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ガダルカナル28

时间: 2020-07-30    进入日语论坛
核心提示:28 川口支隊の夜襲失敗を十七軍司令部が確認した九月十五日、大本営派遣参謀井本中佐は事態に関する観察と見解を次の通り参本第
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28
 川口支隊の夜襲失敗を十七軍司令部が確認した九月十五日、大本営派遣参謀井本中佐は事態に関する観察と見解を次の通り参本第一部長に電報した。(戦史室前掲書による。傍点引用者)
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一、川口支隊ノ戦況尚詳細ニ承知シ得サルモ、予期ノ如クナラサリシ原因ハ、|敵情不明《ヽヽヽヽ》、|分散上陸《ヽヽヽヽ》、|舟艇機動等ノ為《ヽヽヽヽヽヽヽ》、|戦力ノ統合発揮十分ナル能ハス《ヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽ》、|兵力装備十分ナラス《ヽヽヽヽヽヽヽヽヽ》、且制空権敵手ニ在リ、夜間強襲ノ外方法ナカリシコト、敵ノ防禦組織ハ上陸以来一ケ月余ノ準備ヲ以テ相当ニ強化セラレ、此ノ間平均一日一隻ノ輸送船ヲ以テ補給輸送ヲ実施シアルモノノ如キヲ以テ、|予想セシヨリモ強靭ニシテ《ヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽ》、|且我肉弾的夜襲ト対蹠的ニ物的組織相当ニ整備セラレアリシ《ヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽ》等ナルヘシ
[#ここで字下げ終わり]
(右の意見はまさにその通りだが、作戦の前にこそ考慮されるべきことばかりであった。敵情不明のまま攻撃を開始した無謀さも、分散上陸等のため戦力の統合発揮が出来なかったことも、兵力装備が十分でなかったことも、既に指摘してきた通りである。問題は、そういう状態で攻撃を強行して、失敗しなければ反省出来ないのか、予測は出来ないのかということである。敵が「予想セシヨリモ強靭ニシテ」とは、敵をどの程度と判断し、その判断の根拠は何であったのか、ということを軍人自身が反省し、認識しなければ、軍事専門家の名に値しないであろう。敵が日本軍の肉弾的夜襲とは対蹠的に物的戦力を組織化していることは、衝突してみなければわからないことではなかった。軍の上から下まで、不遜にも慢心しているから、予測し得べきことを予測せず、惨敗という形の実物教育を敵から施されるのである。三年前のノモンハンの苦杯は何のためであったのか。)
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二、敵ハ更ニ引続キ航空地上ノ兵力ヲ増強ノ徴明カナルモノアリ、|当方面ノ戦局ハ彼我兵力ノ増強競争並ニ彼我決戦的作戦ノ容相ヲ益々明瞭ニ具現シ来レル感アリ《ヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽ》、右ノ状況ニ処シ、|飽ク迄《ヽヽヽ》「|カ《ヽ》」(ガダルカナル奪回作戦──引用者)、「|レ《ヽ》」(ポートモレスビー攻略作戦──引用者)|号作戦ノ目的ヲ完遂スルコトハ《ヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽ》、本戦争指導ニ一転機ヲ劃スルモノニシテ|中央現地共ニ目下抱懐セラレアル右方針ヲ堅持強行スルヲ要スト確信《ヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽ》シアルコト前電ノ如シ
然レトモ今後ノ攻撃ハ前記敵情ニ鑑ミ|之ヲ簡単ニ考フルトキハ三度蹉跌ノ苦杯ヲナムル虞アルヲ以テ《ヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽ》、今後敵ノ増強ヲ見越シ確信アル準備ヲ成ルヘク速カニ整ヘ、必勝ノ構ヘヲ以テ臨ムコト恰モ「バタアン」本陣地攻略戦闘ノ経緯ノ如クナルヲ要ス
