こうした韓国人ホステスたちのお客をめぐる激しいしのぎ合いには、さすがのママも手を焼くことが多い。
あるファッション関係の会社の社長を愛人にもつホステスがいたが、ある日、彼女がたまたま休んでいるときにその社長が店にやって来た。そこで他のホステスたちがサービスをつとめることになった。そのとき、その社長は、近くに寄ったら電話でもしてみてくれという程の、軽い気持ちでホステスたちに名刺を渡したのである。
いったん店に入ったお客を、まさか担当のホステスがいないからと帰すことはできない。また社長としても、相手をしてくれたホステスたちへの自己紹介の意味から言っても、名刺を渡すのはこれまた当然のことである。しかも、ホステスたちの方から名刺を要求したわけでもない。そこにはなんらルール破りはないように見える。
ところが、翌日それを知った彼女は凄《すさ》まじい怒りをホステスたちにぶつけたのである。つまり、そのホステスたちは、人の愛人から名刺をもらうような雰囲気をつくり出したと言うのだ。そして彼女は、当の愛人に対しても、他のホステスたちに名刺を渡したことは、およそ義理のないことだとなじったと言う。
そのときのことを、店のママは次のように話してくれた。
「ものすごい怒りようだったわ。あんたたちはどんな下心があったんだと言って、ホステスたち一人一人を責め立てるのよ。そして、みんなから名刺を取り上げていったの。で、私に対して、なぜ自分がいないときに他の女に相手をさせたんだって、くってかかるわけ。それで、さんざん文句を言ったあげく、こんな店にはいられないって言って、ほかの店に移っていったわ。あの社長さんはもともと私と仲がよくて彼女に紹介したんだけど、あれ以来ぴったりと来なくなったのね」
ママの落胆した話しぶりからすると、店にとっては大きなお得意さんを失ったようだった。
「それでね、この前その社長さんに道でばったり出会ったのよ。そしたら彼、『あんなやきもち焼きの女は見たことがない、韓国の女はたまらんね』なんて苦笑してたわ。ところが、それでいて彼女の次の店で常連になってるんだから、結局は女の意のままなのね」
確かに韓国の女性は嫉《しつ》妬《と》深《ぶか》いかも知れない。がそれよりも、彼女たちが守ろうとしているのは自分のプライドなのである。そしてこのプライドの高さ、あるいはその気《き》丈《じよう》夫《ぶ》な性格が、日本人のお客には日本人女性には感じられない魅力の一つともなっているようである。
また、ある店のママはこんなぐちをこぼしていた。
「店の常連だった人がね、ホステスの愛人になると店に来なくなることが多いのよ。これには困ってしまうわね」
つまり、自分の愛人を他のホステスに奪われるのを避けるため、ホステス自身がお客に店への出入りを差し止めるのである。こんなことは、日本人の店ではもちろんのこと、他の東南アジアの女性たちを雇う店でもあり得ないことだ。
ひとくちに嫉妬と言っても、韓国女性と日本女性とでは、その表し方には大きな違いがあるようだ。たとえば、亭主や恋人の浮気がばれると、日本の女性ならば、相手の女性のことよりもむしろ自分と男との関係を問題にし、二人の間での解決を図ろうとするだろう。しかし韓国の女ならば、まず相手の女を問題にする。そして彼女と対決しようとするだろう。場合によっては、女どうしの間で血をみることもある。
いずれにしても、自分の愛人を鎖につないでおかないと気がすまない韓国女性の情念には凄《すさ》まじいものがある。そうした地のままでホステス業ができるということは、それだけ女性の言いなりになって、はいはいと従う男性が日本に多いということなのだろうか。だとすれば、韓国人ホステスにとって日本は、需要と供給のバランスが絶妙に一致する、またとない好条件の国ということになるのだが。
あるファッション関係の会社の社長を愛人にもつホステスがいたが、ある日、彼女がたまたま休んでいるときにその社長が店にやって来た。そこで他のホステスたちがサービスをつとめることになった。そのとき、その社長は、近くに寄ったら電話でもしてみてくれという程の、軽い気持ちでホステスたちに名刺を渡したのである。
いったん店に入ったお客を、まさか担当のホステスがいないからと帰すことはできない。また社長としても、相手をしてくれたホステスたちへの自己紹介の意味から言っても、名刺を渡すのはこれまた当然のことである。しかも、ホステスたちの方から名刺を要求したわけでもない。そこにはなんらルール破りはないように見える。
ところが、翌日それを知った彼女は凄《すさ》まじい怒りをホステスたちにぶつけたのである。つまり、そのホステスたちは、人の愛人から名刺をもらうような雰囲気をつくり出したと言うのだ。そして彼女は、当の愛人に対しても、他のホステスたちに名刺を渡したことは、およそ義理のないことだとなじったと言う。
そのときのことを、店のママは次のように話してくれた。
「ものすごい怒りようだったわ。あんたたちはどんな下心があったんだと言って、ホステスたち一人一人を責め立てるのよ。そして、みんなから名刺を取り上げていったの。で、私に対して、なぜ自分がいないときに他の女に相手をさせたんだって、くってかかるわけ。それで、さんざん文句を言ったあげく、こんな店にはいられないって言って、ほかの店に移っていったわ。あの社長さんはもともと私と仲がよくて彼女に紹介したんだけど、あれ以来ぴったりと来なくなったのね」
ママの落胆した話しぶりからすると、店にとっては大きなお得意さんを失ったようだった。
「それでね、この前その社長さんに道でばったり出会ったのよ。そしたら彼、『あんなやきもち焼きの女は見たことがない、韓国の女はたまらんね』なんて苦笑してたわ。ところが、それでいて彼女の次の店で常連になってるんだから、結局は女の意のままなのね」
確かに韓国の女性は嫉《しつ》妬《と》深《ぶか》いかも知れない。がそれよりも、彼女たちが守ろうとしているのは自分のプライドなのである。そしてこのプライドの高さ、あるいはその気《き》丈《じよう》夫《ぶ》な性格が、日本人のお客には日本人女性には感じられない魅力の一つともなっているようである。
また、ある店のママはこんなぐちをこぼしていた。
「店の常連だった人がね、ホステスの愛人になると店に来なくなることが多いのよ。これには困ってしまうわね」
つまり、自分の愛人を他のホステスに奪われるのを避けるため、ホステス自身がお客に店への出入りを差し止めるのである。こんなことは、日本人の店ではもちろんのこと、他の東南アジアの女性たちを雇う店でもあり得ないことだ。
ひとくちに嫉妬と言っても、韓国女性と日本女性とでは、その表し方には大きな違いがあるようだ。たとえば、亭主や恋人の浮気がばれると、日本の女性ならば、相手の女性のことよりもむしろ自分と男との関係を問題にし、二人の間での解決を図ろうとするだろう。しかし韓国の女ならば、まず相手の女を問題にする。そして彼女と対決しようとするだろう。場合によっては、女どうしの間で血をみることもある。
いずれにしても、自分の愛人を鎖につないでおかないと気がすまない韓国女性の情念には凄《すさ》まじいものがある。そうした地のままでホステス業ができるということは、それだけ女性の言いなりになって、はいはいと従う男性が日本に多いということなのだろうか。だとすれば、韓国人ホステスにとって日本は、需要と供給のバランスが絶妙に一致する、またとない好条件の国ということになるのだが。