最近、この義兄弟の関係について、韓国人の私ですらびっくりするようなことを、日本に来た若い韓国人ビジネスマンから聞かされた。
仕事の話が一段落して雑談に入ったとき、私が彼に「結婚されているんですか?」と聞くと、彼は「これがワイフです」と言って、内ポケットから一枚の写真を出して見せた。「へえー」と言って手に取って見ると、なぜか二人の女性が写っている。しかも彼は、どちらかを指さすのではなく、「これが……」と言って写真そのものを示したのである。
それでも、私はどちらかだろうと思い、「どちらが奥さんですか?」と聞くと、やはり「これです」と写真を指さす。私は思わず「ええー?」と声をあげ、再び「どちらなんですか?」と聞くと、彼はちょっと肩をすくめて見せ、ゆっくりとした口調で説明してくれた。
「実は、この二人はとても仲のよい友だちでして、私はこっちと結婚したんです。でも、二人はずっと仲のよいままで、私たちの家に来て一緒に泊まったりすることもちょくちょくあるんです。もちろん、自分とも仲がよくて、旅行も三人で行きますし、旅館でも三人でひとつの部屋に寝るんです。妻の友だちも私を一人の男として好きだと言います。それで彼女は、『あなたが私の心にあるから』と、三十歳になった今も結婚しないと言い張っているんです」
私はそこまでの関係ってあるものなんだろうかと興味が膨らみ、「奥さんはヤキモチやかないんですか?」と聞いてみた。
「もちろんやきませんよ。彼女たちは、二人一緒で私のことを好きだと言うんですから」
まさしく、「二つの身体がひとつになっている」のである。ただ、三人で街を歩いているときなど、彼が他の女性に目をやったりすると、それは大変なことになると言う。二人の間では発生しないヤキモチが、他の女との間では、すさまじいものとなるらしい。
はじめのうちは、二人の女に愛されている、なんて幸せな男だろうと思っていたが、常に二人の女から厳しく監視される身とあっては、それほど幸せとは言えないかもしれないと思った。
もちろん、これは珍しいケースなのだが、こうした関係が存在すること自体には、韓国人ならば大きな疑問を持つことはない。その意味ではよく理解できることなのである。それよりも、これほどの友だちを持っているということは、何より大きな財産だと考えてしまう。
ここまで行かなくとも、次のようなケースは韓国では別段珍しいことではない。
私の友だちが、ご主人と子どもをおいたまま、日本へ観光旅行へ来たときのこと。私は彼女に、「家の方はご主人と子どもさんだけで大丈夫なの?」と心配して聞くと、彼女はこう言うのである。
「友だちに任せてきたわ。友だちが御飯もつくってくれるし、洗濯もしてくれるから安心よ。それくらいの友だちじゃなければ、友だちとは言えないでしょ?」