[#ここで字下げ終わり]
(後段略)
(彼我の兵力の増強競争に果して成算があるのか、ないのか。あるとすれば、その根拠は何であったか。彼我生産力の桁違いの差は、開戦以前の数次の御前会議と、それぞれ御前会議に先立つ大本営政府連絡会議で問題となり、否定的結論が導かれるのを恐れていつもうやむやに回避された事柄であった。もし、増強競争に確信を持てないとすれば、カ号、レ号作戦の完遂など思いも寄らないことなのであった。八月二十八日の艦艇輸送の失敗で十七軍司令部にガ島放棄論が起こり、二十九日以後の艦艇輸送の成功で放棄論が、立ち消えになったことこそ、実は、日本陸軍統帥の基礎の不堅確を示す重大な現象であった。放棄論を立ち消えにするべきではなく、レ号作戦の能否をも併せて徹底的に検討すべき段階に立ち至っていたのである。
「三度蹉跌ノ苦杯ヲナムル虞」があると考えたのは、さすがであった。ただ、その後の事実経過は、今後の記述が明らかにするように「三度蹉跌ノ苦杯」を嘗めるようにしか進展しないのである。理由は簡単であった。作戦遂行が国力の上限を超えているという冷厳な事実を、軍がいっかな認識しようとしなかったからである。)
三、略
四、(前段略)
[#2字下げ]海軍ハ航空消耗戦ヲ避クル為、攻撃再興ノ期日ハ成ルヘク速カナルヲ切望シアリ、目下我航空総力活動ノ隘路ハ、一ニ飛行場ノ数及広サニアルヲ以テ陸軍航空部隊ヲ更ニ増強スルノ要ハナキモノト認ム
五、略
(海軍が航空消耗戦を避けるためになるべく早期の攻撃再興を望むのは当然であるが、攻撃再興を急ぐためには、兵力増強、補給の確保を急ぐ必要があり。それは制空権の確保なしには望み得ないことであった。我が制空権下に兵力増強と補給の円滑化を図るためには、ガダルカナルヘなるべく近く航空基地を推進することと、我が機動部隊による輸送船団あるいは艦艇の掩護とガダルカナル飛行場を反復攻撃して無力化することが、不可欠の要件であった。海軍は、しかし、敵機動部隊の出現を常に懸念して、味方機動部隊の対ガ島使用を回避し、依然として基地航空隊が遠路を飛んで悪天候に左右され、あるいは敵地上空の滞空時間が短くて戦力の最大発揮を妨げられるという、わかりきった事実を繰り返していた。これでは、先に記した第二項の彼我の増強競争で優位に立つことが出来る道理がなかったのである。)
 第十七軍司令部では、川口支隊攻撃失敗の原因として次の諸点を挙げているという。
一、川口支隊の背後、タイボ岬付近に上陸(既述)した米軍のために、上陸点に残置した糧秣を押えられ、且つ攻撃準備のため十分な時間をとれなかったこと。
(敵に背後に上陸されたのは、敵の戦術であるから仕方がないが、攻撃準備の時間的余裕がなかったというのは言訳にならない。既述の経過において時間の消費は随所にあった。川口支隊に限らないが、日本軍には一般に、出たとこ勝負の傾向が強かった。十分に時間をかけ、慎重に準備することなど、ほとんどいつもあり得なかった。あとに述べる第三項にかかわることだが、兵力が完全に揃うまで満を持するということを日本軍はしなかった。あとからあとから兵力を小出しに送って、それらが攻撃開始所定時刻に間に合うかどうかが、事前に正確に計算されていなかったのである。)
二、敵の火力(殊に砲兵)が優越していたこと。
(はじめて気がついたような表現は奇怪である。既にふれたことだが、一木支隊第一梯団の全滅で、敵の火力の旺盛は予想のうちに入っていなければならなかった。一木第一梯団の突撃発起は八月二十一日未明であった。川口支隊の遅れた夜襲と時間的に大した差はない。川口支隊の場合はジャングル迂回の奇襲だから、敵火力の痛打を浴びることはないと、何故楽観出来たのかが不思議である。再々ノモンハンを引合に出すが、日本軍の肉弾による夜襲の神話は、三年前のノモンハンで完全に地に堕ちたのである。)
