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風に吹かれて14

时间: 2020-07-29    进入日语论坛
核心提示:欧州無宿の若者たち 小田実《まこと》さんの世界一日一ドル旅行以来、ヒッチハイク組がわんさと海外にとびだした。みんな生きの
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欧州無宿の若者たち

 小田実《まこと》さんの世界一日一ドル旅行以来、ヒッチハイク組がわんさと海外にとびだした。みんな生きのいい若者ばかりである。私は外国のいたる所で連中に出会い、友だちになった。彼らはそれぞれ自由で率直で、ユーモアの精神にみちみちていた。
ストックホルムのコンサートホールの階段は、そんな仲間のたまり場の一つだった。ノーベル賞の授賞式が行われる由緒《ゆいしょ》あるホールだが、その入口の広い石段は、スウェーデンのみゆき族《・・・・》や世界のヒッチハイカーの集会場みたいになっていて、ちょっとした街の名所になっていた。その建物と向きあって、グレタ・ガルボがスターになる前に働いていたPUB百貨店がある。この中間の広場に毎朝露店の市が立つと、くすんだ北欧の空気が、花や果物や娘たちの声で、急に活気づいてくるのだった。みんなは新聞紙の袋いっぱいサクランボを買ってきて、プーシキンの小説に出てくる主人公みたいにサクランボの種子《たね》をプップッと吐き出しながら、世界各地の最新情報を交換しあうのである。
 彼ら勇敢なる若者のシステムでやれば、日本から最低五万円の海外旅行だって不可能ではないだろう。慶応を二年で休学してやってきたH君もその一人だった。彼は横浜を出て十八ヵ国を回り、六ヵ月かかってスウェーデンまで北上してきたのである。彼が世界旅行のために準備した貯金が八万円ちょっと。これを資金に一年間の海外生活を続けようというのだ。
H君のコースはこうだった。まず、船でインドまで五万円でわたった。そこを出発点として、べらぼうに安いバス、鉄道、ヒッチハイク、時には徒歩でヨーロッパへ。泊る場所はアジア諸国ではポリス・オフィスか現地人のドヤ街。ヨーロッパではユースホステル。もちろんシュラーフ持参だから、星を眺《なが》めての野宿も何でもない。谷川や立山での雪中のビバークにくらべると、天国みたいなものであろう。ジュネーブとボンでしばらくアルバイトをして稼《かせ》いだ。金のかかるパリは素通りしてスカンジナビア半島へ。現在ストックホルムのレストランで皿洗いをしながらアメリカ行きの資金を貯《た》めているところだという。彼にいわせると「ユースホステルは高くて不経済」ということになる。なるほど彼はもっと安いアナ場を見つけていた。郊外のサマー・キャンプ場がそれだった。一日のキャンプ料金が一・五クローネ(百円強)だというからなるほど安い。しかも、スウェーデン娘をハントするには絶好の一等地だ。彼はそのキャンプ場から地下鉄で勤務先のレストランまで通っていた。こうして月に百ドルずつ残してアメリカへ渡り、また働いて帰国する。そして再び大学三年に復学する。彼のプランはまことにもって計画的、現実的なものだった。いわゆるバガボンド風の無銭旅行とはまったく違ったタイプなのである。
こんな日本の若者たちが、いまヨーロッパ中にごまんと散らばっている。私の見るところでは、彼らは海外旅行の三男坊といった面影が多分にあるようだ。
海外旅行の長男といえば、さしずめ戦後の官費組だろう。占領時代のエリートたちである。次男坊のチャンピオンが〈何でも見てやろう〉の小田実さんなどであろうか。貧乏旅行に徹底し、インドでは街路にゴロ寝してガンジス河でウンコをし顔を洗った。一日一ドルの予算で出費をおさえ窮乏にたえる方法は、彼のオリジナルである。
これとくらべると、いま世界にとびだしている連中は、いささか現実的だ。いかに少なく使うか、ではなくて、いかに多く稼ぐか、が彼らの課題なのだから。
〈何でもやってやろう〉的な度胸の良さは、さしずめ三男坊のノンシャランぶりをほうふつさせるものがある。連中は仕事のありそうな大都市を狙《ねら》ってスケジュールをくむ。
ヨーロッパ諸国と日本とは、目下正式の労働協定がないので実際にはモグリである。もちろん、仕事は楽ではない。だが賃金は日本よりはるかに高いから残る率も大きい。
こんな具合で、こと経済的な面に限って言えば、長男は消費的、次男は耐乏的、三男坊は生産的と見ることもできるだろう。
しかし、これをやるには、自由な時間と、体力と、図抜けた楽天性が必要だ。何しろ、たよるものは自分の頭と手足だけなのだから。コンサートホールの階段で知りあった青年の中には、中近東で山賊におそわれて危機一髪という目にあったという日本人学生もいた。彼は護身用のチェーンで相手をしめ殺して逃げてきたのだそうだ。
問題になるといけないのでくわしくは書けないが、大学では国文専攻で、卒論は太宰治《だざいおさむ》をやるつもりだ、などとちょっと照れながら喋《しゃべ》っていた。
フランクフルトで、仕事を探《さが》して雪の降る街を三日間あるき回ったという少年がいた。実に四十九軒目の料理店で彼は皿洗いの職にありついたのである。
ハイウエイの清掃夫を一日だけやったという青年画家の話も面白かった。モク拾いみたいな棒とバケツをさげて、ハイウエイをノソノソ歩いているだけで金になるよ、あんな楽な商売はないぜ、と彼は話してくれた。
「なにしろゴミなんて、どだい落ちてやしないんだから」
なぜ一日だけでその仕事をやめたのか、ときくと、彼は晩年のヴィンセント・ゴッホみたいな目つきをしながら言った。
「黄色と黒のダンダラ模様の服を着せられるのさ。バケツもだ。そんな恰好《かっこう》で、気が遠くなるほど長い長いハイウエイをのろのろ歩いていると、何だか自分がシマヘビみたいな妙な気分になってきてねえ。あんた、その感じわかる?」
ヒッチハイクは無銭旅行の常道だが、これも時にはエライ目にあうことがあるらしい。
二日間も道路に立ってがんばって、やっとつかまえた車が五百メートル先の農場どまりだった、などという失敗はまだ無邪気でいい。
ヒッチで怖《こわ》いのは南欧だというのがハイカーたちの一致した意見だった。若い女性だとそっぽを向いてても、車を寄せてくる。男を乗せると、カメラやラジオに関心をもちすぎる。
K君はある暑い日の午後、奇《き》蹟《せき》的にも凄《すご》いスポーツカーに拾われた。運転しているのは一見金持の道楽息子《むすこ》ふうの青年で、おうようにあごで助手席に乗れというゼスチュア。どうせ退屈しのぎの気まぐれに違いないが大助かりだ。しばらく走ると、きれいな森陰の湖のほとりに出た。
相手が車をとめて、どうだい、ひと泳ぎしてこいよ、俺《おれ》はちょっとエンジンの点検をやるから、という。一週間シャワーも浴びてないからありがたい。よしきたとばかりに裸になると「これを使え」と海水パンツを投げてくれた。水練の腕にはいささか自信がある。ザンブとばかりにとびこんで抜手をきって泳ぎだした。その瞬間、地を裂くようなメガホンマフラーの爆音を残して車は猛然と走り去ったのである。海水パンツ一枚の彼をのこして。
カメラもトランジスターラジオも、そっくりいかれてしまったという一場のお粗末であった。
「イタリアの車ってのは実に出足の良いもんだなあ」と彼は首をふって私に言った。「あれはまったく泥棒むきの車だと思うよ」
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