こうした韓国クラブ特有の倫理のため、日本人の間では考えられないようなトラブルが発生することもある。たとえば、ある小規模の韓国クラブでの話である。
そのクラブに寿花というトップクラスのホステスがいた。彼女の愛人はある不動産関係の会社の社長だったが、その社長がたくさんのお客を次々に店に連れて来るので、店は大いに繁盛し、そのため彼女の給料は一日三万円にもなっていた。
月の半分以上もその社長関係のお客が来るので、当然、他のホステスたちも同席してサービスすることになる。そしてあるとき、その中の若いお客の一人が、たまたま同席した春姫というホステスを大変気にいって、彼女目当てに一人でクラブに来るようになった。そこにはもちろん、例のきまりがあるから、寿花はその若い男性も自分のお客だと言い張って春姫のお客にしようとはしない。
春姫もプロである以上はと、その若いお客を無視していたが、熱心に誘ってくれるので断りきれず、店の外で一緒に食事をするなどデートを重ねていた。春姫は観光ビザだったこともあって、できることなら愛人をつくって結婚ビザを得たいと思っていた。そして、もしかしたらそのチャンスかも知れない事態を前に、手も足も出せないことに腹立たしさを感じないではいられなくなっていった。
春姫は寿花と仲がよかったこともあり、また、寿花はたくさんのお客を独り占めにして人一倍高い給料をとっているわけだから、一人くらいは認めてくれるだろうと期待をかけ、ある日のこと「同伴出勤」を敢行したのである。ところが、それを知った寿花は、人のお客をとった、裏切りだと、かんかんになって怒った。元来仲のよかった寿花と春姫とは、それ以来まさに日本で言う犬猿の仲となってしまったのである。
春姫は意地を張って、あからさまに同伴出勤を続けたが、寿花はあくまで彼女にそのお客のサービスをさせようとはしない。こうして店内には険悪なムードが漂うことになったのだが、他のホステスもこぞって春姫を非難する。春姫は孤立し、結局、二度と日本で働きたくないという思いを胸に、韓国へと帰って行った。
そのクラブに寿花というトップクラスのホステスがいた。彼女の愛人はある不動産関係の会社の社長だったが、その社長がたくさんのお客を次々に店に連れて来るので、店は大いに繁盛し、そのため彼女の給料は一日三万円にもなっていた。
月の半分以上もその社長関係のお客が来るので、当然、他のホステスたちも同席してサービスすることになる。そしてあるとき、その中の若いお客の一人が、たまたま同席した春姫というホステスを大変気にいって、彼女目当てに一人でクラブに来るようになった。そこにはもちろん、例のきまりがあるから、寿花はその若い男性も自分のお客だと言い張って春姫のお客にしようとはしない。
春姫もプロである以上はと、その若いお客を無視していたが、熱心に誘ってくれるので断りきれず、店の外で一緒に食事をするなどデートを重ねていた。春姫は観光ビザだったこともあって、できることなら愛人をつくって結婚ビザを得たいと思っていた。そして、もしかしたらそのチャンスかも知れない事態を前に、手も足も出せないことに腹立たしさを感じないではいられなくなっていった。
春姫は寿花と仲がよかったこともあり、また、寿花はたくさんのお客を独り占めにして人一倍高い給料をとっているわけだから、一人くらいは認めてくれるだろうと期待をかけ、ある日のこと「同伴出勤」を敢行したのである。ところが、それを知った寿花は、人のお客をとった、裏切りだと、かんかんになって怒った。元来仲のよかった寿花と春姫とは、それ以来まさに日本で言う犬猿の仲となってしまったのである。
春姫は意地を張って、あからさまに同伴出勤を続けたが、寿花はあくまで彼女にそのお客のサービスをさせようとはしない。こうして店内には険悪なムードが漂うことになったのだが、他のホステスもこぞって春姫を非難する。春姫は孤立し、結局、二度と日本で働きたくないという思いを胸に、韓国へと帰って行った。