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スカートの風68

时间: 2020-07-26    进入日语论坛
核心提示:一家の徒食者という女の価値 ある日本人が私に不思議そうな顔をして尋ねた。「この本の著者は梨花女子大学の出身と書いてあるの
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一家の徒食者という女の価値

 ある日本人が私に不思議そうな顔をして尋ねた。
「この本の著者は梨花女子大学の出身と書いてあるのに、名前が李男徳とありますね。男の人が女子大で勉強することもあるんですか?」
これには私も笑ってしまった。
実は私も戸籍上は男の名前になっている。韓国では女が生まれると、次こそは男をと望み、女の子に男の名前をつけることがしばしばある。これも李氏朝鮮時代以来の風習のひとつだが、日本の封建時代にそのようなことはなかったようだ。
いつだったか、日本のある民俗学の研究家にこの話をした折り、次のような示唆を受けたことがある。
「この風習はもしかすると、古くから民間で行なわれていた習俗が、封建的な父権家族の考え方に取り込まれていまのようになったのではないでしょうか、その点をもっと研究されたらいいと思います」
そしてその日本人は、奄美《あまみ》大島では最近まで、子供を産むと柱にキズをつけ、男ならば「女だ」と、女ならば「男だ」と叫ぶ風習があり、それは子供を魔物にとられるのを防ぐためだとされていたことを話してくれた。柱にキズをつけるのは「決定」を意味し、男女を反対に叫ぶのは、魔物に嘘《うそ》を言って運命を左右されないようにするためだと言う。運命をつくるのはこちらの方だということなのだろうか。
私は不勉強で、いまだ韓国にそうした民間信仰があったかどうかを知らないが、あったとすると、いろいろと説明がつくことがありそうな気がして、大きな興味をかきたてられた。民間の信仰が支配層のイデオロギーに取り込まれて変質を遂げ、民間信仰の方はそれに負けて消えていってしまう——そうしたことが、韓国の長い歴史のなかで行なわれてきたのかもしれない。それは、韓国の文化を考えてみるとかなり可能性のあることのように感じられた。
ともあれ、私の両親は女が三人続けて生まれたため、ついに三人目の私に男名をつけたのであった。しかし四人目も女、そしてやっと五人目に男が生まれている。今度こそと思って生まれた私が女だったことで、わが両親がガッカリしたことはわかるが、そのために、男性に義務づけられている兵役の召集令状が私宛《あて》に出されるなど、いろいろと迷惑なことも多く、私はおおいに両親を怨《うら》んだものだった。
女の子を産んだ私の友だちも、それがあたかも嫁の責任であるかのように姑《しゆうとめ》になじられ、ことあるごとにいやみを言われるのだと言っていたが、そうした家はいまだに多い。息子なら将来両親を養う財産でもあるから投資を惜しまないが、娘は他家のものになるので一家の徒食者、やっかい者という価値観があるのだ。そのため、娘は嫁に行く前にそれだけ親孝行をすべき存在だとされる。
男が学び、女はその助けをしなくてはならない。弟や兄の学費を稼ぐために女たちが働きに出るという形がそこから生まれて来る。女たちはそれを負担に感ずる以前に、結婚前に親孝行をしなかった場合にやって来るであろう心の圧迫を予感しているのだ。
結婚してからも、夫よりも実家の両親を大切にする気持ちを強く持つ場合は、韓国ではそれほど珍しいことではない。実家が苦しければ、家計から実家に送金する女性も多い。そのため、できるだけ経済的なゆとりのある家に嫁入りすることが好ましい。またそうしたことが、家庭の経済にいちいち細かい男が嫌われる一因ともなっているようだ。
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