こうした実態に対して、非難されるのはいつも日本の方だ。また日本の良識人たちも口をそろえて、日本の男たちがいかに韓国の女を買いあさっているかを述べたて、国際的に恥ずべき行為として批判する。韓日の新聞もかつて韓国を侵略した日本が、今度は韓国の女たちを侵略していると報道し、被害者としての韓国を強調する。
私は一人の韓国人として、韓国をこそ批判して欲しいと思う。いくら日本を批判しても、この問題の本質に目を向けることにはならない。韓国では内部批判はほとんど不可能だから、ぜひとも日本のジャーナリズムには、韓国の側に「売春ツアー」をはじめとする問題の根源があることを抉《えぐ》り出し、厳しい批判をしていただきたいと思う。
韓国では自国に都合のよい報道しか行なわれない。そのため、私も韓国にいたときには、日本の男たちはみんな、女遊びにしか興味のないセックスアニマルで、韓国にまでその害を及ぼすとんでもない男たちだ、なんでわざわざよその国まで来て——と思っていた。ところが、日本に来てそれがまるで反対だということを知らされた。
シングルルーム、シングルベッドばかりの日本のビジネスホテルには、売春婦が出入りすることもない。いたるところに性の臭いがプンプンと漂うソウルやプサンと比較すれば、東京や大阪は数段も、いや十数段も、清潔で落ち着いたたたずまいをみせるすてきな近代都市だ。
また治安のよさも韓国とは格段の違いがある。ソウルでは夜の一二時以降は通行禁止となっている区域があちこちにある。誘拐防止のためだ。
韓国では、経済の発展とともに娯楽が多様化するという、日本のような道がなぜか開かれない。日本のビジネスマンのようなゴルフ熱も巻き起こらなければ、野球があるにせよ人気は低い。スポーツで人気があるのは、せいぜいボクシングくらいのものである。ここにも、韓国人の闘争好きがよく表されている。
したがって、依然として韓国の男たちの楽しみは女遊びである。韓国の経済は男たちをして、女遊びの大衆化をもたらしているのだ。そのため、年々性を売る女の需要が高まる一方で、女の不足が水商売で深刻となってきている。そこで、中学生や高校生の少女たちを誘拐し、酒場やママさんハウスに売り飛ばしたり、また学生売春婦にしたてあげたりする事件が多発するようになってもいるのだ。
ソウルの駅前には、田舎から出て来た家出娘をつかまえようと、水商売のママふうの中年女や、ヤクザ風の美男子たちがいつもウロウロしている。
こういう話を日本人にすると、「日本でもかつて、上野の駅前でそうして家出娘たちが狙《ねら》われたものですよ」と言う人が多い。しかし、それは日本が貧乏だったときの話だ。いまや韓国はNIESの旗《はた》頭《がしら》、GNP急上昇の経済成長のさなかでの誘拐なのである。
このことに限らないが、韓国の話をすると「ああ、昔の日本もそうだった」という比較がすぐにされるのが常である。しかし、それはこと韓国に関する限り、根本的に間違った見方である。経済の発展が社会の開放に多くの点で結びつかないところに、韓国特有の社会問題を見て欲しいと思う。
私は一人の韓国人として、韓国をこそ批判して欲しいと思う。いくら日本を批判しても、この問題の本質に目を向けることにはならない。韓国では内部批判はほとんど不可能だから、ぜひとも日本のジャーナリズムには、韓国の側に「売春ツアー」をはじめとする問題の根源があることを抉《えぐ》り出し、厳しい批判をしていただきたいと思う。
韓国では自国に都合のよい報道しか行なわれない。そのため、私も韓国にいたときには、日本の男たちはみんな、女遊びにしか興味のないセックスアニマルで、韓国にまでその害を及ぼすとんでもない男たちだ、なんでわざわざよその国まで来て——と思っていた。ところが、日本に来てそれがまるで反対だということを知らされた。
シングルルーム、シングルベッドばかりの日本のビジネスホテルには、売春婦が出入りすることもない。いたるところに性の臭いがプンプンと漂うソウルやプサンと比較すれば、東京や大阪は数段も、いや十数段も、清潔で落ち着いたたたずまいをみせるすてきな近代都市だ。
また治安のよさも韓国とは格段の違いがある。ソウルでは夜の一二時以降は通行禁止となっている区域があちこちにある。誘拐防止のためだ。
韓国では、経済の発展とともに娯楽が多様化するという、日本のような道がなぜか開かれない。日本のビジネスマンのようなゴルフ熱も巻き起こらなければ、野球があるにせよ人気は低い。スポーツで人気があるのは、せいぜいボクシングくらいのものである。ここにも、韓国人の闘争好きがよく表されている。
したがって、依然として韓国の男たちの楽しみは女遊びである。韓国の経済は男たちをして、女遊びの大衆化をもたらしているのだ。そのため、年々性を売る女の需要が高まる一方で、女の不足が水商売で深刻となってきている。そこで、中学生や高校生の少女たちを誘拐し、酒場やママさんハウスに売り飛ばしたり、また学生売春婦にしたてあげたりする事件が多発するようになってもいるのだ。
ソウルの駅前には、田舎から出て来た家出娘をつかまえようと、水商売のママふうの中年女や、ヤクザ風の美男子たちがいつもウロウロしている。
こういう話を日本人にすると、「日本でもかつて、上野の駅前でそうして家出娘たちが狙《ねら》われたものですよ」と言う人が多い。しかし、それは日本が貧乏だったときの話だ。いまや韓国はNIESの旗《はた》頭《がしら》、GNP急上昇の経済成長のさなかでの誘拐なのである。
このことに限らないが、韓国の話をすると「ああ、昔の日本もそうだった」という比較がすぐにされるのが常である。しかし、それはこと韓国に関する限り、根本的に間違った見方である。経済の発展が社会の開放に多くの点で結びつかないところに、韓国特有の社会問題を見て欲しいと思う。