日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

美しき殺法98

时间: 2020-07-25    进入日语论坛
核心提示:SMごっこ大正六年三月二日午後五時ごろ、龍泉寺町の開業医、末弘順吾は往診をたのまれて、近所の患者の家に向かった。二階に若
(单词翻译:双击或拖选)
SMごっこ

大正六年三月二日午後五時ごろ、龍泉寺町の開業医、末弘順吾は往診をたのまれて、近所の患者の家に向かった。二階に若い女が寝ており、そばに三〇ぐらいの男がすわって、布団のうえから女の胸をさすっている。
室内には、病人の体から発しているらしい、異様な臭気がただよっていた。医師が布団をめくって目にしたのは、世にも無残な女の姿だった。手足の指が何本も切断され、さらに焼け火箸による火傷跡や鋭い刃物による切り傷が、あちこちに発見されたのである。
異常を感じた末弘医師は、応急処置をすませると、所轄の下谷坂本署に通報した。坂本署からは織本警部補が係官をつれてその家を臨検。男を引致するとともに、証拠品数点を押収した。なお女は、警察医の手当てもむなしく、同夜死んでしまったという。
取り調べの結果、男は栃木県那須郡生まれの大工、小口末吉(二九歳)、女は小口の内妻で、府下瀧野川三軒家の矢作森之丞長女、よね(二三歳)とわかった。よねは以前、吉原のある遊郭で女中として働いており、そこで小口と知り合ったという。
取り調べの結果、ついに三日午前二時になって、末吉は逐一自白におよんだ。
小口とよねが同棲を始めたアパートの隣室に、山岸広治(二八歳)という妓夫が間借りしていた。妓夫とは遊郭の客引きのことで、昼間は部屋でぶらぶらしている。この山岸が、よねと肉体関係を持ってしまったのである。
最初まったく気付かなかった小口は、大工仲間からそれを知らされた。小口は一二月のある日、仕事先に行くふりをして、屋根にのぼって自分の部屋をのぞきこんだ。そこで山岸とよねが乳くりあっているのを目撃し、カッとした小口は、山岸とよねを殴りつけたのである。
結局、よねが小口に詫びを入れ、小口が山岸に一〇円の手切れ金をやって、けりがつき、翌年一月、二人は新規まきなおしとばかり、龍泉寺町の鈴木新吉方に転居した。しかし、生まれつき嫉妬深い小口は、よねの犯した不倫を思い出すたびに、よねを手荒く責めた。四肢を細紐で縛り、タオルで猿ぐつわをはめ、刃物で両足親指を切断したのを手始めに、焼け火箸で背中に「小口末吉の妻」と烙印を押したり、残忍きわまる凶行に出た。よねは生き地獄にも等しい折檻を浴びたあげく、ついに連日の虐待で死にいたらしめられた……。
以上が、警察が小口の自供から引き出した結論である。要するに、内妻よねの浮気を知って嫉妬に狂った亭主が、残虐きわまりない手口で殺害したというのが、当時の警察の見方であった。
よねを往診した医師が目のあたりにした光景は、死体解剖に立ち会った東京帝大法医学教室助手、古畑種基氏の著書『今だから話そう』(中央公論社)に、こう書かれている。(抜粋)
「部屋に入るなり、ゾッとするような悪寒を背筋に感じた。病人を寝かせたそばに、亭主らしい男が茫然とした顔ですわり、それでもフトンのうえから女の胸のあたりをさすっている。女のほうは頭からフトンをかぶったまま、苦しそうにあえいでいる。フトンをめくった医師は、いっそう強い悪臭に、思わず手をハナにあてた」
警察医が調べると、両足の親指がない。また、左手の薬指は第二関節以下がなく、同じ左手の小指の第二関節以下もない。しかも、全身が傷だらけで、腰から膝にかけては、二二カ所の傷が、体の前と後ろに二つずつ並び、陰部にもやはり左右に二つずつ並んだ傷が六カ所にあった。
さらに背中と右腕には、焼け火箸で「小口末吉の妻」と書かれている。背中のほうの傷は古く、字の形が崩れかけていたが、右腕の文字はまだ生々しかった。直接の死因は、数々の火傷のあとが化膿した自家中毒だと分かった。よねが死亡したのは、当日の夜九時ごろと見られる。
 初めは小口末吉がよねを折檻死させたと見られたが、取り調べが進むにつれ、事件は意外な展開を見せた。二人はいわゆるサド・マゾの関係で、SM行為が加速するうちに、ついに殺してしまったことが判明したのである。
小口によると、
「よねが、山岸と関係を持ったことのお詫びとして、指を切りたいといいます。私が嫌だといったら、嫌だというのは別れる気だろうと言って、あくまで指を切ってくれと言い張るのです。
