ローマ皇帝のユスティニアヌス帝は、西暦五二七年に帝位につき、三八年間にわたって帝国を支配した。彼が皇妃テオドラと知り合ったのは、皇帝になる前である。テオドラは競技場の動物飼育係の娘で、歌って踊るスターだった。
夜は高級コールガールに変身し、歴史家プロコピウスによると、テオドラはフェラチオが大の得意ワザだったので、人々は彼女の顔には第二のヴァギナがあると噂したそうだ。
しかし皇妃になってからのテオドラは、コールガール時代の地金を剥き出しにして、つぎつぎと愛人を取っかえ引っかえするようになった。が、好色な彼女の愛人になることは、命にかかわることと同義語だった。
ひとりの男がテオドラを魅惑すると、彼女は彼に富と権力を与える。しかしその権勢は短いもので、彼女が他の男に気をうつしてしまうと、即座に以前の愛人は、男色とか、尼僧と性行為をしたとかの大罪で告訴される。そうなると彼の財産はすべて剥奪され、公衆の面前で裸にされ、激しく鞭うたれて、さらに去勢されてしまうのがふつうだった。
そんな昔の愛人の一人が、あるとき彼女に同性愛として告発されて、教会のなかに逃げこんだ。激怒したテオドラは、教会のなかに兵を連れて踏み込み、その男のペニスを切りとらせ、彼が出血多量で悶え苦しみながら死んでいくのを、嬉々として見届けたという……。