三、ジャングルのため部隊の連絡が十分とれず、支隊長の命令のように突撃したのは、支隊兵力五個大隊のうち、歩兵第百二十四連隊第一大隊(国生大隊)と歩兵第四連隊第二大隊(田村大隊)の二個大隊に過ぎず、結局突撃兵力が不足したこと。(この第三項は十七軍司令部の記述が明らかに誤っている。後出するカッコ内の筆者の所論に留意ありたい。)
一木支隊残部をもって編成した水野大隊(熊大隊)は、十三日攻撃準備位置に就くことが出来なくて攻撃していない(水野大隊長は十四日戦死)。歩兵第百二十四連隊第三大隊は突撃しなかった。(既述)
歩兵第百二十四連隊主力はルンガ左岸地区から策応する予定だったが、舟艇機動の際の損害が多かったのと、ガダルカナル西端部から東方への地形が錯雑しており、かつ支隊主力と隔絶していて、連絡がとれなかったため攻撃しない。(実際には、岡大佐から川口支隊長へ攻撃計画の報告は届いていた。岡部隊は、しかし、既述の通り、予定通りの行動をしなかったのである。──引用者)
歩兵第四連隊の第三大隊(佐々木大隊。十七軍松本参謀が同行した。──引用者)は、上陸後戦場に急行したが間に合わず海岸道方面からするその攻撃は翌朝となったこと。
(攻撃準備位置につくことが出来なかったのは密林中の前進所要時間を甘く見積っていたからである。しかし、水野大隊が攻撃しなかったというのは、事実に反している。水野大隊は既述の通り攻撃を行なった。
各隊一斉に夜襲を開始出来なかったのは、要するに準備不足のせいであり、それは計画段階で見積りが安易であったからである。
突撃兵力の不足を言うのなら、兵力の逐次投入が厳に反省されなければならない。
予定日時の十二日が十三日になっても、歩四第三大隊は間に合わなかったし、舟艇機動の岡部隊も東西呼応出来なかった。もし、十七軍司令部が希望し、期待したように、十二日が十一日に実際に繰り上ったとしたら、あとから投入した兵力は、なおさら間に合わなかったはずであった。
百二十四連隊の三分の一にも及ぶ兵力を舟艇機動に委ねたのは、川口支隊長の自信過剰に責任を帰すべきことだが、むざむざとそれを追認した十七軍司令部の統帥の権威はどうなるのか。
各隊一斉に夜襲をしても、成功したかどうかは疑わしい。だが、それは別問題である。各隊行動不整の物的理由は、ジャングルであった。ジャングル通過の所要時間を十分に見込まなかった理由は、日本人の軽率な気質に求められるべきことであったかもしれない。ジャングル通過という未経験の、しかも困難をきわめる作業に要する時間の見積りの甘さは、このときばかりでなく、翌十月の第二師団の攻撃のときにも繰り返されるのである。)
四、支隊長が支隊の根幹たる歩兵第百二十四連隊主力を舟艇機動により手裡から脱し、他の建制でない諸部隊を人員の少い司令部で指揮し、所謂非建制部隊の掌握不十分、協同不十分の弊に陥った虞があること。
(建制・非建制の別がもし重大問題なら、支隊の編成など行なわない方がいい。郷土意識や縄張意識があって排他的傾向が出るのなら、その部隊は到底高度の戦略戦術に基づく作戦には使えない。資質劣悪の部隊と言わねばならない。川口支隊の場合、川口手記にもあるように、最も自主的に勇敢に戦ったのは、非建制の田村大隊であったし、支隊長が最も期待していた建制の第三大隊は不可解な不首尾に終っている。)
五、密林内でしかも地図は極めて不完全で用をなさない為、方向の維持が困難であったこと。──(以上各項戦史室前掲書)
(ジャングル通過に要する時間の見積りと携行食糧が十分であれば、攻撃準備位置への進出が出来ないことも、各部隊が所定期日に各所定地点へ達し得ないということも、避けられたはずのものである。不用意でいいかげんであったから、自然の障碍の前に屈したのである。)
 川口支隊の攻撃失敗は第十七軍司令部にとってはよほどの衝撃であったらしく、連合艦隊宇垣参謀長は次のように書き残している。
「軍司令部はあの奇襲に全生命をかけ自信強かりし大失敗の打撃は甚大にして全く顔色なしと云ふ外無し。(中略)軍司令部の強化を必要とし、要すれば其の更迭も一法と感じたり。但し参謀本部自ら軽視(ガダルカナル奪回作戦を──引用者)せる程なれば軍司令部のみを責むるも過酷なるべし。(中略)只々夜襲一点張りを以て必成を自信せるは大に研究の余地ありと云ふべきなり。