初め右手の小指を切ってくれと言いましたが、右手はいろいろ使うから、それだけはやめたほうがいいと言いました。すると、それでは左手の薬指だと言うので、そのとき左の薬指を切りました」
という。
小口によると、手足の指を切断したのは、たいてい肉体関係を持った直後で、女のほうから切ってくれと言うのだという。彼がためらっていると、女は自分で俎のうえに指をのせて、ノミで切りにかかる。しかしなかなか切れないで、おびただしい血が出てどうしようもなくなる。そこで仕方なく、小口が金槌でノミをたたいて切断することになるのだという。
「指の根を糸でしばって血の出ないようにして切ったのです。指はポーンと飛びました」
よねに迫られ、恐れおののく小口の姿が目に浮かぶようだが、これはまだ序の口で、よねの欲求は、さらにエスカレートしていくのである。
つぎによねが求めたのは、焼け火箸で「小口末吉の妻」と体に書くことだった。それを見て、自分が他の男に心を動かさないようにするためだという。最初、背中に書いてやったら、よねが「これでは自分で見えない」というので、改めて右の上膊部に焼きつけた。
「ところが、腕を下げると字が逆さになってしまうので、書き直してほしいという。そこで今度は向かい合いになって、左手に書いた。火箸はよねが、みずから炙ってくれた。
二、三日すると、今度は腕の外側にばかり書いてあるので、寝ていて見ようとしても何も見えない、寝ていても見えるように書いてくれという。なるほどと思って、今度は腕の内側に書いてやった。これで三通り書くことになった」
という。想像するだけで、何やらゾッとするような光景だ。小口の精神鑑定にあたった浅田一によれば、「小口は精神病者というわけではないが、生まれつき性格は愚鈍、だから判断力、抑制力は普通人より乏しい」という。よねがそんな小口を、好きなように動かしていたようにも思える。
焼け火箸を、よねは痛がっただろうと聞かれると、
「彼女は手ぬぐいを固くくわえて我慢して、熱いなどと言ったことはありません。むしろ、大きなお灸より楽だと言っていました」
と、小口は答えた。そして、
「私は(性行為のとき)、臭くっていやだと言いました。私の股のところに妻の膿がくっつくからです。妻は人に見られるのがいやだと、長いあいだ湯にも行っていないので、体が汚れて膿があちこちにくっついていて汚いのです。それで嫌だといっても、承知しないのです。
(左上膊と右大腿部前面を示し、)ここを切ったときには、私は嫌だから、切らなくてもいいと言いましたら、切らないのはきっと別れるつもりだろうから、もう死んじまうといって、着物を着替えて出掛けようとしました。妻は死ぬ死ぬというので、おっかなくて仕方なかったのです。
切るかわりに傷をつけてくれといって、妻が着物をつまんだので、私は皮膚をつまんで匕首でちょっと切ってやりましたが、そのときも痛いともなんとも言いません。血も沢山は出ません。今度は足だといって、足を出しました。私が嫌だと言ったら、あなたが切ったも同じだといって、自分で切りました」
よねのなかで、苦痛がどのように快楽に変化していったのかという点について、セックス心理学者の高橋鐵氏はこう述べている。
「よねはあくなきオルガスムス追求のため、衝動的な自己破壊をおこなうにいたった。つまり性交によっても満たされない欲求不満を、指を切ったりするマゾヒズムで満たした」
小口はよねをもてあますどころか、心から気にいっていたようだ。ただ、小口自身が本当にサディストだったかどうかは、疑わしい。彼が言われるままによねを傷つけたのは、結局、彼女に逃げられたくない一心にすぎなかったようだ。
結局、マゾヒストのよねが、小口をいいようにあやつり、快楽の道具にしていたというのが、一番正しいところだろう。SMが行き着くところまで行ったのちの死は、彼女の望むところだったのかも知れない。浅田一の『法医学講義』にのったよねの写真を見ると、見るも無残に傷つけられた体とは裏腹に、美しい死に顔はかすかに微笑しているようだ。
「ほれられたのが悪いのです。もう決して惚れも惚れられもしません」と、小口は浅田との談話で語っている。まさに、本当の被害者は、もしかしたら小口末吉なのかも知れない。
起訴後の小口については、一審で懲役一二年の判決を受け、控訴中に死亡したという説と、判決を待たずに亡くなったという説がある。死因は脳溢血とも肺結核ともいう。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%