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ガダルカナル13

时间: 2020-07-30    进入日语论坛
核心提示:13 杉山総長の上奏にあるように「ソロモン群島要地奪回ノ為ニ使用スル陸軍兵力ハ一ツニ敵情ニ依リマシテ第十七軍司令長官カ決定
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 杉山総長の上奏にあるように「ソロモン群島要地奪回ノ為ニ使用スル陸軍兵力ハ一ツニ敵情ニ依リマシテ第十七軍司令長官カ決定スルコトトナル……」ので、第十七軍司令部では八月十二、十三日の両日にわたって一木支隊のガダルカナル派遣についての検討を行なった。
二見参謀長の見解は、敵は遠からずガダルカナル飛行場を利用するであろうから、海軍の掩護が十分でないときに一木支隊のような小兵力を派遣しても価値はないであろう。むしろモレスビー攻略作戦を強行し、八月下旬スタンレー山系以南に進出(オーエン・スタンレー山系の頂上を越えてモレスビー側の南麓に進出することを意味する)して、敵の航空勢力を牽制し、この間に川口支隊(第三十五旅団)と一木支隊を併せて、空母二隻の間接掩護によってガダルカナルを奪回する策をとる方がよい、海軍に対する徳義と先制的積極性からすれば、即時陸兵派遣をしたい気持だが、一木支隊の先遣は不安である、というのであった。
これに対して軍参謀たち(松本、越次、大曾根参謀)の意見は、次のように即時派遣であった。
敵がガダルカナル飛行場に飛行機をまだ進出させていないのは確実である。一刻も早く一部兵力を先遣して敵の飛行場使用を封殺するか、少くとも飛行機の使用に対し地上からの攻撃によって不安を感ぜしめることが必要である。時機を遷延して、敵が地上兵力を増加し、飛行隊をして確固たる地歩を得させれば、爾後のガダルカナル上陸は極めて困難に陥るであろう。目下ガダルカナル島ルンガ付近以外には敵はなく、タイボ岬付近の上陸は可能だが、敵の地上兵力が増加して逐次海岸を固める|虞《おそ》れがある。
一木支隊が各個に撃破される危険については、目下敵は八日の海戦の打撃により陸兵を撤退しあらざるかの懸念さえもあり、という海軍の情報もあるくらいだから、地上兵力は必ずしも大きくないと考えられ、さらに川口支隊も一木支隊の十日後には上陸する予定であるから、やむを得ない場合でもガダルカナルの一角を占拠して持久を策することは困難でないと判断される。要するに、軍は、一を以て戦機を捕捉し、一は以て海軍非常の場合にこれを救援すべき徳義上の見地から、速かに一木支隊の派遣を必要とする。(戦史室前掲書『陸軍作戦』)
参謀たちの右の見解は、もし希望的楽観的観測と敵戦力に対する下算に基づいているのでなければ、一応筋は通っていた。
二見参謀長は、十二日までの時点ではガダルカナル奪回を安易と考えていなかった。敵兵力を七〇〇〇乃至八〇〇〇と推測し(それでも実際より少かったのだが)部下参謀たちの強硬論には納得しなかった。そこで彼は、十三日、十一航艦参謀長酒巻少将を訪れて、意見を質した。
酒巻少将の意見は次の通りであった。(戦史室前掲書)
[#ここから改行天付き、折り返して2字下げ]
1、敵は巡洋艦の大部が潰滅したので爾後の増援補給は困難である。敵戦闘機の陸上からの飛来は不可能である。空母によって来攻するのは危険な仕事である。
2、敵が毎朝飛行機偵察を実施しているのは不思議である。ガダルカナル島を占拠しているなら無線報告があるはずだが、目下無線使用の模様はない。
ガダルカナルにはあまり大きな兵力はないのではないか。あるいは土人部隊を残して、白人は大部分引揚げたのではないか。
3、敵は我が飛行場の完成の近いのを狙って来襲したが、既完成の滑走路は八〇〇米で大型機使用のためには尚四〇〇米不足である。
4、敵の戦闘機が陸上機なら島を見なければ飛べない。艦載機を使うには、空母の速度を一六ノットと見ても、全く一日間我が哨戒圏内に在ることになるから、之を捕捉撃滅することは容易である。
5、大型機は戦闘機がガダルカナルに進出した後でなければ、空輸しないものと判断する。しかもガダルカナル飛行場はまだ整備に着手していない。
6、敵航空攻撃の心配は一木支隊の派遣が早ければ早いだけ少くなる。またガダルカナルの敵地上部隊は活気に乏しい。その兵力は七、八〇〇〇以下と判断される。
[#ここで字下げ終わり]