今回の失敗の原因は左に在りと推断す。
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一、敵の決意〈最初の攻撃作戦、今秋の中間選挙戦に対する大統領の名誉を賭く。損害又損害に不拘兵力の注入使用〉牢固にして、其の防備、対抗手段に万全を期しあるを軽視し、第一段作戦の我実力を過信し、軽装備の同数〈或は以下〉の兵力を以て一挙奇襲に依りて成算を求めたる事。〈参謀本部、十七軍、川口支隊等全部楽観的に経過せり。〉
[#ここで字下げ終わり]
(海軍も、たとえば第八艦隊が、陸兵の一個大隊も投入すればガダルカナルの奪回は容易と考えていたように楽観的に過ぎた事実はあるが、宇垣参謀長の右の見解はほぼ正解であると考えられるし、この手記が川口支隊攻撃失敗直後の九月十五日の項であることは注目に値するであろう。)
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二、敵の制空権下に於て天候の障害多く、我航空機の活用並に輸送困難なりしに対し、敵は損害を顧みず相当に増強を継続し防禦を固くせる事。
[#ここで字下げ終わり]
(根本的な問題は、日本海軍の航空基地推進の仕方にあったことを、連合艦隊参謀長が認識していないはずはないが、その欠陥を補うために、機動部隊の活用にはもっと工夫の余地があったと思われる。生産力的にみて元々が無理な戦なのであった。空母温存主義でいつまでも対等に渡り合えることではなかったのである。)
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三、奇襲以外火砲の利用等考慮少く〈津軽にて輸送せる十二糎野戦高角砲一門は揚陸の際照準器破損持ち帰り、他の一門はタイボ岬附近に陸揚げ林中に隠匿し、何等使用せざりしが如く〉又軍の統率連繋全からず。〈川口支隊長引率は直接の部下は二ケ大隊にして、他の一ケ大隊及一木支隊残兵は他の建制部隊たり。岡連隊長は西方に占位し、両者の間に何等通信連絡をとり得ざりしが如く〉支離個々の戦闘をなせる事。〈十三日に延期せる事をも通知出来ず一部は十二日攻撃開始〉
[#ここで字下げ終わり]
(先に述べた通り、建制・非建制が本質的な問題なのではない。それが問題化するとすれば、訓練精到ならざる弱兵部隊の場合と、指揮統率能力を欠いた場合である。川口支隊の場合は、指揮統制が十分であったとは到底言えないが、各隊の行動不整は、既に触れた通り、ジャングル踏破をあまりにも軽視したことと、兵力輸送を逐次に多地点へ行ない、攻撃開始日時との調節が綿密でなかったことに最大の欠陥を見出すべきである。
火砲利用を軽視するのは、肉弾夜襲を重視することの裏返しである。白兵の威力が通用したのは、相対的に火力の劣弱な蒋介石軍などを相手とした場合に限ったのだということを、帝国陸軍は遂に認識しなかったか、認識することを怖れて避けようとしたかの、いずれかであった。)
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四、主隊の進出位置適当ならず。〈天日|晦《くら》き天然のジャングルを進出するの困難〉進撃容易ならず。加ふるに各大隊毎の左右連繋に欠け協同突撃不能に陥りたる事。
[#ここで字下げ終わり]
(右は既に述べたことである。改めて触れるまでもない。ただ、ジャングル内の進出困難については、先に見た十七軍司令部でも指摘しているにもかかわらず、後述する十月下旬の第二師団による総攻撃のときにも、全く同じ問題に同じ悩み方をするということを、記憶せられたい。)
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
五、奇襲は敵の意表に出でて初めて成功すべきに拘らず、聴音機等の活用により早期被発見、予期せざる銃砲火の集中を受け、先頭部隊の損害と相俟ちて精神的にも挫折せし事。〈戦死二百余、戦傷を合し六五四なり。一割程度に過ぎず〉
