そのまま夕方になったので、私はヨンスギたちママさんハウスに住む女たちと一緒に、まかないのおばさんの作る食事を食べた。彼女たちは、こと水商売に関する限り、日本のことを私よりよく知っていた。
「赤坂では一日三万円、新宿では二万円だって言うわね。それに愛人をつくれば、一カ月に一〇〇万円の収入はかたいみたい」
「私は日本行きを準備中なのよ。観光ビザで行って結婚ビザに変わるのが一番やさしいんだってね」
「だけど、日本は物価が高いから、ここにいて日本人の相手をしながら円でお金をもらう方がもっといいんじゃないの?」
女たちの先行きの考え方もさまざまだ。
普通、彼女たちが日本人相手にもらうお金は、前にも述べたように一晩三万円でうち二万円をママに納め、残りの一万円とチップの一万円ほどが彼女たちの収入となる。ところが、聞いてみると、いろいろと副収入を稼ぐ方法があるようだ。
たとえば、二泊三日のツアーでやって来る日本人客を最初の日につかまえる。そして、ガイドを買って出て、昼間は土産物やその他の買物のためにいろいろな店を連れて回り、夜は日本人の好きなカラオケバアや高級レストランなどへ連れて行く。これでホテルで一緒に過ごす時間が短くなるばかりでなく、それぞれの店から「ガイド料」をもらうことができるのである。
これについては私にも面白い体験がある。
この話を聞いてからずっと後のことだったが、私は頼まれ仕事で韓国に行った折りに、日本人の団体客二〇名ほどを連れてある高級レストランに入った。すると、たびたび店の主人がやって来て、私に「どのようにしましょうか?」と聞いてくる。私は何のことかわからなくて、「そうねえ、適当に」とかなんとか言っていたが、支払いの段になって、「案内費です」と言って、料金に上積みした一〇パーセントを私に渡してくれた。そのとき、ああ、あのとき彼女たちが言っていた「ガイド料」とはこれのことなんだと気がついた。店を出て同行の日本人たちにその話をして、「今日私はお金を儲《もう》けましたよ」と言って笑ったものである。
私の場合は一〇パーセントだったが、彼女たちの話によると、お客への請求額はお客の質を見て彼女たちが決めることが多いらしく、二万ウォンの食事に五、六万ウォンの請求をさせることもあると言う。こうした方式は、日本人が多く立ち寄るほとんどの店でいまや常識になってしまっている。
したがって、一般の観光ガイドたちもまた店から「案内料金」をもらっている。ガイドの正規の収入は月に七〇万ウォンだが、副収入は二〇〇万ウォンから三〇〇万ウォンになるという。
「赤坂では一日三万円、新宿では二万円だって言うわね。それに愛人をつくれば、一カ月に一〇〇万円の収入はかたいみたい」
「私は日本行きを準備中なのよ。観光ビザで行って結婚ビザに変わるのが一番やさしいんだってね」
「だけど、日本は物価が高いから、ここにいて日本人の相手をしながら円でお金をもらう方がもっといいんじゃないの?」
女たちの先行きの考え方もさまざまだ。
普通、彼女たちが日本人相手にもらうお金は、前にも述べたように一晩三万円でうち二万円をママに納め、残りの一万円とチップの一万円ほどが彼女たちの収入となる。ところが、聞いてみると、いろいろと副収入を稼ぐ方法があるようだ。
たとえば、二泊三日のツアーでやって来る日本人客を最初の日につかまえる。そして、ガイドを買って出て、昼間は土産物やその他の買物のためにいろいろな店を連れて回り、夜は日本人の好きなカラオケバアや高級レストランなどへ連れて行く。これでホテルで一緒に過ごす時間が短くなるばかりでなく、それぞれの店から「ガイド料」をもらうことができるのである。
これについては私にも面白い体験がある。
この話を聞いてからずっと後のことだったが、私は頼まれ仕事で韓国に行った折りに、日本人の団体客二〇名ほどを連れてある高級レストランに入った。すると、たびたび店の主人がやって来て、私に「どのようにしましょうか?」と聞いてくる。私は何のことかわからなくて、「そうねえ、適当に」とかなんとか言っていたが、支払いの段になって、「案内費です」と言って、料金に上積みした一〇パーセントを私に渡してくれた。そのとき、ああ、あのとき彼女たちが言っていた「ガイド料」とはこれのことなんだと気がついた。店を出て同行の日本人たちにその話をして、「今日私はお金を儲《もう》けましたよ」と言って笑ったものである。
私の場合は一〇パーセントだったが、彼女たちの話によると、お客への請求額はお客の質を見て彼女たちが決めることが多いらしく、二万ウォンの食事に五、六万ウォンの請求をさせることもあると言う。こうした方式は、日本人が多く立ち寄るほとんどの店でいまや常識になってしまっている。
したがって、一般の観光ガイドたちもまた店から「案内料金」をもらっている。ガイドの正規の収入は月に七〇万ウォンだが、副収入は二〇〇万ウォンから三〇〇万ウォンになるという。