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美しき殺法22

时间: 2020-07-25    进入日语论坛
核心提示:水漬けスイスは山や湖にかこまれた風光明媚な国だが、ジュネーヴから一時間あまり先にあるシヨン城は、「レマン湖の女王」とよば
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水漬け

スイスは山や湖にかこまれた風光明媚な国だが、ジュネーヴから一時間あまり先にあるシヨン城は、「レマン湖の女王」とよばれ、�水の城�としての美しさを讃えられている。はるか彼方にスイスの連山をのぞみ、湖にくっきりと浮かびあがる城は、まるで一幅の名画そのものである。
しかしこの美しい城は、じつは昔は牢獄だったのだ。入口を入って、地下に向かってすすむと、石のアーチ天井を支える柱がならぶ、ひんやりした空間がひろがる。昼間も薄暗い、石の肌を剥き出しにした地下牢には、冷え冷えした空気がたちこめている。打ち寄せるレマン湖の水の音がぴちゃぴちゃと絶えまなくつづいている。床が濡れているところを見ると、波風の強いときは湖水の泡沫が窓から吹き込むのだろう。
サヴォワのピーター二世の時代、この城にはその従兄弟にあたるピエール・スタニェールという貴族が住んでいた。その妻カトリシアは、フィレンツェの豪族出身で、美人ではあるが、気性の激しい女だった。
家臣に、ボレン・マイヨールという騎士がいた。まだ若い美男で、戦場でも勇敢で、城主からも信頼されていた。カトリシアは、ボレンに妻を持たせようと侍女の一人をすすめたが、ボレンは言を左右にしてよい返事をしない。相手が気に入らないのかと、今度はサヴォワ一の美女と言われる女性を紹介したが、これも首をたてにふらない。
じつはカトリシアは、ボレンと夫ピエールとの仲をずっと前から疑っていたのだ。夫とボレンは、戦争がはじまると嬉々としていっしょに出陣する。城にいるときも二人だけで森に狩りに出掛けて、いっしょに野宿してくることもたびたびだ。ただの主従関係にしては、いやになれなれしすぎるのではないか。
当時、城主の寝室と夫人の寝室は別々なのが普通だったが、ピエールが彼女の寝室にかよってくることは滅多になかった。かといって、他に女がいるという噂も聞かない。苛立ったカトリシアは、ついに決意して、夫や重臣たちが狩りに出掛けたあいだに、ボレンの部屋の壁にのぞき窓をつくらせた。
ある夜、カトリシアは廊下を忍び足でつたっていき、隠し窓からひそかにボレンの部屋のなかの様子をうかがった。するとなんと薄明かりのなかで、ベッドのうえで抱き合っている夫とボレンの裸身が見えるではないか!
なんということだ! カトリシアは怒りと嫉妬に気が狂いそうだった。しかしここで取り乱しては、何にもならない……。やっとのことで怒りをおさえたカトリシアは、その夜は何事もなかったように、自分の部屋にもどっていった。
それから数日後のことである。夫のピエールは朝から本家のサヴォワ家の祝い事で出掛けていった。ところが彼が夕方、城に帰ってみると、とんでもないことが起こっていた。留守中に、なんとボレンが地下牢につながれているのである。
何があったのか聞いてみると、ボレンがカトリシアの寝室を襲って、暴行しようとしたという。「まさか!」とピエールは、驚いた声をあげた。しかし事件には二、三人の証人までいるので、いかにボレンの無罪を信じるピエールも、どうすることも出来なかった。そして悲劇は、レマン湖の満ち潮のときにやってきた。その夜は北風が吹き荒れて大嵐となり、城の地下牢に湖の水があふれ、岩に鎖でつながれていたボレンは、水漬けになって死んでしまったのだ。
翌日地下牢に降りてみたカトリシアは、ボレンの怨みに満ちた形相に悲鳴をあげ、そのまま自室に走り込んでベッドにつっぷしてしまった。ボレンの亡霊が出るようになったのはその夜からである。それから毎夜のように、夫人の部屋のまえで、甲冑をつけた騎士の足音がコツコツと響くようになった。恐怖に震えながら侍女とともに扉を開くと、そこに人影はなく、ただ水たまりが点々と廊下につづいているだけだった。
毎夜あらわれる亡霊に悩まされた夫人は、ついに一カ月後に狂死してしまった。そして不思議にもその夜以来、騎士の亡霊はぷっつりとあらわれなくなったという。地下牢はいまも残っている。ボレンをはじめ、そこに閉じ込められた囚人たちの怨みを残して……。
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