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スカートの風72

时间: 2020-07-26    进入日语论坛
核心提示:男への復《ふく》讐《しゆう》を開始した女たち このように、子供への独占的な愛をあますことなく表す韓国の母親たちは、最近で
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男への復《ふく》讐《しゆう》を開始した女たち

 このように、子供への独占的な愛をあますことなく表す韓国の母親たちは、最近では夫に対してもそれを同じように向けようとしはじめている。たとえば、夫の浮気の相手である女に包丁を持って切りかかり、怪《け》我《が》を負わせたという事件が近年韓国で起こっている。それに類似した、夫の浮気の相手の女と妻との激しい衝突が、このところかなり起きるようになっているのだ。これまで夫の浮気には目をつむってきた女たちに、ようやく反抗の兆しが見えて来たのである。
この背景には、前にも述べたような、女の権利を保護する法律の制定もあるが、それが主な原因とは思えない。
たとえば、夫の姦《かん》通《つう》に対しては、夫と相手の女を妻が告訴することができ、その罪はかなり重い。しかし、告訴をすれば自動的に離婚しなくてはならないようになっている。さらに、処女性を重んじる韓国では結婚外の性交についてはすべて男に責任が負わされる。また、日本と同じように結婚詐欺罪もある。しかし現実には、これらの告訴を行なう場合は、女はまともな結婚をあきらめる覚悟が必要である。
それでも、妻たちが男の身勝手な性関係への反抗をあらわにしはじめたところには、ある程度、離婚もやむを得ないという意識がどこかにあるはずだ。確かに、女の独占欲を子供だけに向けさせるような社会にひずみが走りはじめたのである。女と男の役割をはっきりと区別することができていてはじめて、女が夫の浮気を「やむを得ない」こととして容認するのであり、もともと韓国の女が男の浮気を認めているわけではない。この区別がいま、ようやく崩壊の危機を迎えているのである。
それはなぜなのだろう?
私はその決定的な要因を、日本の社会の存在と見るのだが、もちろんその契機は韓国内部にある。それを社会的に言えば中間階層の増大であり、社会の情報化の進展であるだろう。しかしそこにも、日本で「戦後女が強くなった」と言われたような場合とは、どうも異なる問題があるように思う。
韓国は男の浮気天国であるとともに、浮気はすぐにばれるようにできている。韓国の男たちは感情をごまかすことが大の苦手で、すぐに表情に出てしまうのだ。そして、韓国では妻よりは愛人により愛情をそそぎ、またお金を使うことが一般的でもある。そうした夫の気持ちも、妻たちにはガラス張りの部屋のように、手にとるように見えてしまう。そして、目に見えた形で心の真実を問題にするのが韓国人だ。
それにもかかわらず、妻たちがそれほど文句を言うことがなかったのは、おそらくは、子供を産み育てることが、社会のなかでもトップクラスの尊重すべき価値としてあったからだった。子供は将来親を養ってくれるから宝なのだという家族の意識は、社会的には次の時代を彼らが作っていくことを信じる意識である。したがって、社会がこのことを信じている限り、女たちは我慢し続けたに違いない。
韓国でいまほんとうに崩れはじめているのは、この信じ方であるような気がしてならない。
経済が急成長し、それが突然頭打ちになるという事態は、韓国の社会に大きな価値観の揺らぎをつくり出した。人を産むことよりも物を産むことの重視が進む一方で、手塩にかけて産み育てた者をあぶれさせてしまう生産社会。たとえば、大学を出ても就職先がなく、展望のないまま就職浪人で年を過ごす人たちが年々増えてきている。
これまで信じられてきた価値が社会に不安な揺らぎを作り出す。そこで、韓国の妻たちがまず夫の浮気への反発という形で動きはじめたことは充分納得いくことであるように思う。なぜならば、妻たちがいま男を責めている姿は、処女性を重んじ、一人の人だけを愛し続けなくてはならないという、男の押しつけた倫理を、その正反対を生きてきた男たちにそっくりそのまま返して行こうとする、歴史的な復《ふく》讐《しゆう》と見ることができるからである。
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