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スカートの風34

时间: 2020-07-26    进入日语论坛
核心提示:実家には帰れない女たち 私は韓国人ホステスたちと深くつきあっていけばいくほど、一つのことについての相反する二つの考え方の
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実家には帰れない女たち

 私は韓国人ホステスたちと深くつきあっていけばいくほど、一つのことについての相反する二つの考え方の間で、どんどん引き裂かれていく自分を感じざるを得なくなっていった。韓国で離婚した彼女たちを、日本での結婚ビザ入手から売春へ、愛人へと落とし込んでゆく現実の力、それは「悪《あ》しかれ」とどこまでも否定していこう。しかし、だからこそ彼女たちは、一生を薄暗い精神の牢《ろう》獄《ごく》に押し込められて過ごすしかない、あの嫁ぎ先でのみじめな状況から脱することができている、この現実は「よかれ」と認めていこう——。
こう考える自分は彼女たちではない。でも、そう考えることができるようになって、はじめて、私のなかにも彼女たちと同じ自分が宿っていることに気がついたのである。
「他にも道はあるでしょうに」とよく言われるが、社会そのものに追い詰められ、無知とウブの世界をあてがわれ続けてきた韓国の女たちが、現実のその手で触れることのできる未来へと延びる道は、ほとんどそれしかありようがない。もしあるものならば、韓国の女たちはとうにそれを選んでいるはずである。
新宿歌《か》舞《ぶ》伎《き》町《ちよう》で働くあるホステスに誘われるまま、彼女の住む高級マンションで食事をごちそうになったとき、私は彼女の離婚体験と、日本にやって来たいきさつについて、たっぷり一日をかけて聞かされたことがある。
彼女は韓国で一般会社の経理の仕事をしていた。韓国で事務職につけるということは、それだけでかなり恵まれた家庭の出身であることを意味している。彼女は一年ほど働くと、通常の韓国の女のように見合い結婚をして会社をやめた。もっとも、一般企業ではほとんどの場合、結婚すれば会社をやめなくてはならないようになっている。
結婚して三カ月ほどすると、夫が会社の若い女性事務員と、結婚前からずっと関係を続けていたことがわかってきた。そして、夫はだんだんと浮気を公然化するようになっていった。彼女がそれに対して強く言うと、夫は「亭主のやることにいちいち口出しをするんじゃない」と凄《すさ》まじい勢いで怒り、彼女をしたたかに殴ったという。
それ以来、何か気に入らないことがあるたびに、夫は彼女を殴りつけるようになった。それも、平手でピシャッとやるようななまやさしいものではない。夜中に家に鍵《かぎ》を閉めて、大きな棒を持ち出して身体をガンガンと打ちすえるのだ。顔を傷つけると他人に知られてしまうために、外からは見えない身体の部分だけを殴るのである。
彼女はそれでもじっと我慢をしていたが、やがて一週間に一回は必ず殴られるようになっていった。夫の暴力におどおどして暮らさなくてはならない毎日、暴力を受けるときの恐ろしさ、痣《あざ》だらけの身体、常に痛む身体の節々、とてもこんな生活を続けてはいけない……。かといって実家に帰ることもできないのが韓国の社会だ。彼女は家を出て、まだ独身でいる高校時代の友だちのアパートに隠れて暮らすようになったのだった。
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