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黒魔術白魔術04

时间: 2020-07-21    进入日语论坛
核心提示:魔女イゾベル一七世紀といえば、恐怖の魔女狩りの真っ直中《ただなか》である。いったん魔女の烙印《らくいん》をおされたら、残
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魔女イゾベル

一七世紀といえば、恐怖の魔女狩りの真っ直中《ただなか》である。いったん魔女の烙印《らくいん》をおされたら、残酷な拷問にかけられて死刑にされてしまうのが、お決まりのコースだった。
ところがその一七世紀に、自分から当局に魔女だと名のりでた一人の女がいたのである。その名はイゾベル・ゴーディ。スコットランドのモレイシャー州に住む、農夫の美しい妻だ。
一六六二年四月十三日、イゾベルはとつぜん当局に自分が魔女だと名のりをあげ、裁判にかけられて、何の拷問も受けることなしに、魔女としての経歴を長々と披露したあと、有罪判決を下され、エルジンのウェストポートで絞首刑に処されたという。
だが、いったいなぜイゾベルは、わざわざ自分から魔女であることを告白したのだろう。当時、魔女だと告白すれば、死刑は逃れられないことを知らなかったはずはない。なのになぜ、彼女はあえてその運命を選んだのだろうか?
現在も残るこのときの裁判調書は、それこそ拷問なくして得られた、もっとも詳細で奇怪な「魔女の告白」として、今も多くの議論のまとになっている。
 イゾベル・ゴーディは、スコットランド、モレイシャー地方の湖畔に住む、農夫の美貌の妻だった。夫は教養のない粗野な男だったが、イゾベルのほうは農婦にはめずらしく、読み書きもできるかしこい女だった。
貧しくはあったが、いちおう夫とも仲むつまじく、平和な夫婦生活をおくっていた。ただし、いつまでたっても子供が出来ないのが、悩みの種だった。そんなイゾベルが、一六四七年ごろ、何の魔がさしたのか、ある男と不倫の関係になった。凡庸な夫にくらべ、どこか冷淡だがニヒルな魅力のあるこの男に、イゾベルはどんどんのめりこんでいった。
その晩もイゾベルは、見えない力に引かれるように、その�灰色の服の男�との逢引《あいび》きの場である、オルレアンの教会に向かっていた。
その�灰色の服の男�が、人気のない教会の祭壇で、突然イゾベルに、自分が実は�悪魔�であることを打ちあけ、手先にならないかと誘ったというのだ。イゾベルは、ガランとした教会に雷鳴のように鳴りひびくその言葉に、一瞬気が遠くなったが、次の瞬間、何かにあやつられるように、思わず「はい」と答えていた。
夢心地のまま、さっそくその場でイゾベルの魔女入団式が行なわれた。彼女は魔女ジャネットの名を与えられ、悪魔は彼女の肩に噛《か》みついて、吸いだした血を彼女に吐きかけた。そしてイゾベルが片手を額に、片手をかかとにつけて、悪魔への服従の誓いをたてて、入団の儀式はおわった。
かくて魔女ジャネットに生まれかわったイゾベルは、夜ごと悪魔のもとで魔術を学び、一定の知識が身につくと、他の仲間たちとともに、魔女として夜の闇《やみ》に活躍するようになったのである。
審問官の、「悪魔と肉体的接触をしたことがあるか」という問いに対しては、イゾベルはうっとりとした表情でこう答えたという。
「はい、忘れられない体験でした。悪魔はいつも荒々しくわたしにのしかかってきました。彼のペニスは、人間のものとはくらべものにならないぐらい、大きくて長いものでした。彼はみんなが見ているまえで、何度もこのわたしを犯したのです……」
イゾベルの告白によれば、悪魔とのセックスは、あくまで悪魔の洗礼の儀式の一部なのだそうだ。
魔女としてのイゾベルたちが使った術は、たとえば次のようなものだったという。ほうきにまたがって空を飛ぶ術、狼や野兎に変身する術、ヒキガエルを他人の畑に放して鋤《すき》をひかせ、農作物を荒れさせてしまう術、疫病を流行らせる術、石を指先で飛ばして人を撃ち殺す「妖精の矢」の術など……。
また、イゾベルの告白によると、魔女のグループはふつう十三人からなっており、そのなかから一人、特に美しい女が選ばれて、主人であるサタンの隣にすわることができるのだという。当然ながらその美女は、いつも他の魔女たちの嫉妬と羨望を一身に集めていたそうだ。
魔女たちがよくやる気晴らしは、墓荒らしだった。墓場から死体を盗みだすのだが,なかでも特に、生まれてすぐ世を去った赤ん坊の死体が、もっとも好まれたという。死体の手足をバラバラにして膏薬《こうやく》をつくるのに用いたり、あるいは細切れにした犬や羊の肉に死体の肉を混ぜて、呪いたい相手の家に投げこんで、こう呪文をとなえるのだ。
「わが主である悪魔の御名にかけて、私はこれをお前の家に置く。最初にこれに手をふれる者の手が、焼けただれてしまうように……」
さらにイゾベルは、ウサギやネコに姿を変えて野山をかけまわったり、ほうきに跨がって呪文をとなえ、つむじ風のように思うさま空を駆けたり、またある日、ウサギに変身していた彼女が、猟犬のむれに追いかけられ、命からがらゆきずりの家に飛びこんで、やっと危機を逃れた経験などを、生々しく語っている。
 ところで一六四七年以来、十五年ものあいだ魔女として�活躍�していたイゾベルが、なぜ突然自らすすんで当局に、自分が魔女であることを告白したのかということについては、実にいろんな憶測がされている。
たとえば、彼女の告白を、狂女の妄想だとして一笑にふしてしまう説。あるいは魔女であることをこれ以上周囲の者に隠しつづけることが出来なくなって、イゾベルが足を洗おうとしたのだという説だ。
といっても、いったん魔女の世界に足を突っこんでしまうと、そこから足を洗うのは容易ではない。結局、自殺か自首しかないところまで追いつめられたのではないだろうか。
かつての恋人で現在の主人である�悪魔�と、不和になったのだろうという説もあるが、すべては推測の域を出ない。
イゾベルの最期についても、エルジンのウェストポートで絞首刑にされたというが、これはモレイシャー地方の伝説にすぎず、公文書や裁判記録上にも、じつは彼女の最期については一言も書かれていないのだ。
イゾベル事件は、公文書に記録された、ほとんど唯一の自発的な「魔女の告白」であるにもかかわらず、あるところまで来ると、突然ぷっつりと記録から消えてしまうのである。
自らすすんで魔女であることを告白し、魔女界の知識を生々しいばかりに披露してみせたあと、いったいイゾベルはどうなってしまったのだろうか?
実はこのイゾベルとその魔女たちの一団が、古くはローマ人やノルマン人によるイングランド征服によって、しだいに北方に追いやられていった、前ケルト人たちの集団だったのではないかという見方もある。
その前ケルト人らがスコットランドの山岳地帯に隠れすみ、何世紀ものあいだ独自の習慣と信仰をまもって生きつづけていたのではないかというのだ。そういわれてみれば、ウサギに変身したり空を飛んだりという術も、一種の忍者の術に似てないと言えないこともない。
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