酒巻十一航艦参謀長の意見を聞いて、十七軍参謀長二見少将も強気になったようである。
そこへ、大本営から次のような意図を通報してきた。
「カ」号作戦(ガダルカナル作戦の略号──引用者)ノ規模ハ一ツニ敵情ニ依リ第十七軍司令官ニ於テ決定セラルヘキモノトシ、中央トシテハ要スレハ第三十五旅団及青葉支隊ヲモ使用シ得ル如ク配船ヲ考慮シアルモ、現情ニ於テハ寧ロ戦機ヲ重視シ得レハ一木支隊ト海軍陸戦隊ノミヲ以テ速ニ奪回スルヲ可トセサルヤト考ヘアリ。
右依命。
この参謀次長からの依命電を見れば、大本営陸軍部がどのように状況判断をしていたかが|瞭《あき》らかである。
二見参謀長のような慎重派は常に少数派であったとみえる。出先から中央に至るまで都合のよい状況判断が支配的であった。はじめは偵察上陸の程度と看做し、次には一個師団ぐらいあるらしいと驚き、やがて、戦果の決定的確認も出来ないままに敵は敗退したであろうと希望的観測を下し、残存兵力は萎縮しているから一木支隊と陸戦隊だけで早く奪回出来るだろうと考える。大兵を一挙投入して勝利を確実にする兵法の正道は埒外に置かれている。
八月十三日午前十時三十分、十七軍司令部では参謀長以下一木支隊先遣に決定し、参謀長同様に懸念していた第十七軍司令官百武中将もこれに同意した。
 八月十四日、大本営はそれまでの「総合戦果」を発表した。それによれば、甲巡九隻、乙巡四隻、駆逐艦九隻、潜水艦三隻、輸送船一〇隻の撃沈となっていた。これは二十五航戦と八艦隊の戦果報告を合計したもので、事実との差異は無視されていた。
連合艦隊の宇垣参謀長は、第一ソロモン海戦までの戦果報告をみて、日記『戦藻録』に記している。
「以上両者(二十五航戦と八艦隊の戦果──引用者)を合すれば艦艇は全部輸送船は半数撃破し得て|大勢を決したる如き観《ヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽ》を催す。
(中略)
珊瑚海海戦ミッドウェー海戦を以て極上の勝利と見做しつけ上れる英米茲に顔色なかるべし。」(八月九日。傍点引用者)
「……敵の奴昨夜の攻撃に依り到底居たたまらず、昨日の内に総退却を為せるか。水上艦艇特に巡洋艦は大部を葬り得たるも、駆逐艦の半数、輸送船の三分の二は之を逸したり遺憾なり。
而も潜水艦も飛行機も陸上の情況を皆目調査報告せず、我作戦の重要資料たるに気附かず。(以下略)」(八月十日)
戦果報告の鵜呑みは怖ろしい。ガダルカナルとツラギの上陸占領を目的として来攻した米軍は、上陸作戦そのものから言えば、既述の通り、輸送船一隻を失ったに過ぎなかった。九日午後までに全艦船を撤退させたのは、甲巡四隻、駆逐艦一隻、輸送船一隻の犠牲と既述の揚陸未済物資を残しはしたものの、日本軍の推測をはるかに上廻る陸戦兵力を揚陸し、作戦目的をほぼ達成したからである。
宇垣連合艦隊参謀長が書いている「大勢を決したる如き観」というのは過早な楽観の典型であった。
ツラギ海峡夜戦の惨敗をもって米軍は敗退したのではないかという希望的観測が、東京中央から出先に至るまでひろがろうとしているとき、さらに日本軍の誤判を促進する情報が仕組まれたかのように入って来た。八月十五日ごろ駐ソ武官から大本営に届いたと謂われる情報電報である。
それによると、「米軍のガダルカナル島方面作戦の目的は日本軍の飛行基地破壊であって、この目的を達成した米軍は目下日本海空軍の勢力下にある同島よりの脱出に腐心している」というのである。(戦史室前掲書『陸軍作戦』(1))
右書によれば、当事者と目される人は記憶がないということであるが、右のような情報電報がなんらかの経路を経て入ったことは事実である。
この情報は現地部隊に通報され、ガダルカナルに向う(後述)一木支隊にも届いている。
また、この情報に基づいてのこととしか考えられないが、十六日、「ソロモンの敵は撤退に決したる一部長情報あり」と宇垣連合艦隊参謀長の日記にある。一部長とは海軍部第一部長のことである。確認出来もしないことを通報するとは軽率としかいいようがないが、希望的判断に陥りやすい軍人の気質を端的に表わしている。
未確認情報でも希望的色彩の濃いものは、|屡々《しばしば》根拠のない楽観を形成して、現実的処理を誤らせる毒性を含むことがある。ガダルカナルヘ向う一木支隊は、まさに、誤判の路線上を猪突猛進しようとしていたのである。
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