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美しき殺法26

时间: 2020-07-25    进入日语论坛
核心提示:なぶり殺し一五世紀フェラーラの領主ニコロ三世は、賢明な統治者として慕われていたが、唯一の欠点は女好きだった。それこそ無数
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なぶり殺し

一五世紀フェラーラの領主ニコロ三世は、賢明な統治者として慕われていたが、唯一の欠点は女好きだった。それこそ無数に愛人をつくり、領民たちは、「一区ごとに愛人がいるのは、侯爵さまの平等政策だろう」と、皮肉を言うほどだった。
無数の愛人のなかで、ニコロがもっとも愛したのはシエーナの豪族の娘ステッラだったが、彼女は三人の男の子を残して、若くして病死した。正妻のパドヴァの姫君も、夫に見放された身を嘆きながらも,やはり若くして病死してしまった。
妻を亡くし、愛する寵姫にも死なれたニコロ三世は、まだ三五歳の男盛り。フェラーラ領主としての立場からも,女好きな性格からも、このまま独身をつづけるのは無理だ。そこで選ばれたのは、チェゼーナの領主の娘でわずか一五歳のパリシーナである。花のつぼみの美しさに、ニコロは一目惚れしてしまった。
再婚後、しばらくは幸せな日々がつづいた。ニコロも二〇も年下の初々しい妻に首っ丈で、つづけて二人の男の子も生まれた。パリシーナも、やさしい夫の愛撫に満足していた。
ところが結婚から四年たったころ、二人のあいだに波風が立ちはじめた。それまでおさまっていたニコロの浮気の虫が動きだしたのである。ニコロはよく国を留守にした。政治向きの用件というが、そのあと女のところに寄り道してくるのは分かりきっていた。パリシーナは夫の帰りを待ちながら、むなしく時を過ごすようになった。
そんな彼女の孤独を慰めたのが、夫と前の寵姫ステッラとのあいだに生まれた長男ウーゴである。義理の息子とはいえ、ウーゴは彼女より一つ年下というだけ。すらりとした美青年で、豪放磊落な父と違って物静かなところが、かえって好感を持たれていた。
パリシーナは本を貸してくれとか、読んだ本の粗筋を話してくれとか、口実をつくってウーゴを自室に呼び寄せた。そしてついにある日、耐えきれなくなって彼への思いを打ち明けてしまうのだ。
「エステ家からお話があったとき、エステ家の跡継ぎのあなたに私を欲しいというお話だろうと思ったものです。それが二〇歳も年上の父上との結婚話と知ったときから、私の不幸が始まりました」
パリシーナは青年のまえにくずおれて、その膝にとりすがった。彼女の涙はウーゴのひざのうえの書物を濡らし、さらにはウーゴの胸を濡らしていった……。
こうして二人の忍ぶ恋は始まったのである。が,幸福は長くはつづかなかった。ウーゴに仕える従者が、主人の行動を不審に思い、ある夜そのあとをつけてパリシーナの部屋に消えるのを見届けたのだ。そして彼女の部屋の真上にある部屋の床にあいた穴から、真下でくりひろげられる情事の一部始終を見てしまったのだ。
従者の密告でただちに二人は捕らえられ、城内の別々の塔の牢にとじこめられた。二人を待っていたのは、身も凍るような恐ろしい運命だった。愛する息子だから、妻だからといって、ニコロ三世は容赦はしなかった。その殺し方はまた、いかにも手がこんでいた。ひと思いには殺さず、二人の首、手、足をそれぞれ牢獄の壁に鎖でつなぎ、今日は片方の耳をそぎ、今日は片方の目をつぶし、今日は指を一本ずつ切り取るという、残虐ななぶり殺しである。
殺されるほうにとっては、これほどの苦しみはない。歯は抜かれ、舌も切られているのだから、舌を噛んで自殺するわけにもいかない。こうして二人は、苦しみに苦しみ抜いて死んでいった。
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