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スカートの風95

时间: 2020-07-28    进入日语论坛
核心提示:日本人が怒った顔を初めて見て日本人は韓国人に対して強い差別意識を持っているという通説がある。またそれは、壬《ジン》辰《シ
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日本人が怒った顔を初めて見て……

日本人は韓国人に対して強い差別意識を持っているという通説がある。またそれは、壬《ジン》辰《シン》倭《ウエ》乱《ラン》(豊臣秀吉の朝鮮侵略)から「日帝三十六年の植民地支配」に至る日本人の、韓半島の人びとに対する野蛮で侮《ぶ》蔑《べつ》的な悪行の歴史を、日本人が心から反省していないからだとも言われる。
これが韓国人の通念となっている。
人が通念を疑う余地を持たないとき、人はおうおうにして、理性的には理解しがたいと思えるような体験を、通念で包み込んでしまう。そこで、本来差別意識とは無縁な思い違いが差別意識と判断されてしまうことも起こってしまう。そのような事態に気づかない分だけ、私たちの間の差別意識はずい分と過大なものになってしまっている。そう思えてならない。
この点についての私の体験をお話ししてみたいと思う。
日本に来た始めのころ、私は東京の十条に住んでいた。近所に美容室があり、とても親切にしてくれるので、よく通った。特別髪をいじってもらう必要がないときでも、ちょくちょく顔を出したものだった。そうして数カ月たったころ、店の人たちがなにかよそよそしい顔つきで私に接していることに気がついた。理由がわからないので、私はできるだけ明るく挨《あい》拶《さつ》をしようとした。しかし、やがて店を通り過ぎるときに中の人に「こんにちは」と声をかけても、だれも挨拶を返してくれなくなってしまった。
そしてある日、パーマをかけようと美容室に出かけると、「今日は予約がいっぱいでできませんよ」と断られてしまった。そんなことは、これまでに一度もなかった。不《ふ》遜《そん》な態度に突き押されるようにして店を出た私は、ムッとする不快感で胸がいっぱいになってしまった。
やはり韓国人だということで差別しているのだろうか……。そんな気持ちで一人さびしく街を歩き回った。韓国人であれ日本人であれ、お客である以上、こちらが不快になるような態度をすることは許せない。私が韓国人だということがわかってから、そんな態度に出るようになったのかもしれない。ずっとそう思ってきた。それ以来、その美容室に足を向けることはしなくなった。その前を通り過ぎることすら嫌になってしまった。
また、近所に八百屋さんがあり、この店のご主人も親切に応対してくれるので、私は常連客になっていた。ある日、私はキムチをつくるために白菜を買いに行った。たくさんつくって、アパートの隣の部屋のおばさんや留学生の友だちにあげようと思ったのである。
店の軒先に白菜が山のように積んであった。私がたくさん買えば、店のおじさんも喜んでくれるにちがいない、そんな思いで、私は白菜をひとつひとつ触りながら、できるだけよいものを選ぼうと白菜の出来具合を確かめていた。
私は、他のお客さんの支払いを終えた店のご主人に、「おじさん、今日は白菜をたくさん買いますよ、よい白菜を選んでくださいよ」と笑顔で声をかけた。ご主人がいつものように笑顔で受け答えしてくれることを期待していたのだが、なぜか急に怒り出したのである。「あなたには白菜を売りませんよ」と言うのだ。私が「なぜ、そんなに怒るんですか」と聞き返すと、ご主人は「朝鮮人にはものを売りませんよ」とあからさまに嫌な顔をして横を向いてしまった。
私は日本人が怒った顔をそこで初めて見た。いきなり後頭部をガーンと殴られたような気分だった。異国の冷たく深い闇《やみ》の底をかいま見せられた思いだった。何が何だかわけがわからない。「笑う顔にはツバをはけない」という諺《ことわざ》が韓国にある。そうならば、にこやかに笑う私の顔にツバをはく日本人は人間とは言えない——心底からそう思った。
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