよ、サタンよ、我らのまえに姿をあらわし、われらの願いを聞き届けたまえ」と呪文《じゆもん》をとなえました。が、二時間たっても悪魔はとうとう姿を現さなかったのです。
しびれをきらしたジルはプレラーティのすすめに負けて、ついに悪魔と契約を結ぶことにしました。悪魔バロンに永遠の忠誠をちかい、悪魔の要求するいっさいのものをささげることを署名して誓うのです。
プレラーティがジルに、悪魔を呼びだすには呪文を唱えたり薫煙《くんえん》をたいたりするだけでは駄目で、生き物の血が必要だとほのめかすのは、それから間もなくのことでした。プレラーティの呼び出す悪魔は、もしジルが自分と交信したいなら、少年のからだの一部を差し出すように言っているというのです。
この頃すでにジルの殺人ははじまっていました。が、このときまでは彼の殺人は、純粋に快楽のためだけでした。ところがプレラーティが初めて彼に、殺人と悪魔の結びつきを教えたのです。彼にすすめられてジルはさっそく少年を絞め殺し、手首を切り取り、心臓を抜き、目をえぐって悪魔にささげ、ふたりで祈祷《きとう》を行ったといいます。
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