囚人を縛りあげて柴でつつみ、荒縄でぐるぐる巻きにして、大石をおもりとして結びつけ、水底に沈めて殺す方法を、「すまき」と呼ぶ。
賭場あらしやインチキ賽《さい》を使ってイカサマ賭博を行なった者に対して、用いられた処刑法である。俗に「水を飲ませてやれ」というのが、このすまきのことだ。
簀《す》(よしを並べて数カ所を紐で編んで作った日よけ)をひろげ、そのうえに囚人を寝かせて、簀でぐるぐると海苔巻きの寿司のように巻く。そしてそのうえを荒縄で厳重に縛りかためて、二、三人でかつぎあげて運び、大石のおもりをつけて河中に放り込んでしまう。簀の材料は水に浮くので、しばらくは沈まないで、河の流れにまかせて、浮き沈みしながら流されていき、やがて海に出てしまう。溺死しないあいだに救助されれば助かるが、引きあげてもらえなければ、いかんとも仕方ない(もちろん本人は泳げない状態にされているのだから、水をのむか、窒息して死んでしまう)。あわれ溺死してしまうというわけである……。
「すまき」は、もっと昔には「柴漬け」と呼ばれ、日本の各地で数多く行なわれていた。有名史実としては、源頼朝の命令で、源義経と愛妾である静御前のあいだに生まれた嬰児を、�柴漬け�と称して鎌倉の海にしずめた記録がある。