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水平線ストーリー02

时间: 2020-08-01    进入日语论坛
核心提示:湘南ガール「ほら、まただよ」と友人のケン。僕の肩を突ついた。ホノルル。カラカウア|通り《アベニユー》。遅い午後。ケンがア
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湘南ガール

「ほら、まただよ」
と友人のケン。僕の肩を突ついた。
ホノルル。カラカウア|通り《アベニユー》。遅い午後。
ケンがアゴでさした方を僕は見た。
なるほど。まただ。左右色ちがいのゴムゾウリが歩いていた。
正確に言うと、ハナオが色ちがいのゴムゾウリをはいた地元少女《ロコ・ガール》が歩いていた。
近頃、ハワイで流行しているという。アラモアナ|S・C《シヨツピング・センター》にある1軒の店で、つくってくれるらしい。いろんな色のハナオから選んだものを、その場で底《ソール》につけて、色ちがいのゴムゾウリをつくってくれるという。
「1つ、つくったら?」
とケン。僕はうなずきながら、ふと思い出していた。左右色ちがいのゴムぞうりをはいていた夏が、かつてあった……。
      □
 確か大学1年の夏休みだった。
僕は、湘南の葉山でバイトをしていた。といっても、同級生の実家でやっている海の家を手伝っていただけだ。
砂浜にズラリと並んでいる海の家の1つだ。そこを、大学の同級生たちで手伝っていたのだ。
遊び半分のバイトだったから、よくサボった。
サボっては、かき氷を食べにいったりした。
砂浜から海岸道路に上がる。海岸道路に面して、1軒の食堂があった。
冷やし中華。カツ丼《どん》。かき氷。とにかく、なんでも用意してある食堂だった。地元の中年の夫婦がやっていた。
その店の気どりのなさが気にいって、僕らはよくそこで時間つぶしをしていた。そして、僕が桂子と出会ったのも、その店だった。
      □
 桂子は、その店でバイトをしていた。
といっても、僕らのように泊り込みではない。家が鎌倉なので、通いのバイトだった。
50�のバイクを走らせて、桂子は鎌倉から葉山まで毎朝やってくる。当時、50�のバイクにヘルメット着用は義務づけられていなかった。当然のように、桂子もノーヘルだった。
肩までかかるストレート・ヘアーを風になびかせて、海岸道路を走っていた。
典型的な地元っ子だった。ダブッとしたTシャツ。スリム・ジーンズ。一日中、首からかけるエプロンをしていた。エプロンには、前にポケットがついている。それが、桂子のバッグがわりになっていた。
といってもポケットに入っているのはハンカチとバイクの免許証ぐらいのものだった。
口紅をつけているのも、見たことがない。そして、足もとはいつもゴムゾウリだった。
ペタペタとゴムゾウリを鳴らせて、桂子はよく働いていた。
大きな氷のかたまりを持ち上げる。手動式のかき氷機でガリガリとかき氷をつくる。右手でかき氷にシロップをかけながら、左手でウドンの玉をお湯に放り込む。そんな風に、一日中よく働いていた。
      □
 僕と桂子が親しくなったのは、ごく自然にだった。
たまたま1人で彼女の店にいった。たまたま、店にほかの客はいなかった。僕はカツ丼を食べながら彼女と話した。
彼女も春に高校を卒業したばかり。つまり僕と同じ年齢《とし》だった。
アメリカに留学したい。その資金稼ぎのためにバイトをやっている。
立ったまま店のカウンターにもたれ、両手をエプロンのポケットに突っ込んで、彼女はそんなことを話した。話し方は少し照れていたが、笑顔は明るかった。
      □
 7月も終わりに近づく頃、僕らはよく二人きりで出かけるようになっていた。
バイトが終わってから、夕食にいったり、砂浜をブラブラしたり、ときには逗子《ずし》の町まで映画を観《み》にいったりした。
8月のはじめ。鎌倉の花火大会があった。僕と桂子は、材木座の海岸で待ち合わせた。
1度家に帰って出なおしてきた彼女は、ユカタを着ていた。藍《あい》の地に紫陽花《あじさい》の柄のユカタだった。
赤い帯が、たそがれの海岸道路に鮮やかだった。うっすらと口紅をつけていた。
「はい」
と彼女。2本持っているウチワの1本を、僕に渡した。
花火からの帰り。最初のキスは、人通りのなくなった海岸道路だった。
そんな風にして、つき合いははじまった。
はじめて彼女と寝た日の翌日だったと思う。僕らは、ゴムゾウリを買いにいった。
彼女のゴムゾウリは底がすり減っていたし、僕のはハナオが切れかかっていた。
「いっそ、同じサイズの色ちがいを買って、片方ずつ交換してはかない?」
いたずらっ子のようにそう言ったのは、彼女だった。僕は笑いながら賛成した。紺《こん》とペパーミント色のゴムゾウリを買った。僕のサイズのを買ったから、彼女には少しだけ大きかった。けど、彼女は気にするようすもなかった。
左右色ちがいのゴムゾウリをはいて、僕らは夏を駆け抜けていった。
8月の終わり。湘南の沖に白い三角波が立つ頃、僕らのつき合いは終わった。
3年がかりのバイトでためたお金を持って、彼女はアメリカに旅立つ日がきたのだ。9月からボストンの大学に入学するために。
彼女が発《た》つ前日は、徹夜で過ごした。砂浜に並んで坐って、砕ける波をじっと見ていた。夜光虫が、波を薄蒼《うすあお》く光らせていた。風はもう、秋の匂《にお》いがした……。
      □
 クラクション。僕は、われに返った。僕とケンは、カラカウア|通り《アベニユー》がワイキキ・ビーチに面しているあたりを歩いていた。
たそがれ近いビーチ。色ちがいのゴムゾウリが脱いであった。ブルーとイエローだった。持ち主は波乗りにでもいっているのだろう。
僕は、眼を細める。そのゴムゾウリにカメラを向けた。そっと、シャッターを切った。
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