韓国人は三国時代を誇る。それが立派だったことは日本人も認める。陶磁器の技術にもすばらしいものがあった。しかし残念なことに、その技術がいまに伝わっていない。
先にもお話ししたように、韓国人たちは「日本人がかつて陶工たちを拉《ら》致《ち》していったから伝統がきれてしまったのだ」と言う。たとえそうだとしても、韓国では技術者を尊重せず、日本人の方が技術を尊重したことは確かだ。朴大統領の時代に、李氏朝鮮時代に廃絶された青磁の製作が復活したことはした。しかし、いまでは日本の磁器の方が数段すぐれている。
韓国人には、日本にはかつて韓国が技術を教えてやったという優越感が強いため、日本の技術が世界の先端にあることがわかってはいても、どこかで日本の技術を軽視して認めたくない気持ちが一般の人たちのなかにある。だから、そこには日本の技術に対するコンプレックスも生まれない。明治以降今日に至るまで、韓国の技術はほとんど日本から入っているのに、それを認めたがらないのである。
そんなひとつの例をお話ししてみる。
ある日本人ビジネスマンが韓国人ビジネスマンと雑談していたときのこと。話が自動車のことになり、なにかのきっかけで、日本人ビジネスマンが「あの現代自動車のポニーね、あのエンジンは日本の三菱自動車が、何年か前にギャランなどに積んでいたもののライセンス生産ですよね」と言ったところ、「いや、あれはわが国が独自に開発したものだ」と、あくまで言い張って譲らなかったそうである。
日本側から技術供与を受けて、後に「わが国独自の開発」と新聞で発表することなど、よくあることである。心臓部から末端各部に至るまで、ほとんどが日本の製品を使っていながら、それを組み立てては、「独自の開発」とやるのである。
一方、日本をよく知っている世代や日本企業と深い取り引き関係を持つ企業のビジネスマンたちは、日本の技術の優越性を知っているため、強いコンプレックスを持っている。