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きれいなお城の怖い話40

时间: 2020-06-30    进入日语论坛
核心提示:恐るべき告白十月十五日の法廷で、ジルはしおらしく後悔の涙にくれ、ひざまずいて首を深くたれながら、これまでの暴言への許しを
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恐るべき告白

十月十五日の法廷で、ジルはしおらしく後悔の涙にくれ、ひざまずいて首を深くたれながら、これまでの暴言への許しを乞いました。そして彼は裁判官のしめした起訴事実のうち、異端の罪だけは否認しましたが、多くの少年を殺害したことを認め、どうぞ拷問と破門宣告だけは、許していただきたいと懇願しました。
そしてこのとき、ジルの身の毛もよだつ告白がはじまります。このときからこの恐るべき殺人鬼は自分の非を認め、後悔にさいなまれる、敬虔《けいけん》な罪人に一変するのです。
いよいよ十月二十二日、悪名高いこの犯罪者の裁きを見物しようと、四方八方から百姓が集まってきました。傍聴人は室内にはいりきれず、廊下にむらがり内庭に列をつくり、近くの小道をみなふさいで、人馬の往来もとまるほどだったといいます。
陪席判事や主任判事などの面々の居ならぶなかで、ジルの前代未聞の告白が始まりました。やつれた顔で目に涙を浮かべ唇をふるわせ、彼は自分のおかした罪の数々を、こと細かに語りはじめるのです。
どうやって自分があどけない少年たちの肉体を犯し、その首をしめ、胸をかききり、血にまみれた生暖かい臓腑《ぞうふ》をつかみ出したか、ジルを救い手と勘違いした子供たちが、どんなにかわいく彼に甘えたか。どんなにいじらしい様子で彼にしがみつき、助けてくれと懇願したか。その子供をあやしながら、ジルが気づかれぬよう、後ろからそっと首を切っていったときの、子供たちの恐怖はどんなだったか。いまわの際のあわれな叫びと断末魔の苦しみを眺めながら、ジルの手先の者たちが、どんなに楽しげに大声をあげて笑ったか。そのあとで少年たちの死体をためつすがめつして、どんなに熱心に、一番美しい首を選んだか。その首にどんなに夢中で頬ずりしたか……。
満員の傍聴席で、男たちは恐怖の叫びをあげ、女たちは卒倒しました。あらゆる大罪を裁いてきた裁判官たち、懺悔《ざんげ》に耳を傾けることに慣れた司祭たちまでが、真っ青になってひざまずいて十字を切る始末でした。
告白を終えると急にジルは全身の力が抜け、その場にがっくりひざまずくと、神に祈りを捧げ、今度は民衆のほうを向いて、心の底から自分の犯した残虐な行為への許しを乞うのでした。そして自分の魂が救われるよう、ともに祈ってくれと哀願します。身をふるわせ、大声で泣き叫び、ひざまずいて地面に顔をうちつけ、ジルはドラマチックな後悔の独演をくりひろげました。
いささか安手の大芝居という感じですが、この場面は奇妙にも民衆の心をうったのです。本来なら自分たちに目もくれないはずの高貴な大貴族が、自分たちに向かってひざまずき、頭を地にすりつけ涙を流して罪の許しを乞うている。彼が犯した行為の恐ろしさに唖然《あぜん》としていた群衆は、今度は彼の後悔の激しさにびっくりして、哀れみをそそられるのでした。いささか異常な群集心理というべきでしょうか? まだまだ庶民がお人好しで純情だった時代のことですね?
司教は地面にはいつくばっているジルを助けおこして腕に抱き、哀れみのこもった声で囁《ささや》きかけました。「祈りなさい、恐ろしい神の怒りが静まるように。泣きなさい、あなたの涙が汚れた肉体を清めるように」そしてその場の人々はみなひざまずいて、この恐るべき犯罪者のため祈りを捧げるという始末でした。
そして前代未聞のことが起こりました。ジルは裁判長に、処刑場まで司教はじめここに列席した民衆の一大群衆が彼に付きそっていき、彼のために祈りを捧げることを認めてほしいと願い出て、許可されたのです。こうしてジルの手で我が子をさらわれ、恐ろしい残虐行為の生贄にされた当の親たちが、彼のため祈りを捧げ聖歌を歌いながら、刑場まで彼に付き従うこととあいなったのでした。
なんという矛盾、なんという滑稽《こつけい》! でも、これが中世という時代でした。こうしてジルは自分の死を、いささか滑稽だが荘厳かつ神聖な悔恨劇にしてしまったのでした。どうせ死ななければならないのなら、最後まで豪華にいきたいと、贅沢を愛するジルという男の考えそうなことですね?
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