[#ここで字下げ終わり]
等なるべし。|要するに敵をあまく見過ぎたり《ヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽ》。|火器を重用する防禦は敵の本領なり《ヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽ》。今後陸海軍共第一段作戦の成果に陶酔する事なく、頭を洗って最も理屈詰めに成算ある作戦を確立し、機に臨んで正攻奇襲の妙用を期する事最も肝要なりとす。海軍自体のみにて実施せるラビ攻略戦の失敗亦略其の軌を一にす。深く心すべきなり。」(宇垣纒『戦藻録』──傍点引用者)
右の第五項の末尾、戦死二百余云々の根拠は判然しない。要するに、攻撃失敗の割りには、損害が少なかったことを宇垣参謀長は指摘したかったのであろう。
川口支隊の八月十三日から十月二日までの間の人員死傷は次の通りである。(戦史室前掲書による)
戦闘参加
将校     二一二
准士官以下 六〇〇五

将校      二八
准士官以下  六〇五

将校      一三
准士官以下  四九二
生死不明
将校       一
准士官以下   七四
 右表によれば、戦闘参加総数六二一七に対して、死者六三三は一〇・一%、傷者五〇五は八・二%、死傷合計一一三八は一八・三%に相当する。歴史上の激戦例と比較すると、意外に低いのである。ガダルカナル戦の特徴は、右の死傷調査期間の末期ごろから終局まで絶えることなく将兵を襲った飢餓状況にある。戦闘による死傷の数字は将兵の運命の一面を物語るに過ぎない。
部隊別の数字の羅列は煩雑なので割愛するが、大隊では、歩一二四の第一大隊(国生大隊)の戦闘参加一〇三四に対して、死者二〇八、傷者一九二がきわだって多く、敵陣中最も深く突入した歩四第二大隊(田村大隊)の参加総数六五八に対する、死者六二、傷七九、他に生死不明(のち戦死確認)四五というのは、判明している戦況から考えると、意外に少い損耗率である。大小各部隊のうち、戦死の占める率が最も高いのは、野戦高射砲第四十五大隊の一中隊で、参加総数五七に対して死者は三五であった。
 川口支隊の攻撃失敗後、第十七軍司令部では参謀陣の交替と増強が行なわれたが、第二師団に転出した松本参謀の後任として発令(九月十五日)された小沼大佐が東京を出発する(九月十八日)までに、川口支隊の攻撃失敗に関して上司から与えられた注意事項がある。それらは、日本軍の信じがたい欠陥を告白しているようなもので、一読唖然とするが、敢て引用する。(戦史室『南太平洋陸軍作戦』(2)より)
田中新一大本営陸軍部第一(作戦)部長の注意。
「前三項目略
4、作戦の基礎
今までは敵情、地形、敵の戦法等不明のまま作戦せり。
まずこれを知りこれを制するの策案を樹立するを要する。」
田辺盛武参謀次長の注意。
[#ここから改行天付き、折り返して2字下げ]
「1、兵力の逐次使用は不可。
2、攻撃開始期日は具体的根拠に立脚せよ。
3、爾他のことこれを許せば物資力を考慮せよ。
[#ここで字下げ終わり]
[#この行2字下げ]攻撃に当り敵情捜索せず、機関銃鉄条網に対する処置を講ぜずして攻撃するは不可。一般に近代戦に関する観念不足の感あり。」
右の諸点は戦闘のいろはでしかない。学校教練でさえ、少し熱心な配属将校ならやかましく学生に教えたことばかりである。こんなことが参謀次長や作戦部長の注意となって現われねばならぬような軍隊と、その骨幹をなす職業軍人の仕事とは、一体何であったのか。
先に、ガダルカナルにおいて日本軍は凄絶なまでに死力を尽しはしたが(その実相は今後記述が進むに従って明らかとなるはずだが)、戦理の最善を尽しはしなかったと述べたのは、右のような初歩的なことが、大本営首脳部の地位にある中将少将の口から、戦地へ赴任する高級参謀に注意事項として托されねばならぬような事態の集約的表現なのである。
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