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スカートの風44

时间: 2020-07-26    进入日语论坛
核心提示:観光キーセンを愛人に持つ日本の男 韓国に観光キーセンの愛人を持つ日本人から話を聞いたことがある。東京で不動産会社を経営す
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観光キーセンを愛人に持つ日本の男

 韓国に観光キーセンの愛人を持つ日本人から話を聞いたことがある。東京で不動産会社を経営する五十代半ばの男で、家庭には奥さんと二人の子供がいる。
彼は韓国旅行で知り合った二十歳の観光キーセンに、これまで経験したことのないような優しさ溢《あふ》れるサービスを受け、「こんな女とずっとつきあっていたい」と心から思ったという。そして、「あなたが好きだわ、愛人にしてくれれば、あなたとだけつきあうことができるんだけど」という彼女の言葉を、またとないチャンスと考えて愛人としたのだった。
彼は女にマンションを買い与え、毎週金曜日にソウルへと飛び日曜日の夕方に日本へ帰って来るという生活をはじめた。女への手当ては毎月三〇万円、また行くたびにアクセサリーや洋服などの土産を忘れなかった。
ところが最近、仕事が忙しくて二カ月ほど行っていなかったところ、女から国際電話がかかってきた。彼女は、田舎の母親が亡くなって、葬式などにいろいろとお金が必要になったので、二〇〇万円ほど送ってくれと言うのだ。しかし、いつかも、母親が亡くなったからと言われて二〇〇万円を送ってやったことがある。
「お母さんはこの前亡くなったって言ったじゃないか」
彼が不審な思いを隠すことなく言うと、彼女は一瞬焦ってしどろもどろになったが、すぐに普通の口調にもどって言った。
「ああ、あれは私を産んでくれたお母さんなの。今度亡くなったのは私を育ててくれたお母さんなんです」
女が自分を騙《だま》してお金をせびっていることを知った男は、ガックリして、「あんなに優しくて、また自分を愛していると言っていたのに、なぜ……」と私にぐちを言ったわけなのだ。
私は男に、「お金で女がいうことをきくからと、心まで買えるわけがないでしょう、それよりもご自分の家族をもっと大切になさったら?」と言いたかったのだが、わかっていながら求めるという、不思議な日本の男の心理を知っているので、むだなことだと思って口に出すことはしなかった。
私のみるところ、日本の男は、とくに中年以上の男は、浮気というよりも本気の感触を彼女たちから感じて愛人にする場合が多いようだ。お金で若い女の心を買えるわけがない、しかし、彼女だけは本気で自分に情を投げかけてくる、そう感じて感激するのだ。
確かに、彼女たちはそんな本気っぽさを感じさせるし、本人も本気のつもりなのだ。が、本人の無意識のなかではきちんとお金とのバランスシートが成立している。支払われたお金に応じて男への感情が支払われるのだ。
これは彼女たちが意識して故意にやっていると言うよりは、このバランスシートを当然のこととする文化によって養われた彼女たちの無意識が、無作為に行なわせる自動的な反応と言うべきだろう。
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